あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

レンズと色合い

2014-04-30 20:11:20 | レンズいろいろ
いろいろなレンズを取り替え引き換え撮影していますが、メーカ毎に得意とする色があって、被写体の色彩がレンズの特性とかみ合うと、思わず納得してしまうような画像を出してくれます。現代のレンズでは、どのメーカ製のレンズを使っても同じ色彩になってしまうのですが、昔レンズではメーカ毎に微妙に違います。

タクマーはどちらかと云うと、渋めの発色と云う感じなのですが、黄緑色の発色がきれいに出せます。新緑や夏の葉裏の雰囲気をタクマーで撮影すると、とてもきれいに出す事が出来ます。反面、その補色となる茶色から赤色は、少しくすんでしまいますから渋めの雰囲気になります。

タクマーで撮影していて、田舎の風景がそれらしく撮影出来るのは、この様な事かも知れません。反面黄緑色が強めに出て来ますから、少し暗めに撮影しておかないと、見事に色飽和を起こしてしまって、グラデーションの差による立体感が出し辛くなってしまいます。茶色の渋め発色も相まって、草木や花の撮影にはうってつけなのかもしれません。

青色の発色が得意で、ニュートラルに近い発色なのに白色がきれいに出るのが、フジノンレンズです。フジフィルム自体も、空の色合いがはっきりと出せるフィルムですから、両者の特性が相まって、見事な色彩感を醸し出します。フジカを買ったなら、フジフィルムで堪能する。そのような感じです。反面、暖色系のフィルムを使うと、色合いが相殺されてくすんでしまいます。やはり、フジにはフジと云った感があります。

フジフィルムのレンズを使っていて、感じる事は白色の発色です。とにかく白色の中に諧調感を持っていろいろな白色を表現していますから、他のレンズの様に白飛びを起こしてしまう事が少なく、安心して白色系統の花に挑戦できます。白色諧調が湧いて出てくる感覚は、フジノンの特徴に感じます。フジノンは空の青と感じていますが、少しクール目の白色発色が成せる技であろうと思っています。

ドイツ、そしてロシアレンズは彩度が高めの発色を堪能できます。多少どぎつい感じなのですが、彩度をぐっと上げる事が出来ますので、国産レンズでは色表現が難しい淡い色の草花を、色が判る程度に誇張してくれます。桜の花芯付近のピンク色は、ドイツレンズが得意とする所ではないかと感じています。日本国内のいろいろな風景も落ち着いた色合いで、やもすると白黒写真に近くなってしまうのですが、色を誇張して鮮やかに再現すると、カラー写真を撮影している気分になります。

春も本番になって、白色のどうだんつつじの花が目にまぶしい感じです。白色の花も多くなってきますので、これからはフジノンで撮影しようと云う感じです。EBCコーティングではない昔のフジノンでも、白色の発色のきれいさに脱帽しました。以前はフィルムを使っていましたから、レンズにあったフィルムの取り合わせがありました。

今では、撮像素子は何種類も装着すると云う事が出来ませんから、取り合わせよりも発色を愉しむ味付けとして、色々なレンズを使っています。
それでは、先週木曜日に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 Fujinon 55mmF2.2
撮影データ:1/125sec F4 ISO200
春の桜はかんひさくらに始まって、そめいよしのが咲き、最後に山さくらや八重さくらの花が咲いていきます。山さくらの花は結構淡い感じですが、フジノンは白色のグラデーションで花をきれいに見せてくれます。
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SMC Takumar 85mmF1.8

2014-04-28 21:05:15 | タクマー・レンズ
昔も今も、タクマーの中で唯一高級品のレンズです。他には超望遠の300mm以上のレンズがありますが、中古価格は安めです。やはり写りが良くて高級感があるレンズと云えば85mmで、今でも買うのをためらうような値札が付いています。購入の際にあまり負担がかからず、コスト・パフォーマンスが良いレンズとしてタクマー・レンズがあるのですが、85mm系だけは別格な印象を持っています。

