曇り、22度、96%
新芽の芽吹き始めるこの季節、その草いきれに食欲が目覚めます。ほろ苦い土筆であったり、蕗の薹のえぐみであったり、桜餅の爽やかな香り、土を感じるようなよもぎの香り。脂の乗った肉や魚よりも春の訪れには軽やかな草木の贈り物が、身体を調えてくれるように思います。
パグを飼ってる方が、加齢で抵抗力が弱くなった飼い犬のためによもぎを干してよもぎ風呂を使わせていると書いてらっしゃいます。よもぎには精神的にも身体的にも様々な医療的な作用があるようです。お灸のもぐさだってよもぎです。漢方にもよもぎが使われているというのに、この香港でよもぎにはなかなかお目にかかれません。私にとってのよもぎは、よもぎ餅のよもぎ、食べるためのよもぎです。
日本の青森の産と書かれた干したよもぎを使ってよもぎ餅を作りました。上新粉を蒸して、手を真っ赤にして熱いうちに捏ね上げます。それに粒あんを包んだ簡単なよもぎ餅です。クワイ型に作ってみました。蒸し上げた粉によもぎを混ぜるのですが、期待していたよもぎの香りの半分ほどしか香りません。熱いうちにパクリと包ばりましたが、口の中でも微かにヨモギが香る程度です。
息子が小さい頃は多摩川の土手でヨモギを摘みました。息子とテツという犬は土手で勝手に遊んでいます。一杯摘んだヨモギはその日のうちに湯がいて、冷凍庫に入れて保存します。あのよもぎ餅の香りが懐かしい。そして、私の爪先は緑どころか黒く染まっていました。いつかまた、あの香り豊かなよもぎ餅を作ります。