ものづくりをするためには、これまでにない発想することが重要である。
第一次南極越冬隊長をつとめるなど探検家であるとともに、優れた科学者であった西堀栄三郎の生き方は非常に参考になる。
著書技士道 十五ヶ条 ものづくりを極める術 (朝日文庫 に 9-1)からの一節。
彼は南極で石油を運ぶドラム缶が足りなくなった時、何と南極の雪を固めてパイプを作り貯蔵庫からエンジンルームまで運ぶという発想をした。
彼の言葉が傑作である。
物事に行き詰ると、まず事の本質を考えてみる。
「電気を得るためには、発電機が必要だ」
「発電機を回すには石油がいる」
「欲しいのは石油であって、ドラム缶でない」
「考えてみりゃ、石油がエンジンルームに入りさえすればいいんだな」
ということになって、
そこから「パイプだ」という発想が生まれてくるのである。
そんなエピソード満載の一冊。
ものづくりだけねなく、危機脱出法のテキストとしてよいものである。