ブログ製作&調査に、思ったよりも時間が掛かってしまいました。見に来てくれた方、すみませんでした。
新型デュラエース9000で気になるのは、やはりチェーンです。(私だけ?)
7900から9000になって、何が変わったのか、何をしたのか、推定してみました。
もちろん、根拠のない、私の個人的な推定ですが、「少しでも、シマノのデュラ設計者の想いに近づければ…」との気持ちで書いています。
まず、概観から比べてみましょう。
こちらが、新型9000デュラのチェーン。
旧7900のチェーンは、こちら。
新型デュラチェーンは、インナーリンクのプレートにあった「肉抜き穴」がありません。
7900デュラでは、あんなに一生懸命肉抜きしてたのに、なぜ止めてしまったのでしょう?
理由は二つ考えられます。
仮説1は、11速化に伴い、チェーンのプレート肉厚を細くしたこと。
仮に、プレートを10%細くしたとすると、引っ張り強度は-10%、曲げ強度は-28%低下します。
自転車用のチェーンは、最も応力レベルの高い所で、その設計も、消耗品化を前提とした「ギリギリ設計」になっていますので、プレート肉厚を細くした場合、肉抜き穴は止めざるを得なかったのでしょう。
でも、シマノは9000チェーンに関する発表は何もなし(今の所)。きっと、プレートの肉厚は変えていないのでしょう。(←私が設計担当だったら、怖くて薄くできない)
仮説2は、先にブログで書いた通り、既に市場で7900チェーンが切れていて(@チェーンオイルの添加剤による水素脆性)、その対策を織り込んだこと。
以下で述べますが、椿本チエインから、チェーンの表面処理に関する特許が継続的に出ていることを鑑みると、この可能性は否定できないと思います。
コストダウンで…なんてのはないと思います。シマノの将来を担う、満を持して発表した新型の、コストを無視できる「9000デュラ」なのですから。
概観では、それより気になるのが、インナーとアウターのプレートの色が違います。
シマノチェーン=椿本チエイン設計であることは先に書きましたが、その椿本チエインが、チェーンの表面処理の特許を出しまくっています。
「チェーン屋だから表面処理の特許ぐらい出すのは当たり前でしょ?」
いいえ違います。椿本の表面処理の特許は、1992年に出した後は、2010年まで何も出していません。
ちなみに、7900デュラが世の中に出たのが2009年。先にブログで書いた「市場での、チェーンオイルの添加剤による水素脆性で、チェーンが切れた対策」の検討を特許化させたのでは…と疑ってしまいますね。
もちろん、2010年からの特許内容も、耐添加剤の特許。
ベースの皮膜(ジンクアロイ)の上に、第2皮膜を被せる特許ですが、その成分違いを特許化させています。
・特開2010-053900:アミノ基含有シランカップリング剤、ヒドロキシアパタイト、及びリチウムシリケートを含有する第2水系塗料
・特開2010-053901:アミノ基含有シランカップリング剤、並びにアンモニウムイオン及びハロゲンイオンを含有するケイ酸アルカリの水溶液を含有する第2水系塗料
・特開2011-148859:顔料、珪酸ナトリウム、及びアクリルエマルジョン又はポリウレタン水性組成物を含有する上塗り塗料を用いて第2塗膜
・特開2011-149452:(スプロケット側に)顔料、珪酸ナトリウム、及びアクリルエマルジョンを含有する上塗り塗料を用いて第2塗膜
第1皮膜は7900と同じジンクアロイ系でしょう。それに第2皮膜を被せるってのが、耐チェーンオイルの添加剤対策です。(←って、その特許に書いてある)
気になるのは「シランカップリング」。これは、皮膜の耐久性を上げる「接着剤」として働く材料のようです。
知りませんでしたが、椿本チエインは東レと仲良しなんですね。(たまたま?)
