【ボクが海外旅行を好きになったのは?】
松田昌のピアニカのアルバム『ピアニキストMASA』の中に
『マサ坊旅に出る』という曲がある。
マサ坊は、子供の頃から旅が好き。
中学1年生の時に、山梨県で水晶、長野県で柘榴石、
岐阜県で古生代の化石を採集する旅に出たことがある。
大学時代は、軽4輪にプロパンガスを持ち込んで車上生活をしながら、
鎌倉・駒ヶ根・軽井沢・北海道まで旅した。
だけど、海外旅行が好きになったのはこの10年ちょっとくらい。
30歳くらいから仕事でヨーロッパ、アジアに15カ国くらい行ったが、
精神的な余裕がなく、「国内の演奏の方が楽でいいな~」くらいにしか思わなかった。
10数年前、ギリシャ・トルコ・エジプトの旅に行ったときに初めて思った。
「仕事じゃなく来る海外は面白い!
ギリシャの芸術も、カッパドキアも、ピラミッドも凄いな~!」
それ以来、大学の春休みや夏休みにはチョコチョコ海外に出るようになった。
近場の、バリ、タイ、モンゴルから始まって、そのうちヨーロッパ、南米まで。
最初は全てを旅行会社に頼む団体旅行だったが、
だんだん自分で計画をたて、泊まるホテルも決め、
旅行会社に予約して貰うようになった。
【海外旅行を安くするために】
そしてこのスペイン旅行では、早めに自分でインターネット予約をした。
インターネット予約をすれば、
航空券は格安で手に入り、ホテルも3割くらいは安いようだし、
旅行会社にマージンを取られることもない。
フリヒリアナという白い壁の村では、
1泊2食付きツインで何と5千900円!
ひとり2千950円で2食付き!
ま・・・・・、食事は美味しいとは言えなかったけど・・・笑
海外では食事代も大変!普通にレストランで食べると、とても高くついてしまう。
●作戦その1:「朝食満腹作戦」
バイキング食べ放題の朝食がついていることが多いので、
朝は腹一杯食べて、昼は、パンやサンドイッチで安くすませる作戦。
●作戦その2:「安くて美味しい店探求作戦」
2年前、ベートーヴェンのお墓でピアニカを吹く旅に行った時、
ウィーンでの食事は、4日間「ミスター・リー」という中華チェーン店ばかりだった。
メニューに写真があるし、味は中華で馴染みがあるし、安いし、飽きなかった。
今回のスペインでは、
「バル」という地元のおじさん達が行くビールとおつまみの店ばかり行っている。
カウンターに食べ物が並んでいるので言葉が通じなくても、注文をハズすことはないし、
とにかく安い!
サラダ、イカスミの煮付け、ムール貝のワイン蒸し、骨付き鳥のトマトソース煮の4皿にノン・アルコール・ビール2本注文しても、500円~千円ちょっとくらい。
立ち食いがほとんどだが、
地元のおじさん達と、身振り手振りで会話をするのもまた楽しいものだ。
●作戦その3「スーパーマーケットで牛乳・オレンジ・パン買い込み作戦」
最初は「牛乳」(スペイン語でラチェ)が言えなくて、
そばにいるスペイン人の買い物客(主婦)に、
「モ~~!」と言いながら両手で角を作る、さらに、
乳搾りのジェスチャーをすれば大笑いしながら牛乳の場所まで連れて行ってくれる。
このような作戦は、ただ安上がりになるだけでなく、
地元の人とのコミュニケーションも出来て、
海外旅行がより楽しくなること請け合い!
もちろん、愛想の悪い果物売り場のオネエチャン、
英語が下手なのをちょっと冷たい目で見るホテルのフロント・マンなどがいるけど、
そんな人は日本にもいる。同じだと思う。
【グラナダ】
コンスエグラの風車の前でバッハの無伴奏を吹き終えて、
大きな目的を達してスペイン旅行の熱は、ちょっと下降気味?(笑)
有名なアルファンブラ宮殿は確かに美しいのだけれど、感動には至らず。
そういえば、ウィーンの何とか宮殿やトルコのトプカプ宮殿を見ても、
「ふ~ん」で終わってしまったのを思い出した。
宮殿には権力や財力の跡はあっても、
教会やモスク、また日本の仏像のように愛や信仰を感じられないからかも・・・
と思った。
ボクはもともと、自分はどう生きればいいのだろう?というテーマや
宗教にはとても興味がある。
中学の時は教会の日曜学校に参加し、
大阪府立北野高校の時は聖書研究会(部長!笑)、
大学の時は洗礼を受けようか?とも思い、
また、禅寺に1週間入ったこともある。
最近はもちろん、どう生きればいいのだろう?に興味があるが、
どう死ねばいいのだろう?にも大いに興味がある。(笑)
【フリヒリアナ・カサレス】
旅のガイドブックにはアンダルシアの白い村と紹介されている。
今回の旅の目的の一つは、
CDのジャケット写真に使えるようなマサさんとピアニカの写真を撮ること。
バックの白い村を意識して、赤いシャツとダークグリーンのズボンを持ってきた。
【カジス】
美しい夕日で有名な港町。
幸い、とても美しい夕景を味わうことが出来た。
【セビリア】
何とも美しく、落ち着く街。歴史があってしかも上品。
川岸の街並みがとてもきれいで、空気が心地よく、旧市街の散歩も面白い。
多分、今回のスペイン旅行でいちばん好きな都市になるだろう。
カテドラルに行こうと歩いていると、アコーディオンの音が聞こえた。
音のする方向に角を曲がると、路上演奏は何と・・・・・・・!
