あなたにもできる!ハーバード留学!!~アラフォーからのボストン留学体験記

アラフォー研究者のボストン留学体験ブログ。
研究・生活・英語・ITを中心に留学ライフハックスをお教えします!

アラフォーからのハーバード留学生活編004:オシムに励まされる

2013-06-21 13:44:26 | アラフォーからのハーバード留学生活編
 行き帰りの通勤電車の中、本当は英語を読んだ方が良いのだろうがついつい持ってきた日本語の本を読んでしまう。いろいろと施策にふける時間でもあり、また頭を休める時間でもあるので、日本語の本でもよいのかもしれない。
本日の読物は、元サッカー全日本監督のオシムさんとの対談をまとめた「オシム 勝つ日本」だ。サッカーだけに限らず、生き方や発想法について示唆してくれる本である。
 
 以前に読んでいた時はきづかなかったのだが、こんなことが書かれていた。

 日本の社会はすべてが整いすぎているように、私には見える。満ち足りた環境の中で暮らしていると、自分を変えるのは難しい。
だが、日本人はメンタリティを変える必要がある。ちょっと難しい状況に陥ると、選手は簡単にあきらめたがるが、それではサッカーはできない。常に困難と向かい合ってプレーすることをマナがないといけない。(「オシム 勝つ日本」)

 なるほどな。今の困難というのは、日本が整いすぎていたせいかもしれない。ちょっと励まされたのであった。

アラフォーからのハーバード留学生活編003:アンドロイドアプリBostonbusmapってすごい

2013-06-19 13:49:11 | アラフォーからのハーバード留学生活編
 ボストンのバスは時間通りでくることはまずない。よく2台が団子、場合によっては3台が団子になっている。あと休日の夕方だと時間が1時間に1-2回ということもあって正確な情報を得ることは公共交通機関を利用する身にとっては非常に重要である。
そんな中バスの正確な時間がわかるアプリがあるとの情報を得て、Bostonbusmapを利用してみた(ほかにも同様のアプリがありどれも似たようなものかもしれないが)。フリーであり、直感的に使え、多少の時間のずれはあるものの、おおむね正確である。先日子供の音楽会があり、郊外にバスで出かけたのだが帰りのバスの時間がわかり非常に助かった。もし逃していれば暗い中1時間待たないといけなくなってしまったからである。。おすすめ度大ですね。

アラフォーからのハーバード留学研究編004:自由とは不安?「次郎物語」の教訓

2013-06-19 12:53:10 | アラフォーからのハーバード留学研究編
 ここでのラボの生活は基本放任主義というか、ほったらかされている。やりたいことをやれるという反面もあるのかもしれないが、言葉も通じず右も左もわからない中でほっておかれるとちと不安がのこる。
不安の原因は、
 
 1)自由とはいえ、ボスの許容範囲がどこまでかわからないこと(気が付かないうちに地雷を踏むのは避けたい)

 2)研究の方向がOKかどうかわからないこと
 
の2つかもしれない。プロジェクトも含めいろいろ指示してくれた方がある意味楽な気もする。日本人ラボで馬車馬のように働かせられるかもしれないが、プロジェクトが決まっており、何も考えなくてもよいような状況もある意味幸せな気もする。。泣きが入る。

 そんな中kindleで読んだ下村湖人の名作「次郎物語」(子供のころに偕成社版を読んだのが記憶に少し残っており無料本の中にあるので、ついダウンロードして読んでしまう)の中に似たようなシチュエーションが出てきて驚く!

 戦前の教育により国のために何も考えずに奉仕するように教え込まれた青年たちが、自由主義を尊重する青年塾の方針にとまどう場面である。

 みずから考え、みずから動く訓練よりも、指導者の意思通りに動く訓練をうけることによって、よりよき人間になると信じ込まされてきた青年たちに対して、塾堂の主脳者たる自分から、そんなふうに相談をもちかけることが、いかに場ちがいな感じを彼等にあたえるかは、先生自身が、一ばんよく知っていたのである。

 (中略)


「さしあたり必要なことだけでも、きめておこうじゃないか」

「そんなことは、先生の方でびしびしきめていただくほうが、めんどうがなくていいんじゃありませんか」

「めんどうがない?なるほどめんどうはないね。しかし、みんなでめんどうを見るのが、ここの生活ではなかったのかね。」

(下村湖人著「次郎物語 第5部」(kindle版)より)

これをよんで今の状況に思いをはせてみる。やはり日本人のせいか、この軍国青年と自分の思いというものはそんなに違わない気がする。さしずめ「教授の意思通りに動く訓練をうけることによって、自分もよりよき教授になると信じ込まされてきた青年」といったところだろうか。

 日本的教育は戦前も今も本質的には変わらないままなのではないだろうか。こちらではいくら近道とわかっていても指導者の意思通り動くというというよりは、自由が保障されていることの方が重要な気がする。西欧人からするとこのほったらかしの対応が普通なのかもしれない。

アラフォーからのハーバード留学研究編003:RNA-seqデーターいじってみる

2013-06-19 11:56:02 | アラフォーからのハーバード留学研究編
Broad Insititute講習の最後にGSEA(Gene set enrichment analysis Broad Instituteが開発した発現解析の手法の一つ。フリーソフトなのと過去の研究者が発表した発現アレーデーターと自分の発現アレーのデーターを簡単に直接比較できるので、結構多方面で使われていて、個人的には革新的な技術だと思っている)の話がでていたので、gene setの良いデーターベースがないかちょっと質問していたら(結局BroadのMSigDBとのこと)、ラボの後ろに座っているポスドクが「何きいていたの?」と聞いてくる。

「gene setのいいデータベースを聞いていた」というとアレーとかの解析に詳しいと思ったのか、「RNA-seqも解析できるか?」と聞いてくる。講習でRNA-seqデータをgctファイル(GSEAで利用可能なファイルフォーマット)データーに変換できるといっていたのでたぶんできると答えたことからそのポスドクのRNA-seqデーター解析を手伝う羽目になる(まあ勉強になるからいいか!)

