あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

和製ズミクロン

2016-11-30 07:38:11 | 国産レンズ
ずっと前から気にはなっているのですが、ようやく重い腰を上げた感じで購入の決心を付けたレンズかもしれません。リコーさんのXRリケノン50mmF2ですが、以前に買ってみようかと考えていたときにはカメラに付けられているものがほとんどでした。つまり、当時他社を出し抜くような低価格設定で、多くの方が興味を持ったカメラのキット・レンズでした。

一時期は、リコーのカメラでもという気持ちがありましたが、カメラ店の方にペンタックスSPを持っていてレンズもそこそこあるのだから、敢えてKマウントにしなくても大丈夫ですよと教えられた記憶があります。当時のF2標準レンズは、低廉な価格を実現する手段でしたし、写りのグレードを下げてまで持つ必要が無いといった感じでした。

近年になって、和製ズミクロンとしての触れ込みが浸透して、初代の重たいバージョンのレンズは見られなくなってしまい、替わって後期生産品であるLマーク品が残っているという感じです。今回見かけたのもLマーク品のXRリケノン50mmF2です。初代品に比べて大分軽い製品ですが、それでもフジノン55mmF2.2の普及品に比べるとずっしりしており、ピントリングの回り方など、重厚感を備えています。

このレンズで、外観上興味のあることがありました。それは富岡光学製であるかという事です。多くの方が議論されているようですが、違った切り口で比較してみたいと思っていました。まずは、同じ時期のレンズです。リケノンとマミヤ・セコールのレンズは、富岡工学製のOEMレンズであることが多く、多くは金色と紫色のコーティングとなっています。

そこで、フジノン55mmF2.2を加えてレンズ前玉の形状比較をしてみることにしました。特にマミヤセコールとXRリケノンは同じような感じです。加えてコーティングの具合もほとんど同じような感じです。室内灯の反射から見ても同じ4群4枚のダブルガウスタイプのように感じられます。前玉の大きさもほぼ同じであることから、両者のレンズはほぼ同じメーカのOEM生産品であろうと思います。

これだけの状況が一致すれば、富岡光学がOEM生産したレンズと考えてよさそうです。富岡光学以外で考えられるとすれば、コシナさんのレンズであり、こちらの考え方も捨てきれないのですが、コシナさんのコーティングは当時カラフルな多層コーティングに替わっていますので、昔からの金色コーティングであれば、富岡光学という考え方になってしまいます。

どちらのレンズも、ドイツレンズに追いつき、そしてOEM生産を行ったメーカですから、和製ズミクロンと呼ばれる写りをしたとしても納得できる訳です。購入して帰ってきたのは良いのですが、これからは悪戦苦闘の撮影となります。Kマウントのレンズなのですが、最初期のKマウントな訳で今のディジタル一眼レフ・カメラでは結構面倒くさい作業になります。

その話は次のレンズ紹介で行うことにして、撮影行に出発します。高解像なレンズはピントもピシッと決まって気持ちがよく、さくさくと撮影が進みます。気持ちよく使えるレンズ、和製ズミクロンはその様なレンズです。

それでは、今月中旬に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 XR Rikenon L 50mmF2
撮影データ:1/60sec F5.6 ISO100
秋も深まってさんしゅゆの実が真っ赤に色付きました。これから葉が落ちて赤い実だけが枝に残ります。
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EBC Fujinon-T 135mmF2.5

2016-11-28 09:00:57 | 国産レンズ
フジノンのレンズは日本最強のレンズかもしれません。今となってみればフィルムを作っているのがフジフィルムさんだけですので、フィルムのテイストを最大限に発揮させることが出来るレンズが作れるのも、フィルムメーカさんの隠れた取り柄です。かつてはコニカさんがヘキサノンで競っていましたから、どちらのレンズも写りは一級品なわけです。

今では、フジフィルムさんのXシリーズが、フィルム時代からカメラで撮影をされている方に好評なことをカメラ屋さんに聞きました。やはりディジタル時代になっても、かつて使っていたフィルムと同じように写ってくれないと満足できませんし、すぐに飽きが来てしまうと思います。その点では黒白フィルムのモードでも、しっかりとトーンを出してくれるフジフィルムさんのカメラには脱帽です。