アコーディオンとメロディオンのデュオ!
ピアニカをクビからぶら下げているボクに気が付くと、
そばに来ていっしょに演奏しろ、と手招きをしているので演奏に参加。
知らない曲だけど、ホ長調でⅠ度とⅤ度の簡単な曲なのですぐメロをハモったり、
アドリブをしたりすると、大喜びされた!
「ふっふっふ・・・・・日本のピアニカ吹きは凄いんだぞ~~~!」(笑)
カテドラルも素晴らしい!
トレドのカテドラルの方が美しいとは思ったが、
スケールの大きさ、彫刻などの精密さは凄いモノがあった。
ボクは、カテドラルの一角にあった聖母マリア像に惹きつけられた。
少し伏し目で、やさしく幼子を抱いている。
人生の哀しみと喜びを、遠く見つめているような表情に思えた。
哀しみを見つめながら、かすかに微笑んでいるように見えた。
京都太秦、広隆寺の弥勒菩薩の微笑みに通じるものを感じた。
ボクがこの国の美術関係者だったら、
スペインの国宝級のマリア像に指定するだろう(笑)
【人々の心のよりどころ】
カルメンがドンホセと知り合ったタバコ工場があるというので行ってみた。
タバコ工場跡は今、大学になっているらしいが、入れなかった。
すぐ近くの小さな家に、どんどん人が入っていくので興味津々、入ってみると・・・
何と、小さな教会。
中には香がたかれ、人々は十字架に釘で打ち付けられたイエス・キリスト像の前に、
みんな行列を作って順番に、
イエスの釘を打ち付けられ血が出ている足の部分に、接吻をしている。
小さな子まで、親に抱かれて、イエスに接吻している。
感動!
人の心のよりどころとして、
スペインではこんなにキリスト教が生きているのだ!
と思った。
ボクはクリスチャンではないが、バッハの音楽もガウディーの建築も、
その信仰に思いを巡らさなければ理解できないのだろうと思う。
【ミュージシャンはバッハを勉強しなければ!】
セビリアでホテルをチェックアウトして、
バルセロナまでの飛行機の待ち時間に、もういちどカテドラルに行った。
青い空とカテドラルがとても美しい。
ふと、ギターの音が聞こえるので行ってみると、凄腕の路上演奏!
バロック風な曲を演奏している。曲が変わった・・・・・。
「これは聴いたことがある・・・そうだバッハのヴァイオリン・ソナタ!」
曲が終わって、話しかけた。
M(マサ)「今の曲は、バッハのヴァイオリン・ソナタ?」
G(ギター)「いや、とてもよく似ているけどこれはリュートのための曲だよ。
バッハは素晴らしい。ボクは2歳の頃からフラメンコ・ギターで育ってきたけど、バッハが大好き。ミュージシャンは、その人生で一度はバッハを勉強するべきだと思う」
M「同感!ボクも、この楽器でバッハを吹く勉強をしているよ!」
と、無伴奏を吹きなじめると、じ~っと聴いていてくれた。
G「うん。これは何の曲?」
M「無伴奏チェロ組曲の3番」
G「来年は、バッハばかりでCDを出そうと思っているんだよ!君のために、フラメンコの曲を弾くね!」
素晴らしい、演奏を聴かせてくれた。
途中、中学生の女の子がツーショットの写真を撮ろうとしたら、きっぱり断っていた。
それくらい真剣に弾いてくれた。
演奏に感激し、ちょっとウルウル・・・・・。
彼は、路上演奏なのに投げ銭を受ける箱はなく、
ただ自分のCDを売っているだけだった。
誇り高い路上演奏家?
セビリアの最後の時間に、こんなに素晴らしい路上演奏が聴けて、
「ミュージシャンは、その人生で一度はバッハを勉強するべき」という、
今回の旅のテーマと共通するメッセージをもらうなんて!
何という、不思議な出会い!
