あなたにもできる!ハーバード留学!!~アラフォーからのボストン留学体験記

アラフォー研究者のボストン留学体験ブログ。
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ハーバード留学研究2年目編015:How to Negotiate Your Faculty Job Offer

2015-04-02 00:45:11 | ハーバード留学研究2年目編
How to Negotiate Your Faculty Job Offer
といっても、job offerがあったわけではなく、そういうお題のセミナーがBroad Instituteであったので、それを聞いてきただけですが、いろいろな面で参考になりました。

内容としては

Panelists:

Steve Hyman, MD
Cigall Kadoch, PhD
David Liu, PhD

This panel discussion will focus on strategies to negotiate your faculty job offer. Discussion topics will include practical suggestions on knowing what to ask for, reviewing offer letters, and approaches to decision-making.

一番重要なことは、会社との交渉でなく、academicなポジションのjob offerの場合、言ったもん勝ちというのではなく

常識的な範囲をわきまえて交渉する

ということが重要なようです。

基本的には

セミナー -> Chalk talk -> dinner with Faculty members

という一連の過程が終わったのちに、job offerがなされ、そこでstart upパッケージが提示されて交渉が始まるようです。

start upパッケージは額面がだいたい1-2M$/2-3年といったところのようですが、交渉すべき、確認すべきポイントは

1)使用期限が決まっていることがあるが、その確認と、場合によっては使用期限が延ばせないかということ(伸ばす場合には、移転時期と自分の研究計画の進行によって投資すべき時期が1年目以降になるなどのまっとうな理由が必要)

2)自由度の高い消耗品や備品としていくらつかえるのか?コアラボの費用などで天引きされる部分はいくらくらいなのか?

3)自分の給料はその中からはらわないといけないのか?別に出してもらえるのか?

4)移転費用は別に払ってもらえるのか?その場合いくらくらいなのか?(相場は10K$くらいのよう)たとえば子供学校の都合で家が2か所にしばらく必要なケースなどは、増額してもらえる可能性があるので交渉すべき。

5)教育のdutyはあるのか?もしあるならその期間は指定できるのか?(スタートアップ時期で実験がまだ手につかない時にさっさとやってしまうのも一つの手だし、また落ち着いてからやるのも一つの手である)

6)責任の所在を確認して交渉すべき。あるケースでChairと交渉していたら、Deanにまったく連絡がいっておらず、交渉が全くなされていなかったということがあったとか?

7)大体の交渉はメールベースで行われ、Offer letterのドラフトは大体2-3度目に施設を訪れた際に渡されるが、大体12ページにわたる細かな記載の書類である。Start up費用、ラボスペースの場所、有効期限(大体2週間)なのが最低限確認すべきところ。

8)ラボスペースを退官予定教授から引き継ぐ場合は要注意である。だいたい遅れるので場合によっては研究計画を圧迫する可能性がある。

9)一人PIができると大体その人にスタートアップ費用も含めて大学は3-5M$投資することになるので、選考はかなり厳しいものとなる。

といった感じでした。


アカデミックなネゴシエーションは常識的な範囲をわきまえて交渉することが大切

基本的には常識的な路線をわきまえて、交渉するということと、家族が理由というのはわりと聞いてもらえ安いようなので、交渉すべきというのが目からうろこでした。ポスドクの給料交渉でもつかえる発想法な気がします。


















ハーバード留学研究2年目編014:NIH Kグラントセミナー

2015-03-21 14:25:19 | ハーバード留学研究2年目編
NIH Kグラントセミナー
毎年この時期になると、NIHのKグラントセミナーが行われる。
今年のお題は割と総論ていなセミナーであった。

どのKグラントを選ぶのか?
どのような点に注意して書くとよいのか?

を中心に3人のスピーカーによって話される内容である。

どのKグラントを選ぶのか?
グリーンカードのあるなし、また学位取得からの年限によって大きく選択肢の幅が違ってくる。グリーンカードがなければ、K99を目指すしかないが、最近学位取得から4年以内という制限がでたので、これまた学位をとってしばらくしてから留学してきた人には不利である。またグリーンカードなしでアプライできるため、K99は結構狭き門でもある。

グリーンカードがあれば、K01(基礎系), K08(臨床系)の大きく二つの選択肢がある。またfaculty positionを前提としたK22というのもある(アプライ時点でfacultyでなくてもよいが、予算執行時にfacultyでないと執行できない(*))

いずれにせよ、業績がよくないと総合の評価点が悪くなってしまう、もしくはスコアが付かないという事態になる。スコアがつかないと、その先予算が取れる可能性は極端に低くなるらしいので、まずは業績(one big paper)がほしいところである。」

どのような点に注意して書くとよいのか?


