曇、14度、64%
デザイナーのの高田賢三がコロナでパリにおいて亡くなったのは昨年の秋だったと記憶しています。高田賢三は触れるまでもない有名なデザイナーです。訃報に接した時、好きで求めたKENZOの服を思い出していました。
私は20代に入る少し前から30代半ばにかけてKENZOの服が好きでした。結婚後、収入は少なくてもバーゲンなどを利用して一つ一つ買いました。香港に行ってからはスーツや小物まで求めました。夏の麻のペイルブルーのパンツスーツ、JUNGLEブランドのGパンやGジャン。肩パッドの入っていたジャケットは流行らなくなってからはパッドを取り仕立て直してもらい着続けました。でも手元には一着も残っていません。今KENZOの物で私が持っているのは、菊の絵のリモージュ焼きのお皿だけです。
鮮やかな橙色の地に菊の花、20数センチあるオバール型の皿です。秋になるとよく使います。リモージュの硬い焼きがこの皿の特徴です。求めたのはKENZOの店が香港セントラルのランドマークの3階のあった頃、すでに30年近く前です。ウィンドーにこの皿と大ぶりなティーカップがディスプレーされていました。カップは我が家が使うに大き過ぎました。カフェオレ用でしょうか。オバール皿も幾枚か持っていましたが、テーブルのアクセントにと買い求めました。
今年もバームクーヘンを焼いた時、お盆代わりにお菓子とお茶をのせて使いました。なぜ洋服が一枚も残っていないのかわかりません。物持ちだけはいい私ですのに。この皿を手にする度、高田賢三の笑顔を思い出します。私の大事な皿の一つです。