今では幻となってしまったコムラーで、中古品もだんだん少なくなってしまいました。昔懐かしい三協光機が製造していたレンズで、ライカマウントのレンズも作っていましたし、ゼンザブロニカ用のレンズも作っていた著名なサードパーティー・メーカーです。よく使っているM42レンズもいっぱい作っていたのですが、残念ながらこの135㎜F2.8以外はあまり見かけないという、ある意味幻のメーカーです。
この135㎜F2.8のレンズには、かなりの自信を持っていたようで、いろいろなカメラメーカーのマウントに合うようにユニバーサルジョイント構造を持っていて、各メーカーのマウントに合わせたアダプタを付けることで、いろいろなメーカ用レンズとして販売していました。当時のサードパーティ・メーカーは、アダプトマチックなどのユニバーサルジョイントを使っていたわけです。
その中でもコムラーのレンズは、他メーカーがオート絞りを採用する中で、すっと昔からのプリセット絞りを採用していました。メカニカルの機構を少なくした分、レンズ鏡胴の余裕も確保できるわけで、コムラーのレンズは円形に近い絞り形状も確保できることから、写りもかなり良いリーズナブルなレンズとして評価されていました。
自身も欲しかったレンズなのですが、残念なことに大学に入った頃、このメーカーは見かけなくなってしまいました。最終期はズーム・レンズまで出していたメーカなのですが、ずっと採用していたプリセット絞り機構のために、ユーザの心が離れてしまった事が原因のようです。
これから先はレンズの自動化も急速に進んで、自動絞りやAFメカニズムが搭載されていくのですが、この流れに乗り遅れてしまったという感じで、レンズそのものの写りは非常に良いがために、ある意味残念な出来事という感じです。結果としてコムラーのレンズはジャンク価格で流通していくことになるのですが、今でも結構リーズナブルな価格で中古品販売がされているようです。
この余裕を持った単純な構造であるがために、メンテナンスが行いやすいですし、もしレンズ部品が壊れたとしても、ジャンクレンズを買ってきてニコイチにして現役復帰をさせることもできます。このため、カメラ屋さんのジャンクレンズを漁ってきて、壊れた時のためにと2本のレンズを在庫しています。
コーティングもほとんど無いような、すごく昔レンズの雰囲気いっぱいなのですが、絞り解放で多少柔らかな写りになることを除いて、少し絞り込むとはっきりとした画像を結びます。絞りもほぼ円形絞りですから、背景ボケの角張りも少なくて立体感のある画が撮影できます。レンズ性能に余裕がありますので、満足できる結果が残せるという訳です。
このレンズをペンタックスさんのディジタル一眼レフに装着すると、手振れ補正機能や絞り込みAE機能がそのまま使えますので、ファインダー画像を見ながら背景ボケの硬さを確認してシャッターを切ることができます。プリセット値を最大絞りに設定しておけば、可動リングを回してすぐに絞り設定ができますので、すごく便利という事になります。
立冬の日も過ぎてしまって、後は初冬の雰囲気に向かってまっしぐらという感じなのですが、おそらく今年最後であろうという暖かな晴れた日に撮影行に出かけてきました。今年の紅葉もこれが見納めという感じで、後は足早に落葉して枝だけの寂しい雰囲気になってしまいますから、撮影出来て良かったという感じです。これからは冬の装いで、寒さに体を慣らしていこうと思います。
それでは、先月中旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 Komura 135mmF2.8
撮影データ:1/500sec F5.6 ISO200
この前からゆっくり紅葉していたうちわかえでも、ここの所の寒暖差で一気に紅葉してしまいました。これからは枝だけの寂しい雰囲気になりますので、そろそろ黒白フィルムの出番といったところです。