その中でも銘玉と呼ばれているのが、SMCタクマーではなさそうで、オート・タクマーや初期のタクマーが写りも良くて銘玉と称される感じではないかと思います。たまに中古品で見かけるのですが、オート・タクマー85mmF1.8はSMCタクマー85mmF1.8の倍程の値札が付けられています。

では、写りはどうかと云うと、解像度やハロ等レンズの基本性能から評価すると、現行の85mm大口径中望遠レンズの性能が圧倒的に良く、昔のタクマーと同じ値段を払う位なら、今の新しいレンズを購入した方がよさそうです。現行レンズは85mmF1.4の高級品は確かに高いのですが、85mmF1.8の普及品レンズは安めです。

この様な感じですから、何かしら問題のあるレンズを買ってくる位しかチャンスが無い状況です。このSMCタクマー85mmF1.8も、問題無く使えるものはすごく高いのですが、前玉にほんの少し傷があるために格安で売られていました。前玉の傷は、写りに関してあまり影響がありませんので、購入してしまった訳です。

SMCタクマー85mmには、F1.9の前期型とF1.8の後期型があります。SMCコーティングになったばかりの頃は、恐らくスーパータクマー用のレンズ玉在庫が残っていたと思います。この為に、コーティングだけをSMCにしたバージョンが前期型です。マルチコート化されて、レンズの構成枚数を増やす事が出来ますので、前期型は構成枚数の少ないエルノスター、後期型は構成枚数を増やしたガウス型に変わっています。

レンズ玉の在庫が早々に無くなったと思われますので、前期型のSMCタクマーは中古屋さんでも見かける事がありません。解像度の点からいっても後期型が無難ですから、はっきりとした写りを求める時には、後期型のSMCタクマーが豊富に出回っていますので、お勧めであろうと思います。しかし、タクマーを購入するならば、現行のFA85mmレンズの写りが良いので、FAレンズの方が満足できると云う感じです。

絞り開放では、線も細く上品な描写になりますが、被写界深度が極端に浅くなります。流石85mm大口径中望遠レンズで、安易に撮影するとピンボケを量産してしまいます。少し絞り込むと、被写界深度の浅さは軽減されるのですが、今度は力強く硬い描写になります。ほんの少しの絞り変化で、画面の硬さが変わる程度が大きく、やや扱い難い印象を持つレンズです。

それでも、割り切って使う分には収差などの癖も取れて、解像感の高い画像を手に入れる事が出来ますし、絞り開放の時には三脚携行で臨むと良いレンズです。大きくてどっしりとしたレンズですから、手持ち撮影は少し絞り込んで、背景を一様な感じになる様にすると、立体感と質感の高い画像になります。

85mmレンズは、昔も今もポートレイト・レンズとして人気があります。タクマーだけにこだわらず、使っていくのが良いと思います。
それでは先々週土曜日に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 SMC Takumar 85mmF1.8
撮影データ:1/1000sec F2.8 ISO100
ホトケノザの花がいっぱい咲いてきました。もう少しすると雑草に埋もれてしまいます。近接でも優雅な後ボケが得られますから、85mmレンズは手放せません。
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異常気象と春の花

2014-04-26 20:07:18 | 季節は進む
4月に入ってからすごく暖かくなったり、また雹が降る程に寒くなったりと、気温が一定しないこの頃です。おかげで、4月初めに咲きだした桜も、この寒さで急ブレーキがかかり、満開のままで1週間咲いています。おかげで、春の花が一斉に咲きだして来て、普段見られない様な取り合わせで、花々を見る事が出来ます。

その中で、元々寒い時期から咲き始めるまんさくや雪割草は、暖かくなった時点でさっさと花を開いて散っていく感じです。加えて、本年のオウレンは数日間の開花であった感じです。つまり、撮影行に行く日と行く日の間で、さっさと満開になって散っていったと云う感じです。

今年は満開になってから寒い日が続いた桜ですが、花びらが散るようではなくて、花そのものが落ちていきます。例年ですと花びらが舞い落ちて、絨毯の様にあたり一面をピンクに染めるのですが、今年はまばらに花そのものが落ちていると云った感じです。桜の開花期間が長い感じです。