EBCフジノン-T135mmF2.5は、Web上で探してみてもほとんどヒットしない、ある意味隠れた銘レンズです。生産数が少ないことと多くの製品が輸出をされていたことがあって、むしろ海外のコレクターの方々の使用感が多くヒットします。その様なレンズですから、M42レンズの興味を持った頃は知らなかったレンズであると言うことも出来ます。

EBCフジノンレンズは、このレンズよりも19mmF3.5の超広角レンズのほうが有名で、多くのコレクターの方々が探しているレンズであることを紹介本でも知りました。その他一般的にはカメラについている55mmF1.8の標準レンズしか思い当たりません。35mmF3.5のレンズはたまに中古店で見かける程度であり、いずれのレンズも幻の領域にいる希少レンズです。

広島の中古店で紹介してもらったのがこのレンズで、購入したときにはどこにでもあるようなレンズであろうと思っていたのですが、後から調べてみてびっくり仰天となった訳です。日本国内ではほとんど売られていない、希少品レンズだった訳でコムラー135mmF2.8とあわせ、広島の中古カメラ店さんの品揃えの奥の深さに驚きました。まだまだびっくりするようなレンズが見つけられそうで、驚きです。

明るい光に強いフジノンレンズ、特に白い部分にトーンがはっきりと出てきて、簡単に白とびしない、粘る白が特徴です。ネガフィルムと合わせるとトーンの幅の広さに驚くような感じで、ディジタルカメラでも黒つぶれや白とびしない優秀レンズとなります。また、ピント合わせが行いやすい高解像の設計ですから、現代レンズと比較しても遜色が無い実力を持っています。

このレンズを付けていると明るい屋外に出たくなります。しかし、コーティングは一つ前のEBCコーティングで、明らかな逆光条件のときは少し不利になります。そこは最新のスーパーEBCコーティングでという所ですが、厳しい条件下でも何とかくじけずに粘ってくれる所が嬉しく、良く使用するレンズの一つに入っています。

さすがフジフィルムさんな訳で、実はこの写りがコンパクトディジタルカメラやチェキ、そして写ルンですでも愉しめるのがすごいところです。背景のぼけ方が違いますが、かっちりと写ってトーンの幅も広い、白い部分や黒い部分からトーンが湧き出してくるような感動を与えてくれるのもこのレンズならではといった感があります。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 EBC Fujinon-T 135mmF2.5
撮影データ:1/125sec F5.6 ISO200
いよいようちわかえでの葉も真っ赤になりました。すぐに落葉してしまいますのでチャンスを逃さず撮影します。
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程々の被写界深度で愉しむ

2016-11-26 07:43:50 | 撮影の方法
標準レンズの場合は、F1.8の大口径レンズがスタンダードですから、暗い夜でもシャッター・スピードがある程度稼げて、フィルムカメラでも重宝するのですが、被写界深度も同時に浅くなってしまって、飲み会の時の写真などはピントを合わせた部分以外はすべてピンボケになってしまって、それならばフラッシュということになります。

135mmレンズでも同じことがあって、F3.5のスタンダード的なレンズはそこそこ被写界深度が稼げて満足できるのですが、F2.5やF2.8クラスの明るいレンズでは程々の被写界深度、F1.8クラスの大口径レンズは絞り解放で前後0.5mm位しかない場合がありそうです。その分ボケ量が大きくなって背景から被写体が浮き上がるように設定しやすいのですが、手持ちでは少し無理な状況になります。

一時期は海外に向けて輸出されていた135mmF1.8の巨大レンズにも興味がありましたが、なししろ大きくて重くてという感じで、夜景を撮影するには丁度良いかもしれませんが、夜にその様な巨大レンズを持ち出して撮影すると怪しまれそうです。何しろAPS-Cサイズのディジタル一眼レフ・カメラでは、85mmF1.8の大口径中望遠レンズがおおよそ130mmF1.8の手軽な大口径望遠レンズに化けてくれますので、それほど希求感が無かったという感じです。