要点としてはScience&publicationの部分が重要なのはいうまでもないが、競争になる人はみんなこの部分はすぐれているので、差がつくのは別の部分になるというか、オールマイティでスコアがよいことが必要である。このためtranining plan, environment, candidate, mentorの情報の部分も結構重要で、申請者の研究計画をサポートするかなり綿密なものを作っておかないといけないということでした。

まとめると

1)できるだけ詳細に
2)コースワークはいままでの経歴と考えて相補的なものが望ましい
3)トレーニングプランと実験計画との時系列的な整合性も考慮しておくべき
(例えばバイオインフォマティックスのデーター解析した後で、バイオインフォマティックスのトレーニングを受けるというといったことがあるとネガティブになるとか)

いったことになるようです。





なおトレーニングプランなどに求められる記載の詳細さは思った以上で、研究環境、上にの記載のよい例、悪い例が記載されていますが、トレーニングプランも同じで非常に詳細でないといけないようです。
といっても文字数があるので、日本人には至難の業かもしれません。

(*)まちがっても施設からのサポートレターに、予算がとれることがfaculty positionをうる前提条件ですというような文言をいれないことといっていました。施設が施設内もしくは他施設でfaculty positionを取れるように支援するといった内容でよいようです。

ハーバード留学研究2年目編013:Human equivalent dose calculationとは?

2014-12-05 13:24:57 | ハーバード留学研究2年目編


Guidance for Industry Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers, FDAより引用)


先日Drug Developmentに関するセミナーを受講したのだけれど、一つ勉強になったのが、薬の動物実験の結果から人の薬の投与量を決めるという考え方。
Dose translation from animal to human studiesというもので、体表面積差をもとに決めるというのが主流の方法らしい。

詳しくはFDAの資料に掲載されているが、上のようにモノグラムになっているので使いやすい。これは逆に動物で治療モデルを作る際には有効である。さっそくラボ内の議論で使わせていただいた。

ハーバード留学研究2年目編012:ラボミーティングを終えて

2014-11-25 12:46:04 | ハーバード留学研究2年目編
我が所属研究室は、そこそこ大きい研究室のため、ポスドクが総勢15名程度。週一回1人が発表し、たまにボスの不在などでラボミーティングが飛ぶことがあるから5-6か月に一回、ラボミーティングでの発表の順番が回ってくる。

この11月にこちらに移ってきてから2回目のラボミーティングが回ってきた。この半年に一回のミーティングだと、ネガティブデーターや検討中の自分の中でもネガティブなのかポジティブなのか自信がないようなデーターがだせず(*)、なかなか苦しい。ある程度しっかりとしたデータを出し、今後の方針を出すことが求められているのだ。

とはいえ、一年半で系がようやくできたところなので、しっかりとしたデータで、convincingなストーリーをと言われても早々できるわけではない。また今後の方針も大体このあたりのところという構想をどうふくらましていうか、またconvincingにというか自信を持った風にプレゼンするかにかかっている。

一応まがいなりにもプレゼンし、なんとか興味をもってもらえたようだ。ただ辛辣なコメントもいくつかもらうこととなった。一番厄介なポイントは、「この系でどんな大きなquestionにこたえられるのか?」をじっくり考えろという点。ポスドクの中で一番の還元主義者(reductionist)は、イメージングなんかせずに、まずはquestionをじっくり見定めろとまで言う始末。そうはいってもある程度実験しないと何も見えてこないでしょう。。

確かにある程度のビックピクチャーを最初に持っておくことは重要だと思う。新しく作った系を使った実験だってある程度最初に考えていたストーリはある。

だが個人的には最初に立てた仮説やストーリーのまま、実験の結果がでてくることは普通はまれ(**)であり、軌道修正が必要だ。例えば新しい系をつくって、ある仮説を証明しようとした場合、系自体はうまく動いていても、最初の仮説(***)がちょっといまいちであり、論文になりそうなデーターがでないこともある。

こういう場合、いくつかスクリーニング的な実験をして、どうやるとその新しい系を使って一番クリティカルなインフォメーションが得られるのかを探る過程が必要になってくる。
実は多くの研究の場合この過程がかなり重要になってくる思う。あまり最初に立てた仮説にとらわれすぎると、後々痛い目に合うのが実情だ。

自分はreductionistにはなれないなあ。。

(*)出してもよいのだが蜂の巣をつついたような状態になり議論にならなくなる。はっきりネガティブデーターであれば出せばよいと思うが、精度がいまいちなデーター、微妙にネガティブともポジティブともとれるデーターの場合はプレゼンするとドツボにはまることが多いようです。

(こういうの出すと、いちゃもんが付きまくりになります)