春の花がこの様な調子ですから、屋内の暖房器具もしまうチャンスを逃してしまい、まだ現役で部屋を暖めています。特に朝は数度まで気温が下がりますから、場所によっては霜が降りていて、せっかく咲きだした春の花が、満開になる前で足踏み状態になってしまい、いつまでも同じ様相を見せてくれます。

結構寒い日が続きましたので、桜の花も2週間以上咲いたままになっていました。桜の花も、梅の花も結構長持ちしましたから、今年の春はいろいろの花が一気に楽しめた感じになりました。週末からは一気に春めいてきそうですから、ゴールデン・ウィークは初夏の雰囲気と云ったところでしょうか。

そろそろ我が家の春蘭も、花を咲かせてくれるのではないかと思います。また、少し遅くなりそうですがアメリカハナミズキの花芽も大分膨らんできました。もう少しすると初夏の花が咲き始めます。日差しも日増しに強くなってきていますから、コントラストが強い中での撮影は、SMCタクマーが有利です。

連休中はどこへ出かけましょうか。今から色々計画を練っていますが、やはり石川県ではあまり目にしない花が咲いている場所が、出かける時には新鮮な気持ちで接する事が出来て好都合に思います。

昨年は京都大原でしたから、今年は桃の花でも見に行きましょうか。信州の春もよさそうです。色々計画を練っていますから、何か実現できればと思っています。今回の旅行には是非ともペンタックスQとスタンダード・ズームを連れていきましょう。景色と花を見る旅に、あまり重いカメラは持っていかないようにと考えています。

それでは、先週日曜日に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 Takumar 200mmF3.5
撮影データ:1/500sec F7 ISO100
花ももの花が木をピンクに染めています。ピントを合わせるのが難しく、タクマー・レンズでは鬼門の色の花なのですが、初代タクマーは難なく写す事が出来ます。
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Auto Mamiya/sekor SX 50mmF2

2014-04-24 20:18:18 | 国産レンズ
マミヤの35mm用レンズです。M42マウントの最終型レンズでもあったために、絞り伝達ピンの取り外しや、絞り輪外周部の出っ張り削りと苦労したレンズですが、ディジタル一眼レフのK-5に無事取り付ける事が出来て、ホッとしています。

マミヤのレンズは解像感が高くてくっきりと写りますから、中古品のレンズを手に入れた時には期待感満々でした。期待通りくっきりと写りますし、XRリケノンと同じような感じで現代風の写りをします。和製ズミクロンの様な感じで、夜の風景や遠景の風景を撮影するのに向いているレンズです。

反面苦手な所もあります。それは、あまり背景ボケがきれいでない事で、多少のざわつき感が出て来ますので、被写体と背景の距離感を良く掴んで、あまり絞りこまないようにして撮影する事が必要になります。絞り開放では、被写界深度がかなり狭まりますから、しっかりとカメラをホールドして、前後の振れによるピンボケを防ぐように撮影する事が必要です。

発色はおとなしい感じなのですが、コントラストは少し高めです。このため、黒つぶれや白飛びに気を付ける必要がありますが、抜けが良いレンズでもあり、色のくすみはあまり感じられません。コントラストが低くなる曇りの天候では、タクマーに比べて多少立体感が出し易い気がしますが、色が出難くなりますので、やはり晴れの日の撮影が良いように感じます。

いろいろ気をつけて撮影する必要がありますが、やはり持ち前の解像度の高さとコントラストは、流石マミヤのレンズです。細かな部分までくっきりと描写しますから、後からの大伸ばし印刷にも充分に耐える画像を得る事が出来ます。今から30年前の普及品レンズでありますが、現代のレンズも凌ぐような味わいを持っています。

桜の季節で、桜の特徴を活かすように撮影するためには、被写界深度がある程度深くなる事が要求されます。そうしないと花びら一枚だけにピントが合ってしまって、桜の枝一本丸ごとに焦点を合わせ辛くなります。少し離れて、枝全体を表現しながら後ボケで立体感を出していく工夫が必要になります。