ペンタックスさんのレンズではA☆の135mmF1.8レンズが有名で、何しろ高くて曇りの発生しやすいレンズですから、余り興味が向かなかったのが本音です。実写の写真も見せてもらいましたが、少し口径食のためにボケが変形していて、惜しい気がしました。大口径レンズもそれぞれに癖を持っていますので、自身の好みに合わないようであれば、持っていても使わなくなってしまいます。

その様な感じで、135mmF3.5のレンズでは後ぼけの硬さが気になりますし、もう少しボケ味がきつくないような、柔らかめの描写をするレンズを求めていたわけです。しばらくする
うちにコムラー135mmF2.8レンズを手に入れて、ボケ味と立体感に満足した感じでした。タクマーでもと探してみると、SMCタクマー135mmF2.5がありました。F2.8レンズと比べて少し明るいのが取り柄です。

タクマー135mmF2.5レンズにも、時代の変遷とともに色々な構成があることを知って、集め始めます。微妙な感じですが各々のレンズにはそれぞれ特徴があります。このようなときに希少品レンズのEBCフジノン-T135mmF2.5が手に入ったりするわけですから、M42レンズの底の深さには驚かされます。

結局、135mm大口径望遠レンズはF2.5くらいが丁度体にもなじんで、扱いやすくて満足できる画が出来ますから、その場の雰囲気に合わせてレンズをチョイスして撮影する事にしています。晴れている日が多くなった11月初旬は、やはり強い光の中で満足できる画を出してくれるフジノンをチョイスしました。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 EBC Fujinon-T 135mmF2.5
撮影データ:1/400sec F5.6 ISO100
秋になると菊の花、色々な色と形があって道端に咲いている花を見ているだけでも飽きません。
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06 Telephoto Zoom 15-45mmF2.8(Pentax Q7)

2016-11-24 20:30:00 | 国産レンズ
ペンタックスQ用の望遠ズーム・レンズで、キット・レンズにもなっています。最近になってようやく揃えたという感じで、大半の撮影はスタンダード・ズームがこなしてくれますから、特に必要性を感じなかったというのが本音です。旅先での撮影にペンタックスQが活躍してくれる訳ですが、あと一歩近寄りたいという要望に応えてくれるレンズです。

レンズはズーム・レンズにすると画質が落ちて暗くなります。レンズの構成枚数が増えてしまって、色々な焦点距離で何とか目的に近い解像度とボケ味を得るようにしないといけませんから、どうしても特性が平均化してしまって諦めないといけないところが出てきます。このために単焦点レンズを良く使うようになってしまったという所で、ズーム・レンズはほとんど所有していないといった感じでした。

Q用のレンズは、カメラ自体の撮像素子が110サイズに近い大きさですので、小型化することが可能です。このためにレンズ自体を少し大きくすれば、割りとコンパクトで高性能なレンズが出来上がります。しかも、現代は分散レンズに非球面レンズと、従来のレンズが苦手としていた収差補正も簡単に行えるようになってきています。

また、カメラ側での歪曲収差補正は便利な機能で、専用レンズであることも加味されて、どのズーム位置でも歪曲が感じられないほどに補正されます。大きなディジタル一眼レフ・カメラにズーム・レンズを付けると、たる型と糸巻き型の歪曲に悩まされますし、現像ソフトウエアで補正してもあまり良くなりません。この点は、専用の望遠ズーム・レンズは信頼できるという訳です。

単焦点レンズは、その点歪曲の度合いは固定されていますので、レンズの設計によって補正することが可能です。つまり昔のレンズから良好に歪曲収差が補正されているレンズが多く、まっすぐなものはほぼまっすぐに写る訳で、単焦点レンズばかりを集めてしまうといったことになります。しかし、色収差や球面収差は起こりますので、ハロや色のにじみは我慢しなくてはいけません。

