前回、レンタカーでちょっと不安な旅に出るところで終わってしまっていたので、
ご心配をおかけしたかも知れません。
どうやらスペインのホテルは、ネットを使うと、一日2千円以上かかるようです。
今日は、ただでネットが使えるパラドールというところに泊まっているので、
たくさ~~~~~~~~ん、書きました。(笑)
今後も、毎日は更新できないと思います。よろしくお願いします。
今回は、かなり長文です。
【言葉が分からないスペイン旅行】
ここで言う言葉とは、スペイン語のことではなくて、英語のこと。(笑)
フランスやスペインでは英語が通じないという意見もあるが、
ホテルやレンタカーのカウンターのスタッフはしっかり英語を話す。
ヨーロッパでピアニカのコンサートをしたい!と強く思いはじめてから、
もっと英語が話せるようになりたくて、英会話教室に通い始めたのが去年の4月。
7月まで3ヶ月間は予習復習をマジメにし、通ったのだが・・・・・。
途中で挫折。
カタコ英語(←カタコトまでもいかない英語・・・・自作語)で、
よく海外自由旅行をするな~!とも思う。
さて、いよいよレンタカーでマドリッドを出発!・・・・するはずなのだが・・・なかなかそうはウマく行かない!
一応前日に駅のレンタカーカウンターまで行って下見をしたのだが・・・・
壇ふみに似たカウンター女性は、
やさしくカタコ英語のおじさんに応対してくれたのだが・・・
結局、手続きに長い時間がかかり、
駐車場がどこかわからず、
(日本のように駐車場まで送迎なんてサービスはなし)
30分くらい駐車場を探しまわり、
汗だく!(笑)
一応ナビも借りたのだが、スペイン語なので使い方は分かりまへ~ん!(笑)。
それでも、いざ!出発~~~~ッ!
【アランフェス】
高速と一般道を乗り継いで、何とかアランフェスにたどりついた。
美しい回廊を見たが、王宮は長い行列でパスすることに。
(並ぶのは結構嫌いなたちです~!)
トレドへ出発前に昼食を・・・と、歩道にテーブルを並べたレストランの前で迷った。
言葉が分からない海外旅行で大いに困るのが、食事。
メニューを見ても何のことだか分からない。
英語でもあまり分からないが、スペイン語はもっと分からない。
ふと見ると、魚のような小さな骨を皿の端に集めてフライを食べている老夫婦がいた。
「オッ!あのフライ美味しそう!」
と、
「これは何ですか?」
と英語で聞くと、話具合で(向こうはスペイン語)多分カエルだろうと、想像がついた。
ボクは、カエルは何度か食べている。
柔らかい鳥肉のような感じで、嫌いではない。
老夫婦のご主人が、ま~食べてみろ!という感じで一切れ手渡してくれた。
(こういうのメッチャうれしい!日本人は、初対面ではここまでする人は少ない)
淡泊で美味しい味。
老夫婦に「グラシヤス!」と礼を言ってカエルを注文。
アランフェス宮殿の前でカエルに舌鼓を打ちながら、
アタマの中は不思議な音楽が支配していた!
何と!ギターで奏でるゆったりした『アランフェス協奏曲』のバックに、
例のカノンの『カエルの歌』がゲコゲコとコラージュされていた!(笑)
【パトカーのお世話に!】
昼食の後、スペイン随一の古都トレドに出発したのはよかったが・・・・・
日本でプリントアウトしたGoogle地図の道路がまるで分からない!
さんざん迷って焦ってアランフェスの街を走り回ったあげく、
あちらこちらで停車して、
「トレドに行きたいねんけど、今、この地図のどこでっか?」
と聞いたが、スペイン語でまくしたてられても分からず、
迷うこと30分、ついに警察署に飛び込んだ!
警察署の前にいた野球の清原選手風おまわりさんに、地図を見せながら、
「わて、トレドに行きたいねん!この地図で、ここはどこ?」
地面を指さしてと聞いても、あまり地図は見ないで、
「○▲×・・・・デラ・・・デラ・・・◇■○・・・・」
と、ある方向を指さしてまくしたてる。
そのうち、多分上役の太った小林亜星風や、婦警まで集まってきて大変!