まずRNA-seqのデーターはBAMファイル形式になっているので、それをgctファイルに変換するためにGene patternのCufflinksにかけようとするが、2GB以上は送れない(FTPでおくれるらしいのだが、うまくcufflinksにもっていけない)。またRNA-seq用各遺伝子のアノテーションファイルであるGTFファイルも不明である。

一つだけ2GB以下のファイルがあり、アノテーションファイルはおそらくgene patternのサイトにリンクがあるFTPサイトからダウンロードできるらしいので、cufflinksにかけてみるがうまくfpkm値をだしてくれない!!(どうやらバグっぽい。そろそろ治っているかもしれないが?)

ちなみにBroadのサイトにはWe recommend that you run these modules on a local GenePattern serverとあるが、ダウンロード版のcufflinksはmacの方が相性がよいようで(*)、すぐには使えない。ここでも先日新調したコンピューターがmacだったらと思えてしまう。

困り果てて、よくよく聞いてみるとRNA-seqは業者に頼んだらしく、各遺伝子のfpkm値(RNAの発現量に対応)をエクセルファイルにしたものをもっているとのこと。それを利用してgctを作成し、GSEAそのほかの解析を行うことができた。結構面白い結果というか信じられないくらい興味深い結果が得られた。

ただ問題はフィルターをかける場合どのようにすればよいかということ。
fpkmはアレー解析の値ともダイナミックレンジが違い、同じようにフィルターをかけるとデーターがものすごく少なくなってしまう。あとすべてのfkpm値が0となってしまう遺伝子が結構あり、これがGSEAを行った際に結構悪さする感じである。

日本でお世話になったBioinfomaticianの友人に聞くと、彼らも同様の疑問を持っているらしくとりあえずフィルターはかけず、すべてのデーターGSEAにかけているのだとか。。一応今回はすべてのfkpmが0になるものだけのぞき、GSEAを行ってみる。ちなみにお手本論文によるとBroadの人たちはranked gene list(GNK)でGSEAをかけているらしい(**)。

それはさておき、なかなかRNA-seq面白い!

(*)cufflinksはMac版かLinux版しかない。

後日談であるが、結局Cufflinksなども含めて、RNA-seqデーターを扱うことを少し勉強してみた。

自前のエイサーのネットブック(ネットブックでできるのがすごい)にLinux(Ubuntu)をVMware Playerを使ってWindow上に導入してみることから始め、Bowtie, samtool,cufflinksなどを動かしてみた。

意外とネット上にはいろいろな資料がちらばっているもので、もろウエット系アナログ人間の私でも何とかできそうな気になるくらいまでは習得できる。

備忘録がてら、その顛末をシリーズ「ネットブックで行うRNA-seqデーター解析」としてまとめてみた。

第一弾は、準備編アラフォーからのハーバード留学研究編015:ネットブックで行うRNA-seqデーター解析(1)である。ご興味があれば、お読みください。

(**)gctじゃないじゃん!!

アラフォーからのハーバード留学研究編002:Broad Insititute講習

2013-06-19 11:23:58 | アラフォーからのハーバード留学研究編
 ちょうど来てから一か月。Broad Insititute(コンピューターバイオロジーで有名なMIT&Harvardの研究所)でRNA-seq(細胞内のRNAの塩基配列をすべての読む次世代シーケンスの技法のひとつ)講習会があるとの話がボスから回ってくる。RNA-seqあまりやる気はなかったのだけれど、そんなに実験をすることもないのでいってみる。みんな興味ないのかと思いきや、新しもの好きが多いせいかラボのほとんどが参加していた。そしてRNAseq結構面白そうである。
 
 RNAseq基本的な使い方は、DNAアレーと同じだが、それ以外に変異の検出(特にfusion gene)の検出やアイソタイプの検出もできるらしい。特に興味深いのが、興味深い配列だけ増幅してシーケンスするtargeted RNA seqという手法。Bcr-Ablという遺伝子変異が知られていたK562という白血病細胞株から複数の新規の融合遺伝子を検出することができたらしい(これではないけどこれも似たような報告)。

ただ問題なのは結果の解析手法がややこしく、まだアレーの解析のように素人がチャットやれるだけツールが整備されていないらしい
いくつかのツールはBroad Insituteが提供しているGene Patternにあるらしく、一番のバカチョンのセットがcufflinksである。。

 またお手本となるRNA-seqの解析&利用についての論文は、昨年Nature Bitechnologyからでているらしい。

 ちなみにこのファーストオーサーCole Trapnellさんも講習会で講演していたけど、すでにこのクラスの論文が複数あり、RNA-seqの技術をどんどん開発しているけど、まだ同じHSCIに属するポスドクらしい。やっぱりハーバードはたまに大天才がいるようだ。同じポスドクでもこんな人とコラボするとどんどんいい仕事がでていくんだろうなあー。そんなチャンスあるのだろうか?つめのあかでも煎じて飲みたいところである(笑)。