Today's agenda

通勤ローディ、たまにホビーレース

次世代の自転車用チェーンの提案

2012-04-25 23:46:22 | シマノ製品調査
今日もチャリ通、40km。帰りが、「これでもかっ!」ってぐらいの強風で、たった13km/hしかだせない。こんな感じ↓。



仕事と趣味が一緒って楽しい。
明日は通院で休みなので、椿本チエインの論文を宿題にお持ち帰り。とか言いつつ、実は、究極のチェーン作りのベースネタだったりする。



てなことで、ディープネタ、復活です。

Today's Agendaは、「次世代の自転車用チェーンは?」です。(まぁ一応、そんなお題目のブログなので)

もちろん、何の役にも立たないので、お付き合い頂ける人だけ読んでくださいな。

長いので、結論を先に書きます。


<結論>
次世代の自転車用チェーンとして、CULTベアリング(セラミックベアリング+コールスターライジング処理)をローラーに使用し、プレートをチタンで製造し、ピンはDLC処理したチェーンを提案する。
尚、チェーンのローラー径は、現φ7.8→φ10まで外径をアップする。(現規格と互換性なし)
潤滑剤は、オイルを使用することなく、「ドライ」もしくは「水」を潤滑剤として使用する。



きっかけは、私がDIYで「ベアリング入りのチェーンを作りたい」でした。

世の中の自転車用チェーンは、デュラチェーンですら、すべりローラーをです。これは、チェーンの中のローラーが軸の上を滑っているだけの構造です。
しかし、世の中には、「ミニュチュア・ボールベアリング」なるものがあり(NSK製とか)、構造的には、これと置き換えは可能です。こんなの↓。



ここまでは、思いつきの世界。ここからが技術屋の仕事。(←趣味でしょ?)


まず、今のチェーンに入るベアリングサイズを選びましょう。サイズ的には「MR84=耐加重:395N」となりますかね。

ここで、さっきの論文が登場して精度を上げるべきですが、今回は、精度はそこそこのBinderの理論(←ちょっとズル)で計算させてください。


チェーンへの荷重MAX値は、「トム・ボーネンが、1500Wの出力で、ケイデンス150rpmのトルネードトムになり、アウターで激しくがちゃ踏みをした」としました。まぁこれに勝てる人は、そうそういないでしょう。

この時の、チェーンのベアリングへの荷重は「706N」。…あれっ?ベアリングの耐加重を超えちゃったよ。ダメですね。


じゃあ、どれぐらいの踏み込みなら持つのか?

「900Wぐらいの加速で、ケイデンス100rpmで、アウターでスムーズに加速」の時、ほぼ「395N」になります。
つまり、一般人のフルスプリント(1000Wぐらいは出す人もいる)でガチャ踏みしたら、…多分、ベアリングが壊れるでしょう。

まぁこれが、「現チェーンをミニュチュア・ボールベアリング化」した時の限界なんです。(←ベアリングを買う寸前まで行きましたが、自重して良かったです)


トム・ボーネンがスプリント中にチェーンが切れたなんてあったら、激しく怒られるでしょうね。そんなトムが怖いので、持つスペックを考えましょう。

「MR104B=耐加重:710N」、これでどうでしょうか? ギリですが、まぁ持ちますね。

なので、チェーンのローラー外径は、現行のφ7.8から、新たにφ10に変更せざるを得ません。



次に、耐久性。ボーネンだって、パリールーベとか、走りますもんね。(←いや、既に勝ってるよ)

先に書いた通り、ベアリングの大敵は、ゴミです。しかし、シールドベアリングにすると、ベアリング幅が増えるので、11S化するデュラには不向きです。
なので、まぁ、今の技術では、一番良いと思われる、先に書いたCULTに登場して貰いましょう。つまり、カンパさん(INA)に「CULTのミニュチュア・ボールベアリング」を作って頂くしかありません。

但し、グリス、オイルがあると、またゴミを呼び寄せます。粘度は低いものの、水にも潤滑効果はあります。「ドライ」又は「水潤滑」としましょう。
つまり、「走行前にチェーンに水を掛ける」のが、必須になりますね。

因みに値段は、どんなに安く見積もっても、300円/個。つまり、110コマなら、33000円ですか…。



最後に、チェーンのプレート。強く軽くしたいので、チタン化は必須。

実は、椿本チエインのカタログを見てると、意外にも「チタンチェーン」ってのは、既にカタログ販売されています。(自転車用じゃないけど…)
受注販売なので、正確な値段は分かりませんが、他仕様の値段から推定すると、1本分のプレートで、20000円以上はするでしょうね。

このチタンプレートにDLC処理をしましょう。如何せんドライか水潤滑なので、耐磨耗対策は必須です。


さて、こうして出来上がった「CULTミニュチュア・ボールベアリング化、チタンプレートDLCチェーン」(←長い!)ですが、多分、「チェーン1本で、7~10万円」クラスの商品になるでしょう。…誰が買うのでしょうね?

