あまり出会ったことが無いのですが、オールド・レンズとお付き合いするときには、バルサム切れは避けて通れない感じです。最初にバルサム切れと聞いた時には判らなかったのですが、色々教えてもらううちにこの様なものかと思った次第です。しかし、出会う事は本当に少なくて、今まであったレンズはオールドニッコールの50㎜F2くらいです。
貼り合わせレンズを組み立てる時に、接着しないで組み立ててしまうと隙間が空気で満たされると言う事になります。ほんの薄い隙間ですから影響は無さそうなのですが、屈折率にむらが出来てしまいますのでレンズ面に虹のような干渉縞が出てしまいます。このためにレンズ同士を貼り合わせると言う事になるのですが、接着剤選びも大変です。
とにかく透明で着色のほとんどない接着剤と言う事になるのですが、昔の膠や松脂では色がついてしまいます。そこで透明な樹脂が有れば良いのですが、なかなか見つからなかったという感じではないでしょうか。探し回って見つけたのがカナダバルサムと言う事になります。バルサムモミの樹液なのですが、結構透明ですからレンズの貼り合わせ用途として使われるようになりました。
カナダバルサムというと、昔は理科の実験でよく使った印象です。顕微鏡観察の時にプレパラートを使うのですが、そのままでは試料が動いてしまいますので、カバーガラスを上にのせて固定します。しかしそれでも動いてしまいますので、使われていた接着剤がカナダバルサムと言う事になります。
思わず昔を思い出してしまいました。アルコールランプの遠火でバルサムを温めて接着するのですが、勢いよく温めてしまうとガラスが割れてしまいますし、かといってあまりにも遠火にするとバルサムが固まってくれません。結構苦労しながら試料作りを行ったのですが、この接着剤がレンズの貼り合わせに使われているなんてと言った感じでした。
ジャンクレンズを救出してくると、面白いレンズに出会ったりします。コムラーの135㎜F2.8は、貼り合わせレンズも中にあるのですが、オールド・レンズのバルサム接着はかなり頑固で、今までにバルサム切れの品物に出会ったことがありませんでした。しかし、救出したレンズは全体に虹がかかったようなバルサム切れの症状を呈しています。
それならばと分解してみると、バルサム切れではなくてバルサム接着がされていない品物でした。恐らく付け忘れてそのまま組み立ててしまったのでしょう。しかし、カナダバルサムも今となってみれば高価ですし、熱を加えるのも難儀です。色々Webで探してみると、最近のネイル・アートに使われるUV硬化レジンが使えそうとの情報を入手しました。
これは面白いと調べると、かなり安価に購入できそうです。早速頼んでしまいました。タクマーにも貼り合わせレンズがあるのですがバルサム切れのレンズは見たことがありません。Kマウントレンズになってからは合成レジンが使われだしたようで、バルサム切れのレンズが多くなった様子です。今後のためにも買っておこうと言う事になります。
春まだ早い撮影行なのですが、まだ花が咲いていないネタ切れの状況ですので、今までの撮影結果をディスプレイ撮影と言う事にしました。もう少しで春の花。それまでじっくりと待ちたいと考えています。
それでは、先月中旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 SMC Pentax-M 100mmF2.8
撮影データ:1/320sec F5.6 ISO200
今年も遅咲きのマンサクが花を開きました。今年は一杯蕾を付けていますので、これからが楽しみといったところです。
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