3人それぞれ、意見が違うように思った!(笑)
結局、清原選手が「俺に着いてこい!」という仕草で、パトカーを発進させた。
アランフェスの町はずれまで先導してくれて、停車し、
訳の分からない日本人の車に寄ってきた清原警官は、
「あの国道***を行けば、トレドだよ!
なあなあ!・・・・・ところで、タバコ持ってない?」
こういうのが面白い!
日本で警官が市民に何か手助けをして、タバコを請求したら、即クビだろう。
現金を少し・・・?とも思ったが、何度も「グラシヤス!ぐらしゃす!」を
くり返して、感謝!感謝!で、国道400に車を進めた。
【トレドのホテル】
スペインにはパラドールという国立の宿泊施設がある。
多くは、昔の修道院などを改築したものでとてもスペイン気分を味わえるらしい。
特にトレドのパラドールは有名で、古都トレドを一望できる素晴らしい眺めらしい。
ということで、出発前に日本からネット予約しようとしたのだが、
満室とのことで予約出来ず、
旅行会社経由で頼んだら何と、ツインで1泊3万8千円!あまりに高い!
2泊するとトレドだけで8万円にもなる!
まあ、昼間に行って、古都一望喫茶でも経験すればいいだろう・・・と、
ツインで1万2千円の安ホテルをネット予約したのだけれど・・・
悪い予感的中!
場所は悪く、客少なく、フロントの応対悪く、駐車場からは遠く、気分はみじめ!
安ホテルにチェックインの後、パラドールへ行ってみると、
眺望最高、客多く、フロントの対応最高、駐車場から徒歩30秒、気分はゆとり!
フロントで聞くと、明日空き部屋あり、料金も日本で聞いた額の半額に近い。
即予約して2日目はパラドールに変更!
パラドールさすがにしっかりしていて、部屋のネット回線が壊れていると言うと、
ノートパソコンを持ってきて調べた後、別の部屋をネット用に用意してくれた。
今、その部屋で書いています。
【トレドのカテドラルで落涙】
今日は朝から、トレドの街に出た。
中世の街並みを美しいと言う現代人は、現代の美しくない街並みに住んでいる。
これって、何なんだろう?
結局、人類って何の進歩もないのか?
昔の人間の感性のほうが豊かだったのか?
いやいや、そんな単純な問題ではないだろう?
昔は教会や王侯貴族が街の全てを支配していたんだろうから・・・・。
などと考えながら、
トレドのいちばんの中心カテドラルに入って体が凍り付いた!
凄い!こんな美しく崇高な教会は初めてだ!
大きい上に、ステンドグラス、彫刻、その他の装飾などがホントに素晴らしい!
祭壇には、イエスキリストの生涯のいろいろな場面の彫刻がほどこされているが、
その場面ごとの間の装飾が、たちのぼるような細い線でまとめられている。
(このことは、きっとガウディーの建築に影響を与えたのだろうと思ったのだが・・)
祭壇の高所の十字架のイエス・キリストを見ていると、
涙が止まらなくなった。
あの涙は何だったのだろう?
トルコ、イスタンブールのブルーモスクでもやられた!(笑)
嗚咽をこらえるのに苦労したくらいだった。
ふと、思った。
もちろん美しさ、宗教的な崇高さもあるが、それと同時に、
ここに集う人々の心に感動したのだと思う。
フランスのモンサンミシェルで、偶然お昼のミサに出くわしたときも、
涙が止まらなくなった。
人間の心の中にある、悪い部分を教会の外にひとまず置いてきて、
美しく、やさしい心だけで、集い、一つの歌を歌い・・・・
人は一人で生きているのではない、共に生きることを教会の中で実感する・・・
ある意味では、天国の実現がモンサンミシェルの教会にあると思った。
話をトレドのカテドラルにもどして・・・・
気持ちが落ち着いたら、礼拝用の長いすにゆったりした気持ちで腰かけ、
イメージの中でサウンドを響かせ、指は鍵盤を押さえ、小声でメロディーを歌い、
バッハの無伴奏を演奏。
どんどんその気になって、テンポが遅くなってゆくのが面白かった。
どんな場所で演奏するにも、
このイメージを持って演奏できればいいのだろう・・・・
常に、このゆったり感、
感謝とあたたかさに包まれて演奏できればどんなにか幸せだろう?
