あなたにもできる!ハーバード留学!!~アラフォーからのボストン留学体験記

アラフォー研究者のボストン留学体験ブログ。
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2番手の成功法則:iPSの山中先生も?

2013-01-26 01:37:57 | 2番手の成功法則
                


 この方のことを2番手というと今や語弊があるであろう。iPS細胞の一連の研究で2012年のノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥先生のことである。

 整形外科を目指されていた研修医時代に挫折を経験されたというのは有名な話であるが、研究分野に移られてからは最近の研究の成果が華々しくずっど一番であったのではないかとの印象がつよい。確かにiPS細胞の研究の前にも、奈良先端大学院大学でNature等の一流雑誌に掲載された研究を多数報告されており長年の間一線を走ってこられたのは間違いない。

 しかしながら37歳の時に奈良先端大学院大学の助教授になられるまでは、頑張っておられたのだろうが2番手であったのではないだろうか?山中先生の自伝的なインタビュー本「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」に赴任直後の状況をあらわした次のような記述がある。

 「それまで『ネイチャー』や『サイエンス』といった科学雑誌に論文を載せたこともありませんでしたし、研究費も少なかった。こういう無名の研究者の弱小ラボに、果たして学生さんが来てくれるだろうか」

 こうした状況から10数年後のノーベル賞。山中先生の軌跡には2番手の成功法則が隠れている。


アラフォーからの海外留学初期編007:アラフォーと奨学金について

2013-01-26 01:16:09 | アラフォーからのハーバード留学準備編
 以前奨学金というものは40歳を過ぎると途端に申請できなくなるという話をあるジャーナリストから聞いたことがある。40歳を過ぎると投資する価値がないと国家や社会がみなしているのだというのがその理由ではないかと彼は指摘していた。不惑の年とはそのようなものらしい。

 実際このたび海外留学に利用できる奨学金を探していて、そのような現実にぶちあったった。
奨学金の申請が可能な年齢の上限は、34歳、37歳、40歳というものが多い。特に37歳以上になると6年生の医学部を卒業していないとほとんど応募できる奨学金がない。

 しかしながらライフスタイルは多様化してきた。一度サラリーマンになってから医学部に入りなおす人もいるし、妊娠や出産などで一時的に一線の仕事から遠ざかっておられる女性の先生もいる。子育てや仕事がおちついてから留学したという先生もいるだろう。一義的に年齢で門戸を閉めてしまうのはこうした先生のチャンスを奪っていることにはならないだろうか?

 最近では40歳定年説といって40歳まででそれまでの仕事からキャリアチェンジすることを推奨する考えもでてきており、再チャレンジではないが40歳を超えてもトレーニングの機会を提供することは重要である。一方で20代の若者の留学は減少傾向にあり内向き志向として問題視されている。年齢に限らず意欲のある人にチャンスは提供すべきではないだろうか?

 とはいえ、奨学金だけでなく周りの環境も40歳をすぎるとなかなか留学に向いていないかもしれない。留学を考えるなら、35歳前後をめどにするのがよいだろう。

漢方薬の効果のもとは抗酸化力

2013-01-25 03:29:51 | ものづくりのための研究ノート
                

 慶応大学医学部で東洋医学の研究をされている渡辺賢治先生の「日本人が知らない漢方の力」(祥伝社新書264)を読む。その本によると漢方薬の主な効能の一つが抗酸化作用にあるという。この抗酸化作用とは、呼吸によって生じる有害な酸素である活性酸素によって細胞が参加するいわば錆びついて傷つくのを防ぐ作用である。活性酸素は喫煙、大気汚染、紫外線や放射線、ストレス、炎症によって過剰に生じるということがしらている。この活性酸素による細胞の障害効果は、酸化ストレスといい心筋梗塞。狭心症のような疾患、炎症、老化などにも深くかかわっているとされる。