詳しくはこちら
シマノの9000デュラのHPを見ると、「チェーンにPTFE使用」と書いてあります。(←それだけじゃないでしょ、シマノさん)
PTFEもまた、剥がれやすく、剥がれたら効果の出ないもんです。
まとめましょう。
どうやら、9000チェーンでのシマノの狙いは、「水素脆性を徹底的に防ぐ=切れないチェーン」がテーマのようです。
その為に、軽量化穴を塞いで応力を下げ、ジンクアロイの上に第2皮膜を被せて耐久性を上げ、更にフリクション低減の為にPTFEを混ぜたようです。
きっと、PTFEが剥離してなくなる頃(前)には、チェーンが寿命を迎えるか、チェーンオイルの中のPTFEが活躍してるって考えなんでしょう。
シマノのチェーンは、今や世界のありとあらゆる舞台で使われており、色んなチェーンオイルに曝されます。
シマノがシマノである限り、7900の様な(結果として)ロバスト性の低い設計はできず、「安全第一」って文字が見えそうな設計思想ですね。
今回、チェーン重量の発表は見当たりませんでしたが、きっと軽くはないでしょう。
シマノも、今後「9000デュラのチェーンはスゴイぞ!」なんて言わないでしょう。
でも、「9000デュラチェーンが切れた」って話も、きっと聞かなくなるのでしょう。
うーん、シマノ。攻めない会社ですね。いいのか、悪いのか…。
今日はここまで。
新型デュラエース9000で気になるのは、やはりチェーンです。(私だけ?)
7900から9000になって、何が変わったのか、何をしたのか、推定してみました。
もちろん、根拠のない、私の個人的な推定ですが、「少しでも、シマノのデュラ設計者の想いに近づければ…」との気持ちで書いています。
まず、概観から比べてみましょう。
こちらが、新型9000デュラのチェーン。
旧7900のチェーンは、こちら。
新型デュラチェーンは、インナーリンクのプレートにあった「肉抜き穴」がありません。
7900デュラでは、あんなに一生懸命肉抜きしてたのに、なぜ止めてしまったのでしょう?
理由は二つ考えられます。
仮説1は、11速化に伴い、チェーンのプレート肉厚を細くしたこと。
仮に、プレートを10%細くしたとすると、引っ張り強度は-10%、曲げ強度は-28%低下します。
自転車用のチェーンは、最も応力レベルの高い所で、その設計も、消耗品化を前提とした「ギリギリ設計」になっていますので、プレート肉厚を細くした場合、肉抜き穴は止めざるを得なかったのでしょう。
でも、シマノは9000チェーンに関する発表は何もなし(今の所)。きっと、プレートの肉厚は変えていないのでしょう。(←私が設計担当だったら、怖くて薄くできない)
仮説2は、先にブログで書いた通り、既に市場で7900チェーンが切れていて(@チェーンオイルの添加剤による水素脆性)、その対策を織り込んだこと。
以下で述べますが、椿本チエインから、チェーンの表面処理に関する特許が継続的に出ていることを鑑みると、この可能性は否定できないと思います。
コストダウンで…なんてのはないと思います。シマノの将来を担う、満を持して発表した新型の、コストを無視できる「9000デュラ」なのですから。
概観では、それより気になるのが、インナーとアウターのプレートの色が違います。
シマノチェーン=椿本チエイン設計であることは先に書きましたが、その椿本チエインが、チェーンの表面処理の特許を出しまくっています。
「チェーン屋だから表面処理の特許ぐらい出すのは当たり前でしょ?」
いいえ違います。椿本の表面処理の特許は、1992年に出した後は、2010年まで何も出していません。
ちなみに、7900デュラが世の中に出たのが2009年。先にブログで書いた「市場での、チェーンオイルの添加剤による水素脆性で、チェーンが切れた対策」の検討を特許化させたのでは…と疑ってしまいますね。
もちろん、2010年からの特許内容も、耐添加剤の特許。
ベースの皮膜(ジンクアロイ)の上に、第2皮膜を被せる特許ですが、その成分違いを特許化させています。
・特開2010-053900:アミノ基含有シランカップリング剤、ヒドロキシアパタイト、及びリチウムシリケートを含有する第2水系塗料
・特開2010-053901:アミノ基含有シランカップリング剤、並びにアンモニウムイオン及びハロゲンイオンを含有するケイ酸アルカリの水溶液を含有する第2水系塗料
・特開2011-148859:顔料、珪酸ナトリウム、及びアクリルエマルジョン又はポリウレタン水性組成物を含有する上塗り塗料を用いて第2塗膜
・特開2011-149452:(スプロケット側に)顔料、珪酸ナトリウム、及びアクリルエマルジョンを含有する上塗り塗料を用いて第2塗膜
第1皮膜は7900と同じジンクアロイ系でしょう。それに第2皮膜を被せるってのが、耐チェーンオイルの添加剤対策です。(←って、その特許に書いてある)
気になるのは「シランカップリング」。これは、皮膜の耐久性を上げる「接着剤」として働く材料のようです。
知りませんでしたが、椿本チエインは東レと仲良しなんですね。(たまたま?)
