フウラン マンポウ(漫歩)・風蘭と友達、旅と花

カメラ大好き人間の拘りの画像の発信集。

フウランの珍しい自然交配のしくみ

2006年06月30日 | ◆種から育てるフウラン
 フウランの花の構造と自然交配のしくみ。

一般的に自然界では昆虫が介在して交配結実すると云われており私も信じて疑わ
なかった。
しかし、介在は一部合っているので否定はしないが内容は大きく違うようだ。
これを常識のウソと云う。

もの分りの良い思い込みの世界が生んだ落とし穴だが被害者が全く出ない、お遊び
の範ちゅうなので大したことはない。

昆虫が介在し交配すると云うのはロマンがあっていかにも風蘭の古典植物らしくて
いい。

しかしながら夢をこわすようで申し訳ないが 現実はモット巧みで 風蘭はもっと
シタタカに進化しているように思われる。

そこで今回はフウランの珍しい交配の仕組みを花構造にて紹介する。
                 フウラン花の断面

            画像ではまだ④ネバネバは生成されていない。

花構造(花の断面)
①葯帽  :花粉魂を保護するように柱頭最先端部に着いている帽子状のもの。
    花粉魂の成熟肥大化により浮き上がり茶色く黒ずんでくる、開花後約
    4~6日目くらい。
②花粉魂 :花粉に相当するもので、球体をした濃い黄色をしており大きさは直径
    0.5ミリほどで柱頭先端部に1対で着いている。これ自体は粘着性は全    く無い、サラーとしている。
    別途粘着体の助けを借りない限り一般の草花のように昆虫の体に付着する
    ことは出来ない?。
③粘着体 :④柱頭ネバネバ部入り口付近やや内部にあってゴム状をしており②花
    粉魂をシッカリ捕まえている。連結されていて常にゴム状粘着体でネバ
    ネバ部に引っ張っている。ここが従来は見えてなかったところだ。


④柱頭ネバネバ部:雌しべに相当するもの。この内部は正面からの形状はアーチ型
    で奥に長いお椀を伏せたような形状をしている、開花当初はこのネバネバ
    は無いが花粉魂が成熟する頃になるとネバネバが生成され受粉時の花粉魂
    を受け入れ保持出来るようになっている。
    保持といっても非常に保持力は弱い。



奥左画像では④ネバネバが生成されている。
②花粉魂は、偶然にも花切断中に勝手にネバネバ部に飛び込んだもの。

交配のしくみ
1、適期になると④柱頭先端下部にネバネバが生成される。

2、更には、適期になると花粉魂成熟肥大により①葯帽が浮き上がってきて勝手に
外れる。

3、この時、花粉魂はこの④ネバネバ内部の先端付近凸状の内から出ている③ゴム
状粘着体に連なっているので葯帽から開放された花粉魂は即ネバネバ部引っ張られ
保持されるというのである。
この保持力は弱い場合が多く、人工交配時では保持されない場合は唾をつけて引っ
着ける場合も度々あるほどなので自然ではこの粘着体に引っ着いていることで保持
されている。

いわゆる自然界では、風蘭は勝手交配も出来るのである。
この誰の介在も必要としない手段をも持ち合わせている、シタタカさがある。

観察では。
葯帽が外れると開放された花粉魂は③粘着体に引っ張られてまるでヨーヨーの振り
子のようにネバナバ部に飛び込み保持されるのである。一瞬の出来事なので良く観
察しないと解らない。
花粉魂を落としたかと下を探すこともあるほどであるが、しっかりネバネバ部にお
さまっている。
5~6個回交配を試みて1回はこの状況にぶち当たる。毎年20個以上は人工受粉
を行いもう7年になる。私はセルフ交配が嫌いなのでやらない、しかし花粉魂を
取り出そうと爪楊枝で葯帽に触れた途端勝手交配をする場合があるのでこれを防ぐ
のが大変だ。

ちなみに。
昆虫介在説だが、観察が完全に済んでないので否定はしない。

葯帽だが。適期、昆虫が花に入りその後 後ずさりで出てくる時昆虫の背中・羽・
頭が触れただけで即葯帽は外れる構造になっている。
従ってココまでの昆虫介在は合っている。

花の大きさに合う昆虫は、大きい目のアリンコのサイズが適当だとわかる。
ハエ程度より更に小さいアブ・蜂の仲間か、蛾なら小型の夜盗蛾達が考えられる。
実験のため、可哀想だが7年間で10数匹の昆虫には協力死を頂いた。

しかし昆虫には容易に花粉魂単体では引っ着かない。全く着かないのだ。

何故昆虫に付着するかテストしたが粘着体ごとは着く場合はある。

この粘着体は、花粉魂を保持している保持力は柱頭ネバネバより遥かに強固で
あり昆虫に着いたとして更には花粉魂を持ち運び他の花の柱頭ネバナバに花粉魂が
到着したとしても保持力は強いので又持ち帰るだけなのである。
 と想定される。


交配実生苗の植え替え(2)

2006年03月15日 | ◆種から育てるフウラン
           種から育てたフウランの植え替え(2)

前回とは同期の分と1~2年若いものの混合。
白縞と黄縞が見える、これは柄が派手過ぎて成長が特に遅い。

右端の分は普通の縞が現れた物。





古い水苔をバラシたところ。
実生実験成果の集約がここにある。

期待した珍しいものは出現していないが、多分誰にも真似出来ない
交配の組み合わせなので、世界で一つだけのフウランだ。





植え替え後



植え替え後

交配実生苗の植え替え(1)