感謝!
松田昌のピアニカのアルバム『ピアニキストMASA』の中に
『マサ坊旅に出る』という曲がある。
マサ坊は、子供の頃から旅が好き。
中学1年生の時に、山梨県で水晶、長野県で柘榴石、
岐阜県で古生代の化石を採集する旅に出たことがある。
大学時代は、軽4輪にプロパンガスを持ち込んで車上生活をしながら、
鎌倉・駒ヶ根・軽井沢・北海道まで旅した。
だけど、海外旅行が好きになったのはこの10年ちょっとくらい。
30歳くらいから仕事でヨーロッパ、アジアに15カ国くらい行ったが、
精神的な余裕がなく、「国内の演奏の方が楽でいいな~」くらいにしか思わなかった。
10数年前、ギリシャ・トルコ・エジプトの旅に行ったときに初めて思った。
「仕事じゃなく来る海外は面白い!
ギリシャの芸術も、カッパドキアも、ピラミッドも凄いな~!」
それ以来、大学の春休みや夏休みにはチョコチョコ海外に出るようになった。
近場の、バリ、タイ、モンゴルから始まって、そのうちヨーロッパ、南米まで。
最初は全てを旅行会社に頼む団体旅行だったが、
だんだん自分で計画をたて、泊まるホテルも決め、
旅行会社に予約して貰うようになった。
【海外旅行を安くするために】
そしてこのスペイン旅行では、早めに自分でインターネット予約をした。
インターネット予約をすれば、
航空券は格安で手に入り、ホテルも3割くらいは安いようだし、
旅行会社にマージンを取られることもない。
フリヒリアナという白い壁の村では、
1泊2食付きツインで何と5千900円!
ひとり2千950円で2食付き!
ま・・・・・、食事は美味しいとは言えなかったけど・・・笑
海外では食事代も大変!普通にレストランで食べると、とても高くついてしまう。
●作戦その1:「朝食満腹作戦」
バイキング食べ放題の朝食がついていることが多いので、
朝は腹一杯食べて、昼は、パンやサンドイッチで安くすませる作戦。
●作戦その2:「安くて美味しい店探求作戦」
2年前、ベートーヴェンのお墓でピアニカを吹く旅に行った時、
ウィーンでの食事は、4日間「ミスター・リー」という中華チェーン店ばかりだった。
メニューに写真があるし、味は中華で馴染みがあるし、安いし、飽きなかった。
今回のスペインでは、
「バル」という地元のおじさん達が行くビールとおつまみの店ばかり行っている。
カウンターに食べ物が並んでいるので言葉が通じなくても、注文をハズすことはないし、
とにかく安い!
サラダ、イカスミの煮付け、ムール貝のワイン蒸し、骨付き鳥のトマトソース煮の4皿にノン・アルコール・ビール2本注文しても、500円~千円ちょっとくらい。
立ち食いがほとんどだが、
地元のおじさん達と、身振り手振りで会話をするのもまた楽しいものだ。
●作戦その3「スーパーマーケットで牛乳・オレンジ・パン買い込み作戦」
最初は「牛乳」(スペイン語でラチェ)が言えなくて、
そばにいるスペイン人の買い物客(主婦)に、
「モ~~!」と言いながら両手で角を作る、さらに、
乳搾りのジェスチャーをすれば大笑いしながら牛乳の場所まで連れて行ってくれる。
このような作戦は、ただ安上がりになるだけでなく、
地元の人とのコミュニケーションも出来て、
海外旅行がより楽しくなること請け合い!
もちろん、愛想の悪い果物売り場のオネエチャン、
英語が下手なのをちょっと冷たい目で見るホテルのフロント・マンなどがいるけど、
そんな人は日本にもいる。同じだと思う。
【グラナダ】
コンスエグラの風車の前でバッハの無伴奏を吹き終えて、
大きな目的を達してスペイン旅行の熱は、ちょっと下降気味?(笑)
有名なアルファンブラ宮殿は確かに美しいのだけれど、感動には至らず。
そういえば、ウィーンの何とか宮殿やトルコのトプカプ宮殿を見ても、
「ふ~ん」で終わってしまったのを思い出した。
宮殿には権力や財力の跡はあっても、
教会やモスク、また日本の仏像のように愛や信仰を感じられないからかも・・・
と思った。
ボクはもともと、自分はどう生きればいいのだろう?というテーマや
宗教にはとても興味がある。
中学の時は教会の日曜学校に参加し、
大阪府立北野高校の時は聖書研究会(部長!笑)、
大学の時は洗礼を受けようか?とも思い、
また、禅寺に1週間入ったこともある。
最近はもちろん、どう生きればいいのだろう?に興味があるが、
どう死ねばいいのだろう?にも大いに興味がある。(笑)
【フリヒリアナ・カサレス】
旅のガイドブックにはアンダルシアの白い村と紹介されている。
今回の旅の目的の一つは、
CDのジャケット写真に使えるようなマサさんとピアニカの写真を撮ること。
バックの白い村を意識して、赤いシャツとダークグリーンのズボンを持ってきた。
【カジス】
美しい夕日で有名な港町。
幸い、とても美しい夕景を味わうことが出来た。
【セビリア】
何とも美しく、落ち着く街。歴史があってしかも上品。
川岸の街並みがとてもきれいで、空気が心地よく、旧市街の散歩も面白い。
多分、今回のスペイン旅行でいちばん好きな都市になるだろう。
カテドラルに行こうと歩いていると、アコーディオンの音が聞こえた。
音のする方向に角を曲がると、路上演奏は何と・・・・・・・!