ちなみに、こんな妄想をした後で、シマノのHPでデュラのスペックを見て、椿本チエインのカタログを見ると、不思議な感覚になります。「…デュラのチェーンって、安物だっけ?」


繰り返しますが、椿本チエインのカタログには、デュラ以上の商品はゴロゴロしてます。
UCI規定だかなんだか分かりませんが、自転車用チェーンシステムも、抜本的な機能アップを考えないと、旧態依然な部品になってしまいそうですね。(TOKENとかにやられそう)



ちなみに明日は、椿本チエインのカタログにツッコミを入れる予定です。



今日はここまで



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8 コメント

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Unknown (タイガー)
2012-04-26 05:20:12
おはようございます。

楽しい記事ですね~。
ワクワクしてしまいます(^ー^* )

しかし、水が潤滑って、すぐに乾いてしまうような気もしますが、大丈夫なんですか?

ツッコミレポート、楽しみにしています(^ー^* )
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Unknown (Mr.H)
2012-04-27 15:09:38
タイガーさんへ

はっ!そう言えば、水って、蒸発しますね…。なんか、基本的な所が抜けてますね、私。(反省)
しかし、揮発性がなく、オイルでもなく、水に近い粘度の流体って…、なんだろう?
結構、難しいテーマかも。故に萌えるのだけども。(^^)

では
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Unknown (mitsu)
2012-04-27 22:15:41
おもしろいです。

で、この機会に自転車のチェーンの構造を眺めているのですが、
ロード用の一般的なブッシュレスローラーチェーンて
動力伝達用としてはどうなんだろうと思ってしまいました。
ローラーの遊びもかなり大きいですし。

さて荷重の値なのですが、
通常出力を表す場合クランクの一回転する際の変動は考慮されてるんでしょうか。
もしかすると最大踏力は平均の倍くらいありそうなので、
チェーンに掛かる張力は更に大きいことが考えられます。

個人的にはブッシュドスーパーナローチェーンを
試してみたいですけどそんなの無いですよね。
しなやかさも減るでしょうから変速性能は落ちるでしょうし。
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Unknown (Mr.H)
2012-04-28 08:09:11
mitsuさん

チェーン張力の計算には、いろんな補正係数を入れて、一応マジメに計算してます。(ブログでは割愛してますが…)
が、今回の論文より、さらに補正係数を入れて精度向上させよう…なんて企んでますよ。

その補正係数の中に、変動係数なるものがグラフとして存在してますが、私の判断で、「スムーズに回転:1.5」「ガチャ踏み:2.8」との値を採用しています。
(その他、係数については、HPで公開されている椿本の取説を参考にしてください)

チェーンもお外を走る自転車は攻めた設計にはしないつもりでしょうが、「トラック競技や競輪用なんて、もっと頑張ってもいいのでは?」なんて思ってしまいます。

やっぱり、UCIがガンなのかしら?

では
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Unknown (mitsu)
2012-04-29 21:45:48
さすがですね。
指摘失礼しました。

確かにトラックや競輪の人が使ってるチェーンて気になります。
.01秒でも雲泥の差が発生する競輪では多少コストが掛かっても
尖ったチェーンて受けるような気がしますが。

でも指定部品が決まってるんでしょうね。(オイルも?)

スポーツにレギュレーションは必須ですが
今のUCI規定はちょっと寂しいですよね。
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Unknown (Mr.H)
2012-04-30 02:43:19
いえいえ、勝手に割愛した私が悪いので。もう少し丁寧に書かんといかんですね。

競輪用としての用途はアリですね。一発勝負だし、メンテちゃんとするし。
でも・・・、もし万一切れたら・・・、負けてぶち切れた怖い競輪選手にこっ酷く怒られそう・・・。

では
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Unknown (たま)
2013-04-09 08:15:14
んー、普通のベアリングだと横方向へのしなりが不足しそうですね、そうなると単速にしか向かないような気がしますね
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Unknown (Mr.H)
2013-04-09 09:17:58
たまさん
コメント、ありがとうございます。
確かに…。ただの単軸玉軸受では、サイドフォースに弱いかも。
ちょっと、考えてみます…。
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