と思った。
バッハと、イエスと、それを愛する人たちのやさしい心に包まれて演奏する・・・・。
甘ったれかも知れないが・・・・・。
【キリストの祭りに遭遇】
夕方、ふたたびトレドの街を何となく歩いていると、ある教会に人がどんどん集まってきている。結婚式でも無い様子だ。
何があるのか聞いてみた。
ちょうど、司祭のようないでたちの男性が英語で、
「この教会のキリストをカテドラルに移すお祭りです。8時に出発して、10時にカテドラルに到着します。市民の多くが行列を作って送ります」
「ボクも参加できますか?」
「もちろんです!」
凄い!
即、行列に参加することに決める。
教会の中には、山車に乗っている電飾で飾られた十字架とイエス。
そして市民。
出発する8時頃には、教会の前は人人人!
2千人くらいはいるのではないか?
みんなで、賛美歌を歌って、街を2時間練り歩いて、カテドラルに入っていった。
カテドラルの中でも少し儀式があって、終わったのは10時半くらい。
ボクは、歩いているときも、バッハの無伴奏をイメージしながら歩いた。
お昼は撮影禁止だったカテドラルの中は、市民がみんな写真を撮っている。
もちろんボクも。
(これは拡大して、部屋に貼っておこう!)
老若男女、乳母車までが、カテドラルに入っていた。
こういう点、仏教よりキリスト教の方がおおらかな気がする。
今は、もう真夜中。
あの祭りから4~5時間はたっている。
今も目をつむると、輝かしい祭壇が浮かび、
カテドラルのあの空気感と熱気が浮かぶ。
本当に貴重な体験だった。
あのとき、あの教会の前を歩いていなかったら、
また、あのとき、英語の出来る司祭に話しかけなかったら、
こんな貴重な経験は出来なかっただろう。
不思議だ。
そして、こんな経験をさせていただいて、有り難い。
ほんと、普通にツアーでの旅行だったらきっと味わうことのできない素晴らしい体験の数々が…
でも… ス… スリリング~~~
ドライバー役の奥様には人生の辞書の中に「あきる!」って言葉はいくら探しても見つからないかもですねぇ~~
そんな先生にも… 挫折することがあるなんてぇ~~~(笑) ちょっとだけ嬉しかったりして
(^_^;)\(・_・) オイオイ(どこに注目してる~)
何はともあれお気をつけて~~~~~
カエル君は音楽家になって一緒にバッハを演奏できるのね^^
とても長~い文章でしたが、一緒に感動しました!
思わず何度も読み直してしまいました~
距離は離れてるけど今頃この同じ太陽の下で先生は色んな体験しているんだな~と。。。
私の心も旅しています。
この旅の続きに幸あれ!
旅レポート、とても中身が濃くて、読んでいると本当に、心は旅してしまいます。
言葉がわからないのに、まぁ~よく、なんとかうまく旅できていますよね……。(同時に言葉の壁というのが古今東西、文化の伝搬と理解を妨げてきた、という厳しい現実を思いました……。)
やはり、最低限、英語くらいは勉強しておいた方がよさそうですね(汗;) ドライバー役の奥さまも含めて、です!
そちらはキリスト教が文化になって人々の生活に深く浸透しているようですね。
それはかつて日本も神仏を中心に、文化と日々の生活が成り立っていたのに、戦後、それが失われてしまったことがとても気になりました(日本を無宗教の国、とおっしゃっていた方がいましたが、決してそんなことはないのだと思いたい)。
この科学の時代、アメリカ・ヨーロッパのキリスト教はすごいと思います。日本の仏教や神道も今後再びそのように多くの人々に信仰されるようになってほしい、などとおもいつつ……。
どこで何を体験していても、マサさんの気持は、メインテーマである、バッハ無伴奏組曲の演奏の準備に常に向かっているのだな、と思いました。
2週目に入りましたね♪
きっと濃~い体験をされているのでしょうね~!?
こちらでは桜が咲き始めましたよ~^^
そしてきのうピアニカ買いました!!!
この度の旅が、今後のたびたびのボクの演奏に、プラスになるよう、がんばりたいと思います~!