アコーディオンとメロディオンのデュオ!
ピアニカをクビからぶら下げているボクに気が付くと、
そばに来ていっしょに演奏しろ、と手招きをしているので演奏に参加。
知らない曲だけど、ホ長調でⅠ度とⅤ度の簡単な曲なのですぐメロをハモったり、
アドリブをしたりすると、大喜びされた!
「ふっふっふ・・・・・日本のピアニカ吹きは凄いんだぞ~~~!」(笑)
カテドラルも素晴らしい!
トレドのカテドラルの方が美しいとは思ったが、
スケールの大きさ、彫刻などの精密さは凄いモノがあった。
ボクは、カテドラルの一角にあった聖母マリア像に惹きつけられた。
少し伏し目で、やさしく幼子を抱いている。
人生の哀しみと喜びを、遠く見つめているような表情に思えた。
哀しみを見つめながら、かすかに微笑んでいるように見えた。
京都太秦、広隆寺の弥勒菩薩の微笑みに通じるものを感じた。
ボクがこの国の美術関係者だったら、
スペインの国宝級のマリア像に指定するだろう(笑)
【人々の心のよりどころ】
カルメンがドンホセと知り合ったタバコ工場があるというので行ってみた。
タバコ工場跡は今、大学になっているらしいが、入れなかった。
すぐ近くの小さな家に、どんどん人が入っていくので興味津々、入ってみると・・・
何と、小さな教会。
中には香がたかれ、人々は十字架に釘で打ち付けられたイエス・キリスト像の前に、
みんな行列を作って順番に、
イエスの釘を打ち付けられ血が出ている足の部分に、接吻をしている。
小さな子まで、親に抱かれて、イエスに接吻している。
感動!
人の心のよりどころとして、
スペインではこんなにキリスト教が生きているのだ!
と思った。
ボクはクリスチャンではないが、バッハの音楽もガウディーの建築も、
その信仰に思いを巡らさなければ理解できないのだろうと思う。
【ミュージシャンはバッハを勉強しなければ!】
セビリアでホテルをチェックアウトして、
バルセロナまでの飛行機の待ち時間に、もういちどカテドラルに行った。
青い空とカテドラルがとても美しい。
ふと、ギターの音が聞こえるので行ってみると、凄腕の路上演奏!
バロック風な曲を演奏している。曲が変わった・・・・・。
「これは聴いたことがある・・・そうだバッハのヴァイオリン・ソナタ!」
曲が終わって、話しかけた。
M(マサ)「今の曲は、バッハのヴァイオリン・ソナタ?」
G(ギター)「いや、とてもよく似ているけどこれはリュートのための曲だよ。
バッハは素晴らしい。ボクは2歳の頃からフラメンコ・ギターで育ってきたけど、バッハが大好き。ミュージシャンは、その人生で一度はバッハを勉強するべきだと思う」
M「同感!ボクも、この楽器でバッハを吹く勉強をしているよ!」
と、無伴奏を吹きなじめると、じ~っと聴いていてくれた。
G「うん。これは何の曲?」
M「無伴奏チェロ組曲の3番」
G「来年は、バッハばかりでCDを出そうと思っているんだよ!君のために、フラメンコの曲を弾くね!」
素晴らしい、演奏を聴かせてくれた。
途中、中学生の女の子がツーショットの写真を撮ろうとしたら、きっぱり断っていた。
それくらい真剣に弾いてくれた。
演奏に感激し、ちょっとウルウル・・・・・。
彼は、路上演奏なのに投げ銭を受ける箱はなく、
ただ自分のCDを売っているだけだった。
誇り高い路上演奏家?
セビリアの最後の時間に、こんなに素晴らしい路上演奏が聴けて、
「ミュージシャンは、その人生で一度はバッハを勉強するべき」という、
今回の旅のテーマと共通するメッセージをもらうなんて!
何という、不思議な出会い!
感謝!