このジレンマを解決してくれるレンズな訳で、ペンタックスQでは積極的にズーム・レンズを使用するようになっています。購入して使ってみると、なるほどな感じで収差のほとんど感じられないクリアな画像が得られます。キット・レンズとは思えないような良い写りをしますので、お勧めのレンズであろうと思います。

出張から帰ってきて少し時間が有りましたので、残った紅葉を手早く撮影していきます。とちの木は落葉してしまって枝だけになってしまいましたが、さくらとけやきの木はまだ葉が残っていますので、何とか撮影できたという次第です。冬に咲き始める花も咲き出しましたので、一緒に撮影して晩秋の雰囲気を堪能しました。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX Q7 Telephoto Zoom 15-45mmF2.8
撮影データ:1/250sec F5.6 ISO100
けやきの紅葉を撮影して、近くを見るとつたの葉が紅葉していました。日に透ける紅葉の葉はきれいで、思わず見とれてしまいます。
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紅葉を追いかけて

2016-11-22 18:50:00 | 季節は進む
山の上で紅葉が見ごろと、紅葉を見に行っていたのもつかの間で、平地でも紅葉が進んできていて桜の木は見頃を過ぎて枝だけになった木々を良く見かけるようになりました。今一番見頃がけやきの木で、公園には大きく育った木々が多くありますから、金色に輝く葉をいっぱいに付けた枝は格好の被写体になります。

しかし、チャンスを逃してしまうと葉の数がまばらになってしまって、何とも淋しい感じに写ってしまいます。石川県でもけやきの紅葉が一気に進んだ感じで、今ではまばらな感じになってしまいました。やはり黄色と赤、そして残った緑色が織りなす紅葉が一番美しく感じる訳で、紅葉を追い求めてチャンスを伺うと云う事になります。

南へ行くほどに紅葉の季節が遅くなる訳で、今では大分散ってしまった桜の紅葉も南の地方に行けばまだ残っていると云う訳です。しかし木枯らしが吹き始めると南の地域でも紅葉が一気に進みますから、油断はできません。これからはいよいよモミジの葉が紅葉してきますので、今のうちにけやきの紅葉だけは撮影しておきたい感じです。

丁度関東方面への出張がありましたので、カメラを携えて行きました。やはり軽さと小型のものをといった要求には、ペンタックスQがマッチします。交換レンズ3本も一緒に持っていく事にしました。南の関東地方だけあって、桜の葉もまだ残っていますしけやきの葉も緑色の部分がまだ残っています。紅葉はこれからという感じで、撮り逃した風景を補っていきます。

数コマ撮影して満足し、仕事を続けます。けやきの木は公園で一番映える大きな木ですから、遊歩道の並木と合わせて充分に楽しめる感じです。けやきの紅葉が一段落すると、次は銀杏並木が紅葉し、黄色の葉が空の青色に良く映えて、絶好の撮影対象になります。そして最後にはもみじの赤色となる訳です。

帰ってくるともみじも少しずつ赤みを増してきている感じで、今から楽しみです。へくそかずらの実も茶色が濃くなってつやつやに光ってきますので、絶好の撮影対象になります。花も秋の花が一段落して、山茶花などの冬の花がそろそろ咲き始めてきました。足元を見るとつわぶきも黄色の花を咲かせてきています。

雪が降ってくると色が段々無くなってきて、モノトーンの世界になります。太平洋側では冬枯れの雰囲気なのですが、黒白フィルムを活用して単色の世界を愉しむのも良いものです。雪が降るまでは、紅葉の世界で色々な色の競演を愉しむことができますから、カラー・フィルムを詰め込んで大いに撮影を行いたいところです。

なんだかんだと、色々な場所に行ってそれぞれの場所で紅葉を思い切り堪能する、1ヶ月くらいの間ですが色の世界を愉しもうと考えています。

それでは、今月初めに撮影した写真から掲載します。


PENTAX Q7 Standard Zoom 5-15mmF2.8-4.5
撮影データ:1/125sec F5.6 ISO100
出張先ではけやきの紅葉が見事でした。緑から赤に変化する色のグラデーションは青い空に映えてとても美しく見えます。
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