2006年03月13日 | ◆種から育てるフウラン
         種から育てたフウランの植え替え(1)

以前紹介した実生苗の大きい方を植え替える。
これは比較的初期のもので約5年経っている。
全幅4~5センチ、我が家は加温設備が無いので成長は遅い。

以前より保有していた「建国殿の縞」の実生の思わせぶり柄(実際は青葉)
の株Aを母親にして、別の個体である「建国殿の縞」の実生の思わせぶり柄
(実際は青葉)の株Bを交配したものである。


画像①の 右の仔は葉裏に墨を流しているのが見える。
      左の仔は一番期待しているもの。




画像②の右の仔は新月殿と思われる。
    左の仔はよく出現する散り斑縞だ。

フウランの種の蒔き方(2)

2006年02月21日 | ◆種から育てるフウラン

 フウランのアカチャン。
これは無菌播種の方法で育てたフウランのアカチャン1歳と5ヶ月である。
欲目でかすかな斑入り葉が2本あったが抜けてしまい今は無い。

私の場合あまりお金はかけたくないので自己流の簡易法のテスト走行中。既に6年もたった。
従って、圧力釜やクリーンベンチ等の設備は全く無い、家庭のゴミ袋やいらなくなった蒸し器
又はコーヒーやジャムの空き瓶・園芸店でもらったバイオ瓶フラスコ等を使っている。

設備の整った環境と比較すると約数倍の時間と労力が必要になることより一般的にお勧め
できるものではないような気もする。お金をかけない方法はそれなりの致命的な欠点がある。
2回か3回に1回の割合で原因不明のカビが発生し気が付いた時には苗が全滅している。
鉢上げまでには数回の移植という作業を繰り返すのだが、斑入り葉や変化葉の貴重に
思い慎重になって力の入ったボトルに限ってカビにやられるパターンだ。移植を繰り返して
いると 3年くらいで殆ど苗が残っていない状況だ、だから教えることもしない。

私の場合、フウランの気持ちが知りたくて、アカチャンの時から付き合っている。
世界で一つだけの華を求めて挑戦をしている、結果ウンヌンより好きだから、気が澄むから
やっている。苦労は多いが新たな発見が多くあり満足している。

さて、この核のような物をプロトコームと呼び1個から数個の集合体まで出来る。初めは黄色
だが肥大するにつれて緑色となりこの状態を発芽という。
このプロトコームから1個又は10数個の仔供が次々と出てくるのだ。

別ボトルではプロトコームからアルビノ(幽霊葉)と縞斑が確認できる、これが出ないとおもしろく無い。

同じボトルに蒔いても大きいのと小さいのが出来る、この大きい方は強健なので原種フウランに近く早い
時期に選別して取り除く、柄物や小さいひねくれたような物のみ残していくように選別する。

ちなみに、太根から毛根が出ているのがよくわかる、これが自力栄養吸収の貴重な根である。


 


フウランの種の蒔き方(1)

2006年02月20日 | ◆種から育てるフウラン


 我が家の庭で種を付けたフウランです。

フウランの種蒔(播)きには大きくは2種類の方法があるようだ。
1つ目は、発芽に必要な栄養えを補給してくれるラン菌がいる床(蘭科植物の鉢内)に直接蒔く方法。
2つ目は、無菌播種といって人工的に無菌環境下で発芽に必要な栄養を与えてやる方法だ。

何れも一長一短があり且つ、トコトン困難でよほど好きでない限り一般的にはお勧め出来る物ではない。

ここでは直接種を蒔く方法を説明する。

フウランの種はこのような殻に入っていて完熟すると爆ぜて自然に割れが入り中身が現れる。
正確には種はこの中で繊維状のまるで糸クズの集合体か綿のような物1本に数個くっつき又は多くは
外れた状態で入っている極小さな物だ

これを直接、春ランやフウラン等ラン菌のありそうな鉢に蒔くと良いようだ。
我が家では種と繊維状の物は細かくちぎって全部蒔く。
パラパラと適当に上から落とし最後に風で飛ばないように軽くスプレーして湿らせておくだけだ。
注意することは、水遣りの度に水圧で種が動く(移動する)と発芽率は良くないので、
水遣りはやめてスプレーで済ませることだ。面倒だが種を根にご飯粒で直接塗りこんで
付けても流されなくて良い。

10年以上試みたがシュスランの鉢とミヤナウズラの鉢以外は発芽せず、発芽には何かまだ
条件管理が不足していたようだ。

その後の経過は、何回発芽させても最悪で、水苔内にナメクジに卵でも産みつけられるのか
捕っても後から次々出てきて食われてしまい気が付いた頃には2・3年程で無くなってしまう。

一回超概算200粒から600粒蒔くのだが、当初発芽したのは20数本あったものが何故か年々
少なくなり、飽きてきた頃には数個しか発芽しないようになり面白みは全く無くやめてしまった。

ちなみに
自然界では種のまま又はこの繊維状の物にくっつき風に飛ばされ気流に乗って遠くまで飛ぶ、
種単体では木肌の荒れたポケットに留まり、繊維状の物は飛んでいった先の木肌の荒れた所に
容易にくっつきラン菌との出会いを待つ。

ラン菌と出会うと繊維状のものは小さくちじんで接着性が出て木肌にしっかり固着し発芽を
待つものと推測されている。(このように繊維状のものがちじみ培地やガラス壁に引き寄せ
られる現象はフラスコ内で容易に観察できる)