(**)サクッと予想通りいったケースはこれまでの研究の中でほぼない。科学的直観力ていうのが欠如しているのかもしれないのだけど。。(笑)

(***)あたらしい研究を始める場合、それまでやってた研究と多少違う対象を扱ったりして、微妙に土地勘がない分野だったり、実験系に当初あまり慣れていなかったりして、最初の仮説はベストでないことが多い。自分のケースでもだし、もっとシニアな功なり名とげた研究者の場合でも見ていてそんな気がする。

ハーバード留学研究2年目編011:Fellowshipセミナーに参加してみる。

2014-10-18 03:29:52 | ハーバード留学研究2年目編
InternalなFellowshipに関するセミナーであるが、どのように書けばsuccessfulになるか?という内容だったので参加してみた。なかなかためになる内容だったので、いかにまとめておく。

一番のポイントは

このグラントは
1)CV
2)Research proposal
3)Long term training plan (Mentor(現指導教官が)が書く)
4)推薦状(現在及び前のMentorが書く)

の4つをだすことになるのだが、結局差がつくのが1,3,4の部分となるらしい。というのもハーバードの内部のフェローシップなので、研究計画自体はどれもすばらしいものが多く、そこでは差がつかない。

なので、その他の部分でどれだけこのグラントがキャリア形成に重要で、こちらでのトレーニング内容もすばらしく、また推薦者からみてもすばらしい人物であることを打ち出すことが聞いてくるのだということ。1)3)は特に注意していなかったポイントなので目からうろこである。というかこのグラントは過去に出したことがあるが、取れなかったのはそのあたりに原因があるのかもしれない。

個々のポイントとしては
1)CV:よく言われることであるが、誤字脱字がないように慎重に準備することと、personal statementのところは十分に活用すべきであるということ。これは一般的に言われていることのようであるが、CVのpersonal statementの部分は意外とよく見るポイントらしく、自分の特質をうまく書いておくことが重要のようである(*)

2)Research Proposal
preliminary dataがある程度あること、先行研究のpublicationがあればかなりよいので、もしそういったものが入手可能な時期がちょっと先にあるのであれば、応募は遅らせたほうがいいかもしれない。

また1年のグラントなのであまり壮大な計画をたてると、too ambiciousと考えられる。これはscientificな面でmatureでないと考えられるので注意が必要である。

さらによく言われていることであるが、当初予定した計画通り進まなかったときのバックアッププランが提示されているとmatureとみなされてよい。

3)Training Plan

ここでは、トレーニングプランとして、このプロジェクトを通してscientistとしてどれだけ成長できるのかを提示するべきであるのだとか。どういうcourseやセミナーに出ることができる、発表の機会がどのくらいあったり、また共同研究の機会がどのくらいあるのかを述べるものである(**)。

ここは通り一遍の一般的なトレーニング計画を出すのではだめで、できれば具体的に記載することがポイントであるらしい。またそのほかのFundingの可能性とかも書いておくとよいらしい(***)

ここはボスに書いてもらう部分の一つなので、ドラフト作成で以上のような情報を記載しておくことが重要であろう。

4)推薦状
推薦状は、これも具体的に応募者のよさを記載してもらうことが必要である。あと忙しいボスだと、ドラフトをそのまま推薦状にしてしまうケースが多々ある。

この場合英語圏でない人が書いたドラフトは文章からわかってしまうので、それがそのまま推薦状になっていると、ボスが応募者のことをちゃんとケアしていないとみられてしまうとのこと。日本人は特に、推薦状のドラフトもボスや推薦者に渡す前にネイティブのチェックを受けておくことが重要である。

以上。

以下の注は、備忘のため、セミナー資料からの引用である。

(*)The statement section of the biosketch can be used to highlight
your unique qualifications for the proposed work or toexplain unusualaspects of your career path.

(**)Describe the research training plan that you have developed specifically for the Fellowship applicant. Include items such as classes, seminars, and opportunities for interaction with other groups and scientists. Indicate the relationship of the proposed research training to the applicant's career goals. Describe the skills and techniques that the applicant will learn. Relate these to the applicant's career goals.

(***)Briefly describe your career path so far, and
how you see your independent career in the future. How will this
award help to make that happen?

This is a good place to include information about
additional funding opportunities you are applying for (K awards etc)that will support your career development.

We are now asking the mentor to provide a training plan
for each postdoc. This section should explain how the
mentor will further the independent career of the postdoc, and how previous postdocs from the lab have moved on in their careers.
Please discuss the training plan with your mentor, and make sure a comprehensive plan is included in the final application.

とはいわれてもむずかしいなあ。とりあえずtraining planはどこかにテンプレがないか探してみよう。