おれは、土門拳になる。第2章 写真家増浦行仁公式ブログ

写真家<増浦行仁>のオフィシャルブログ。
志を追い続けた増浦が「夢を追う」こととは何かを本音で語る。

『神の宮』の個展を終えて

2009年10月09日 | お知らせ
ニューヨークと大阪での個展が終わった。

これまで海外では、主にヨーロッパを中心に活動していたのでアメリカでのショウは初めてだった。どんな反応があるのかとても楽しみでもあり、少し怖くもあった。殊に作品の内容が日本特有の行事である「遷宮」を主題にしたものだったので、どれだけ理解して貰えるかという疑念もあった。主題に応じて伝統を尊重し、印画紙には特別に漉いてもらった美濃和紙を用い、額も木製にした。
日本古来の神事である「遷宮」の荘厳な様子が、同様に1300年以上の歴史があると伝えられている「美濃和紙」にプリントすることで、いっそう表現されるのではと考えたのだ。
結果は大成功であった。嬉しいことにニューヨークのオープニングには、著名人や文化人も含めて沢山の人々が集まり、評価も上々だった。大阪は、開催期間が短く天気も悪い日が続いたのだが、多くの来場者があり、暖かい賛辞をいただいた。
出雲大社も伊勢神宮も遷宮の本祭は、4年後の2013年である。今回は、途中経過の発表だったので小規模な展示会にしたのだが・・・嬉しい驚きである。

和紙にプリントするという技法は、非常に難しい。5年前、岐阜での写真展の為に、僕はミケランジェロ作品集『GENESIS』を美濃和紙に焼き付けた。全てが初めての試みだったので試行錯誤の毎日で、搬入日当日の朝まで、出展作品の制作を行っていた。今回は、その時のノウハウがあるので前回と比べて苦労が少なく、その分、隠し味的な表現もいろいろと試せたのだ。

個展を開くということは、作家にとって常に緊張するものだ。いつも良い評価とは限らない、酷評されることもあるだろう。でも、それを恐れていては前には進めない。多くの人から評価されることによって作家も成長できるのだ。

ご来場の皆様、本当にありがとうございました。また、いつも僕の活動をご支援してくださっている皆様にも心からお礼申し上げます。
今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。
感謝を込めて。                        増浦行仁