 つまり効果の大きい漢方薬かどうかは抗酸化作用の大きさを調べればわかるのだ。興味深いことに渡辺先生らはこの抗酸化作用を客観的に評価する方法を用い漢方薬の効果を標準化することを行っている。食品の抗酸化作用を表す指標であるORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity)を用い漢方薬を評価しているのだ。このORAC指数は食品でいうと一日4000-5000とることが推奨されており、野菜だと350gにあたる量らしい。漢方薬だと一日約8g(7.5g)だからグラム当たり500-600くらいのORAC値を持つ漢方薬を飲むと、抗酸化作用としては十分なようだ。


以下それぞれNo. 漢方薬名、処方薬、方剤、原材料エキスのORAC (μmol TE/g)値を渡辺先生らの研究報告より引用する



ORAC値の高いものに、葛根湯、大紫胡湯、柴朴湯、参蘇飲、参蘇飲など風邪につかうような処方が多い。特に昔、やぶ医者のことを葛根湯しかださない「葛根湯医者」と呼んだが、意外と「葛根湯医者」は理にかなっているのかもしれない。

1 通導散788.44 259.35 1314.06
2 大承気湯730.10 484.58 1825.25
3 麻子仁丸716.32 316.02 2387.72
4 大黄甘草湯583.82 729.78 2919.12
5 当帰飲子578.29 160.64 867.44
6 潤腸湯570.01 174.49 855.02
7 荊芥連翹湯558.30 167.49 930.50
8 柴胡清肝湯556.90 181.60 879.31
9 竹筎温胆湯493.49 127.63 672.94
10 葛根湯加川芎辛夷491.08 175.39 920.78
11 三黄瀉心湯490.04 408.37 2100.18
12 防風通聖散479.20 136.65 798.67
13 清上防風湯477.27 159.09 753.58
14 桃核承気湯471.83 245.74 1179.57
15 調胃承気湯471.67 1010.72 2830.01
16 葛根湯462.58 192.74 925.17
17 桂枝加芍薬大黄湯456.68 180.27 856.27
18 治打撲一方453.86 219.61 1512.87
19 大柴胡湯453.26 147.80 755.43
20 香蘇散452.04 322.89 1695.17
21 升麻葛根湯451.62 282.27 1505.41
22 柴陥湯451.28 135.38 676.92
23 女神散449.55 140.48 749.25
24 川芎茶調散444.05 166.52 1024.73
25 茵蔯蒿湯443.72 415.98 2218.58
26 柴朴湯435.87 96.15 653.80
27 抑肝散加陳皮半夏420.19 110.58 700.31
28 柴胡桂枝乾姜湯405.49 138.24 868.91
29 参蘇飲404.37 147.94 758.19
30 辛夷清肺湯399.77 111.05 666.29
31 神秘湯399.55 149.83 1089.68
32 防已黄耆湯394.19 159.81 788.37
33 ニ朮湯388.22 100.40 582.32
34 清心蓮子飲386.26 109.32 579.39
35 乙字湯385.81 165.35 723.38
36 半夏瀉心湯385.46 156.27 642.44
37 平胃散374.15 207.86 863.41
38 黄連解毒湯369.48 326.01 1847.38
39 当帰四逆加呉茱萸生姜湯362.24 113.20 679.20
40 五淋散361.55 79.75 542.33
41 治頭瘡一方346.72 157.60 866.79
42 大黄牡丹皮湯346.38 145.95 742.25
43 柴胡加竜骨牡蛎湯340.41 89.58 567.35
44 消風散338.62 105.82 634.90
45 五積散336.66 114.77 631.23
46 茯苓飲合半夏厚朴湯335.83 88.38 559.71
47 四逆散332.18 199.31 1107.27
48 三物黄芩湯330.33 206.45 660.65
49 排膿散及湯314.78 138.87 524.63
50 抑肝散311.70 114.04 719.31

アラフォーからの海外留学初期編006:面接後

2013-01-25 03:01:56 | アラフォーからのハーバード留学準備編
 面接は一応うまくいったようで、セミナーで話した研究テーマについてボスは非常に興味を持ち、こちらにきてそれを続けるべきだと言ってくれる。そして奨学金をとってくれば受け入れは可能。奨学金の額はかならずしも給料をフルにカバーするものでなくてもよい。とのことであった。ただ詳細については今後メールでやり取りするなどして継続協議していきましょうとの話となった。オファーレターもこの時点でもらえなかった。

 外資系ヘッドハンティング会社に努める知人が、「外資系への転職はオファーレターがでてから動くべきである。結構交渉時にいい雰囲気になっていてもオファーレターがでないというのは外資系でよくある話」と言っていたのが頭によぎる。

 なんとなく玉虫色の決着である。あとから失敗したなと思ったのだが、この面接旅行で複数のラボにアポを取っておき有利な条件のところに決めるというアプローチをすべきであった。冷や汗!!


