晴れ、28度、83%
「湯だね」と書かれた食パンが日系のパン屋さんで見られるようになったのは、随分前のことでした。山崎、パナッシュ、リトルマーメイド、大手のパン屋さんのパンが香港では買うことができます。ドンクだってあります。「湯だね」のパンは少しお値段がよく、見た目は普通のパンと変わりませんが一度だけ買ってみました。確かパナッシュのパンでした。柔らかだったことしか記億にありません。
自家製の酵母で作った食パンは、実のところあまり美味しいとは思えませんでした。私の酵母は食パンには向いていないのかもしれません。工業化された均一の酵母ではありません。発酵の力も匂いも味も継ぐ度に違います。元はレーズンの種ですが、我が家を浮遊しているモモ菌、マナ菌だって混ざっています。天然酵母の食パンは焼いた次の日には、モロッとして来ました。食パンはイースト発酵の方がおいしいなあと思っているとき、ふと「湯だね」のことが頭をかすめます。「湯だね」ってどんな菌なのかしら?
調べて見ると、菌ではありません。粉と砂糖、塩を熱湯で捏ねたものが、「湯だね」です。 熱湯で捏ねることによってでんぷんの形成を強くしています。出来た「湯だね」を半日以上冷蔵庫で休ませて使います。
食パンは普通のパンよりやや水を多目に使って柔らかさを出します。今回は、粉の85%まで水を入れました。「湯だね」も使っていますので、ベタベタの生地です。果たしてうまく出来るか心配になって来ました。
昨日は朝の9時には香港、既に30度を上回りました。湿度も80%、室温で発酵可能です。見る間に大きく膨らみます。天然酵母に慣れて来ているので驚きです。それでも長め長めに一次発酵を続けてみます。ベンチタイムのあとからは、扱い易くなって来ました。型に入れて二次発酵です。
プルマン型に入れて焼く食パンはこの二次発酵が決め手です。蓋をしますから、発酵が少なくても多すぎてもうまくいきません。久しぶりにイースト発酵のパンの匂いが台所に拡がりました。型から出しただけでは、普通のイースト発酵の食パンも天然酵母発酵の食パンも「湯だね」食パンも区別がつきません。
完全に冷めて切り分けます。この時程ドキドキすることはありません。 見事な気泡です。柔らかいのですが、ぐっと引くような柔らかさです。この写真の後、直にかぶりつきました。モッチリしています。焼き色がしっかり付いていますが、縁がこれまた美味しい。このまま食べてもトーストしてもおいしいパンに仕上がりました。私が焼いて来た食パンの中で一番の出来です。
今回普通の「カメリア粉」を使いました。次は「ゆめちから」で作ってみようと思います。国産の小麦粉と「湯だね」の相性はいいと思います。「湯だね」のパンは劣化が遅いそうです。今も焼かずに食べていますが昨日の食感と変わりありません。
私のパン作り、まだまだ続きます。