帰宅途中のこと。電車の座席に座ったところ、
向かいの席に男の子を連れた夫婦がいた。
かわいい子だな、マスミと殆ど同じ月齢だろう、と思いながら見ていた。
男の子は持っていたミニカーを床に落としたので、
母はそれを拾いあげ、父に手渡した。
すると父は丁寧に"ぬれコットン"でミニカーを拭いていた。
これは落とすたびに必ず行なわれていて、
「神経質だなぁ」と感じていた時、
父からミニカーを受け取る男の子の右手は、指が1本しかないことに私は気付いた。
はっとした。
でも両手で上手にミニカーでまた遊びだした姿を見て、
私はなんだか胸がいっぱいになった。
涙が出そうになって、慌てて視線を車窓にそらした。
生まれつきであろう、その障害がかわいそうで
泣きたくなったわけではない。
まったくそうでないと言えばうそになるけれど、
なんだかとても複雑な思いで、ただ、切なくなったのだ。
向かいの席に男の子を連れた夫婦がいた。
かわいい子だな、マスミと殆ど同じ月齢だろう、と思いながら見ていた。
男の子は持っていたミニカーを床に落としたので、
母はそれを拾いあげ、父に手渡した。
すると父は丁寧に"ぬれコットン"でミニカーを拭いていた。
これは落とすたびに必ず行なわれていて、
「神経質だなぁ」と感じていた時、
父からミニカーを受け取る男の子の右手は、指が1本しかないことに私は気付いた。
はっとした。
でも両手で上手にミニカーでまた遊びだした姿を見て、
私はなんだか胸がいっぱいになった。
涙が出そうになって、慌てて視線を車窓にそらした。
生まれつきであろう、その障害がかわいそうで
泣きたくなったわけではない。
まったくそうでないと言えばうそになるけれど、
なんだかとても複雑な思いで、ただ、切なくなったのだ。