当時はプロのカメラマンが持つレンズでもあった大口径中望遠レンズですが、庶民派タクマーレンズにも存在している訳で、いつかは買えれば良いなと思っていたレンズです。ところがタクマーの生産が終了しても、このレンズだけはどんどん価格が上がっていって、少し前にM42レンズの人気が下がってきて、ようやく購入できたレンズです。
元々は85㎜F1.8の少し明るいレンズだったのですが、レンズにオート絞り機能が追加されると、レンズ鏡胴内のスペースが確保出来なくなって、やむなく同じ大きさでレンズ径だけ少し小さくして対応したレンズです。この変更はSMCタクマー前期型まで続きましたが、やはりF1.8の少し明るいレンズにしてほしいという欲求は続いていた様子で、今までずっと続いていたエルノスター構成からガウスタイプに変わって再出発したという感じです。
とはいえ、昔の大口径レンズですから、その大きくて重い重厚感は確かにあって、レンズを持っているという所有欲を満たしてくれる存在であったことには違いありません。しかし、大きなレンズですから収差の影響はかなり強くて、俗にいうごんろく絞りすなわちF5.6位まで絞り込まないことには、かっちりとした画像にはなりません。
比較的扱いやすいのは人物像までで、それよりも近接して撮影しようとすると極薄の被写界深度に悩まされることになります。手持ちでは体の振れによって微妙なピント外しを量産してしまう事になりますから、しっかり撮影したいときには三脚が必須という事になります。また、明るくするとフィルムではシャッタースピードが高くなりすぎて設定できませんので、必然的にNDフィルターが必要になります。
いろいろな条件に配慮することによって、初めて立体感のある見事な写真を撮影できるという事になるのですが、当時はそのようなことも面倒くさい訳で、それならばという事で55㎜の標準レンズか105㎜の中望遠レンズにした方が、簡単に目標の雰囲気を得ることができますので、85㎜以外の選択肢を実行していたという事になります。
自身もディジタル一眼レフカメラを持つようになって、初めて食指が動いたという感じなのですが、手に入れて使ってみると結構後ボケの角張りが気になります。絞り解放でもある程度解像感は出ているのですが、絞り解放付近にすると収差からくる色のにじみが気になります。結局は妥協点で撮影するのですが、あまり満足できる結果が得られません。
結構難しいレンズという訳で、やはり満足できる結果を得ようとすれば、ポートレイト以上の撮影距離で、少し絞り込んで撮影というのが無難という感じです。元々がポートレイト用レンズですから、少し離れた場所からの人物撮影に特化した雰囲気とみることができます。風景写真でも引き算の構図が取りやすい訳で、結構使いやすいという感じです。
ネイチャー写真でも、少し暗い雰囲気の中で被写体にあまり近づけない場合など、結構重宝して使えているという感じです。元が明るいので少し絞り込んだとしてもシャッタースピードがあまり下がらなくて済むと言ったメリットがあります。現代レンズでは非球面レンズと分散レンズを駆使して、絞り解放から鮮明な写真が撮影できますので、あえてタクマーまで探す必要がないというのが使ってみた感想という所です。
何だか台風が通り過ぎた後は晩秋のような雰囲気になってしまったのですが、ようやく週末になって気温も少し持ち直してきたという感じです。やっと撮影行に出かける気持ちになってきたわけで、暖かさが戻ってきた秋の気配を堪能してきたという所です。行きつ戻りつの秋の雰囲気を繰り返しながら、季節は晩秋へと歩みを進めている感じです。
それでは、今月上旬に撮影した写真から掲載します。
PENTAX K-1 Super Takumar 85mmF1.9
撮影データ:1/2000sec F4 ISO100
寒くなって桜の紅葉も一気に進んで、残った葉も少なくなりました。新しい花芽も出来ていますから、今年1年ご苦労さんの気持ちを込めて撮影します。