久々に使ったヤシカDという感じで、昔々の2眼レフカメラのいで立ちなのですが、ヤシカのカメラが販売されなくなる時まで生産が続けられていた、ある意味新しいオールド・カメラです。最終型には露出計も付いていて2眼レフのAEカメラになっていたのですが、手に入れたカメラはフル・マニュアルの至って普通のカメラです。
ヤシカのカメラは写りが良いと言われている通り、メカニカルの部分が得意なヤシカはカメラ本体という感じで、レンズはほぼ富岡光学のOEM品となっていました。確実なメカニカル動作とレンズも一流品ですから、写りが悪いはずがありません。このため今でもヤシカのカメラは中古品でも手に入れにくいと言う事になります。
ヤシカDは、ブローニー・フィルムを使う6×6判の、コンパクトな中判カメラです。今となっても結構中古価格が高いうえに、なかなか出会うことがない半分幻のようなカメラです。装着されているレンズはヤシコール80㎜F3.5なのですが、このレンズをテッサー・タイプにした高級品も有るのですが、まだ見たことがありません。
何から何まですべてマニュアル動作のカメラですから、フィルム巻き上げに連動したシャッター・チャージも行われません。このため日頃よく使う35㎜フィルムカメラを使った後でヤシカDを使うと、勘違いして多重露光のコマを作ってしまい、次のコマから慎重に操作しようと思うと今度は未露光のコマを作ってしまう意地悪なカメラです。
絞りの値はよく見る並びになっているのですが、シャッター・スピードは今のような並びにはなっていないという感じで、露出計を使って設定を行う時に表示する数値が多少違いますので、大体こんなもんと考えておおらかに設定する必要があります。しかし、昔ながらのレンズ・シャッターですから、シャッターの動作ショックがほとんど無くて、しっかりとカメラをホールドできれば遅いシャッター・スピードでも何とかなるという具合です。
それでも流石は富岡光学のレンズと言う事もあり、しっかりとした画像を結んでくれる優秀なカメラと言う事が出来ます。しかし、富岡光学のレンズはある意味研ぎ澄まされたピント位置を持つレンズですから、ヤシカDとはいえ近接撮影の時にはしっかりとピント合わせを行う事が必要になります。
昔ながらの素通しのファインダーですから、左右像が逆像になる事は仕方がないといったところですが、フレネルレンズを用いたファインダーですから、ピント合わせも行い易いといった感じです。何しろすべてがマニュアル動作のカメラですから、その分自由度は無限大と言った感じで露出に手心を加えやすいカメラと言えます。全体の印象から露出とシャッター・スピードは大体この位と設定できる訳で、オート露出カメラにはない楽しさがあります。
1月下旬の休日は少し雪も少なくなってきて、曇りの休日になってきました。光量も少ないのですが、シャッター・スピードを気にせずに撮影できるヤシカDは、格好の練習用カメラになってくれたというところです。これからは少しずつ春の陽光が戻ってくるわけで、久しぶりに中判カメラを使えて満足したというところです。
それでは、先月下旬に撮影した写真から掲載します。
Yashica-D Yashikor 80mmF3.5
撮影データ:1/120sec F8 Fujifilm Neopan100Acros(ISO80)
ツタの葉が紅葉して散ってしまうと、後からチガヤがぐんぐん伸びて来るようです。しかし、雪が降るとチガヤも枯れてしまって、春を待つようになります。