詳しくはこちら
シマノの9000デュラのHPを見ると、「チェーンにPTFE使用」と書いてあります。(←それだけじゃないでしょ、シマノさん)
PTFEもまた、剥がれやすく、剥がれたら効果の出ないもんです。
まとめましょう。
どうやら、9000チェーンでのシマノの狙いは、「水素脆性を徹底的に防ぐ=切れないチェーン」がテーマのようです。
その為に、軽量化穴を塞いで応力を下げ、ジンクアロイの上に第2皮膜を被せて耐久性を上げ、更にフリクション低減の為にPTFEを混ぜたようです。
きっと、PTFEが剥離してなくなる頃(前)には、チェーンが寿命を迎えるか、チェーンオイルの中のPTFEが活躍してるって考えなんでしょう。
シマノのチェーンは、今や世界のありとあらゆる舞台で使われており、色んなチェーンオイルに曝されます。
シマノがシマノである限り、7900の様な(結果として)ロバスト性の低い設計はできず、「安全第一」って文字が見えそうな設計思想ですね。
今回、チェーン重量の発表は見当たりませんでしたが、きっと軽くはないでしょう。
シマノも、今後「9000デュラのチェーンはスゴイぞ!」なんて言わないでしょう。
でも、「9000デュラチェーンが切れた」って話も、きっと聞かなくなるのでしょう。
うーん、シマノ。攻めない会社ですね。いいのか、悪いのか…。
今日はここまで。
現物を見てみないと何とも言えませんがスプロケットの肉抜きが減ってることからスプロケット側の板厚は薄くなってるでしょうね。
シランカップリング材はガラス基板に対して良く使用しますね。塗布型で第2層形成するのは抵抗があると思いますが実際のところを見てみたいです。
過酷な環境下で使われる自転車用チェンとしては贅沢な処理が為されてるのがデュラたる所以というとこでしょうか。
見た目の話ですが、プレートの形状が7900程変形していないので9000では表裏がなくなったかも知れません。チェンリング、スプロケットの歯先の形状が変わってるのも関係してるでしょう。
そう言えば、処理を2回もするなんて、確かに贅沢ですね。
リアルな話だと、別工程を立ち上げるか、別の処理会社を通す訳ですから、売価レベルで数百円のコストアップですかね。
チェーンの凸凹がなくなったのは、気になっていて、今、調査中なんです。
ここは、シマノが変速の特許を沢山出しているので、その特許を整理すれば、凸凹なくともちゃんと変速できるメカニズムが見えてくるのかも。(チョット大変ですが)
この先、ブレーキも面白そうだし、PCでモディファイできる変速システムも楽しそうなので、またネタにしてみようかと。
よければ、またお付き合いして下さいな。
では
チンプンカンプンですが・・・σ(^_^;)
ある間違いない筋からの情報によりますと、新型デュラは今までのコンポとは全て互換性がないようですね。
スプロケどころかホイールも使えないらしいんで、デュラ化しようと悩む私は経済的に新型は選択肢から消えました( p_q)
デュラの設計、7900→9000で、連続性が見られないので、あえて「転進」と書きましたが、実は「迷走」と書きたかったんです。
ブレーキも、ディレイラーも、7900を全否定ですよ。(レバー比が違う)
シマノ的にはもう売らないからいいけど、ユーザーの気持ちを逆撫でするようなことはチョット。
それとも、「新しいのを買え」ってことかしら?
大きく変わった故に、まだ良さが、そしてネガが見えないですね。
ちょっと、勉強します。
では