 といってもはじまらない。奨学金を申請するためには受け入れ先の承諾書なり、オファーレターが必要なのである。帰国して礼状兼オファーレターの依頼メールをだすが、レスなし。一週間してから、催促してようやくオファーレターが送られてくる。

 レターには「リサーチフェローとして喜んで受け入れる。しかしながら本契約はあなたが給料分の財源を見つけた時のみ有効である」という文章が書かれ、アンダーラインまでひかれている。おいおい。

 何はともあれ、ようやく奨学金申請は可能になった。

 奨学金申請は募集要綱が大体毎年4月に告知され、締切が主に6月である

 1)6月中旬:アステラス病態代謝研究会、持田記念財団、先進医薬研究振興財団など
 2)8月中旬-9月:上原記念生命科学財団
 3)年数回(6,9,1月):住友生命社会福祉事業団

また発表は10月から11月に行われる。

 年齢等の応募資格を確認し、可能なものはすべて応募する。
 同じような時期の応募および発表時期なので、留学準備は
 
  冬から翌年の4月くらいまでに面接
  4月から8月で奨学金申請
  10-11月に奨学金発表後、ビザ手続き
  翌々年の春から夏くらいに留学
 
 といった時期に行うのが効率的な気がする。よく言われるように留学準備は思い立ってから一年くらいかかるのが常なようだ。

 奨学金を申請してしまえば後は運を天に任せるしかない。

 

 


日頃健康な人の健康法:仕事が面白くなっても、よくばらないこと

2013-01-24 03:41:11 | ものづくりのための研究ノート
               
 
 慢性病に対する漢方治療の教科書の解説本「よくわかる金匱要略」(田畑隆一郎著)に興味深い記述がある(一部筆者改変)。

 夫れ男子の平人、脈大を労と為す、極虚も亦労と為す。

 男子で日頃から健康に見え、自分でも健康と思っている人で、大脈の場合もしくは極端に虚弱な脈の場合、疲労からくる病根をもっていることがある。日頃健康な人でも、仕事や雑事に気を配り、精神緊張のため平素健康な人でも、「気」の異常(気逆)が起こり大脈となりうる。

 こうした「人が勢いにのって世に用いられるときは、心気はそのために快くなり少しのことには頓着しないように見えるが、大の脈を現す時は、必ず労より来るもので、頓死をしたり、または外邪や伝染病など、この脈が宿因となって必ず大病に至る。

 また脈が極虚の場合も労の根本になるものである。平素無病とて養生に心を用いなくとも一生事なく過ぎるものは、この労のないものである」

 と疲労からくる病について述べている部分だ。

要は普通の人でもハードワークになったり、仕事のストレスがでたりした場合、もしくはそもそも体力がなくて虚弱な人の場合、特に問題がなても、疲労がたまりやすく、上のような脈の異常として現れる。

逆に健康な人に脈の異常があった場合は別に病気がなくても、すでに病根があるとして養生すべきだといっている。

特に昇進して、仕事が面白くなってきたとき、本人は気づいていなくても疲労が蓄積し病気になりやすい状態になっていると警告しているのだ。昇進、結婚、就職など一見よいこともうつなどのメンタルな疾患の原因となるということはよく知られた事実である。さらにはうつは過労の原因でもあり結果にもなりうる病である。過労は不整脈や心筋梗塞などの心臓の病気や脳卒中などの遠因となりうる。中国4000年の知恵はそういた状況を指摘してるのだろう。

病気の前段階である「未病」の一つの表れの見極め方を明瞭に表し、また生活の知恵を示唆してくれるこの一文は漢方治療の神髄であるといえよう。