この様な時に、被写界深度がある程度深く取れるこのレンズが、うってつけの感じがします。F3.5までの間で、画面の硬さと被写界深度が満足できるように、ゆっくりと撮影するスタイルが必要になります。また、ある程度絞り込んで、パン・フォーカス気味に街角の風景をスナップする撮影にも向いている感じがします。

いろいろな使い方を提供してくれそうなレンズで、得意とする被写体を見つけていく事も楽しみの一つです。昔のレンズなのですが、今でも現役です。

それでは、先々週土曜日に撮影した写真から掲載します。


PENTAX K-5 Auto Mamiya/sekor 50mmF2
撮影データ:1/1000sec F3.5 ISO100
オオイヌノフグリも背丈が伸びて来ました。背丈が低い頃は地面一面が青色に染まる雰囲気だったのですが、今はまばらに咲いています。
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フル・マニュアルのお楽しみ

2014-04-22 20:50:30 | 撮影の方法
最近のカメラは、自動露出に自動焦点が普通です。撮影者は構図に専念すれば良い。と云う訳で自動の世界に身を委ねますが、なかなか思った通りに画像が出て来ません。細かな部分で目標部分にピントが合っていませんし、画面が必要以上に硬くなってしまったり、または柔らかすぎたりして、面白くありません。

無理やり、合焦センサ位置に被写体を持ってくるのですが、それでは構図が納得いかない感じです。もとの構図位置に画面を戻すと、今度はコサイン誤差が出てきて、ピントが外れてしまいます。本当に狭い範囲のピント外しですから、絞り込んで被写界深度を稼ぐと、背景ボケがうるさくなってしまいます。

暗い普及品ズーム・レンズを使えば、被写界深度もある程度稼げるのですが、色々な収差が顕わになってきて、結局絞り込んでしまうと、単焦点レンズよりも面白くない画像に変身してしまいます。コンパクト・ディジタルカメラで撮影した画像になってしまうのです。

昔の単焦点大口径レンズは、絞り開放における解像度や収差の度合いは悪いのですが、現代のズーム・レンズと同じように1~2段絞り込むと程々の効果が得られます。単焦点大口径レンズ自体は明るいレンズが多いので、絞り込んでもF2.8位である場合がほとんどです。程々に明るいF2.8レンズではF3.5まで絞り込むと、程々の効果が得られます。

そこで・フル・マニュアルの世界です。露出計を同行させて、ディジタルでもフィルムでも、露出計の出した指示値に合わせ込んで撮影します。しかし、ただ単に合わせ込んでも失敗する事が多い訳です。そこで、レンズの焦点距離に合わせて、露出計のセンサ位置とターゲットになる被写体までの距離を、一番露出が合った所で覚えておきます。

ディジタル一眼レフ・カメラで数枚、露出計と被写体との距離を変えながら撮影して、ベスト位置を覚え込んでしまいます。案外単純な覚え方で、この位と云う感じですから、覚えやすい訳です。一回覚えてしまったら、装着しているほとんどのレンズが固定焦点のレンズですから、撮影行の条件すべてを大体同じ感じで合わせ込めます。

露出計の指示値は、色々な絞り値に対応した、シャッター・スピードの組み合わせが表示されています。この中で、ファインダー画像を見ながら、画面の硬さと被写界深度を自分好みになる様に、先ずは絞りを合わせてから露出計の組み合わせ指示値を見ながら、シャッター・スピードを選んで設定します。後は目標位置の被写体がはっきり見えるようにピントを合わせ込みます。

露出計に頼るとサクサクと撮影が進みます。一回勘所を押さえてしまえば、後はピント合わせと構図に専念できる訳ですから、時間が掛からなくて快適です。フル・マニュアルの世界、愉しみが増えて良かったと思っています。
それでは、先月末に撮影した写真から掲載します。


Nikon F Nikkor-H Auto 50mmF2
撮影データ:1/500sec F8 KodakGold 200
つたの葉はまだ出ていませんが、コンクリートの壁にびっしりとついています。白黒フィルムで愉しめたらと思える1枚です。
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