晴れ、23度、57%
香港の景色、あの有名な夜景も確かにきれいです。香港島の山から南シナ海を望むと、ここから何処にでも行けるような気持ちにさせてくれる景色に出会うこともあります。好きな景色のひとつが見出し写真です。この景色に会うと、胸のつっかえがすっと落ちて行く、不思議な景色です。この景色を写真に撮りたいとずっと思っていました。ところがこの風景、私が運転席にいる時にしか見れません。しかも、一方通行、一車線のオーバーフローを上り切ったその一瞬です。ちょっとでも止まれば、後続車がドンとぶっつかって来ます。要するに車の専用道路です。
皆さんもご存知のように、香港、普通選挙のあり方を巡って、学生たちが香港島のセントラルを中心に道路の占拠をしてすでに17日が経ちました。依然、解決の目処が見えません。道路の占拠と言っても何が起こっているか、実際に把握できないでしょうが、占拠されている道路周辺は、通行止めになっています。学生たちが作ったバリケードの加え、警察が一般の車を対象に設けた通行止めもあります。新聞に因れば、この通行止めで一番迷惑を被っているのは、ロビンソンロード、コンダットロードに住む人たちだそうです。つまり我家もその中に入ります。バスは、この17日間、一台も上がって来ません。セントラルまでおりて、地下鉄を使えば何処にでも行くことが出来ます。
昨日、晴れ上がった空を見ていて急に思いつきました。あの、好きな景色の見えるオーバーフローは、ちょうど占拠され、封鎖されているど真ん中です。そこで、カメラを持って出かけました。
いつもは車しか通らない道で、セントラルのオフィスの人たちは楽しそうにランチを食べています。学生たちも週初めの昼間ですから、まばらです。なんだかのんびりした光景です。好きな景色をカメラに収め、坂を下りました。 このバリケードがなければ、ここから坂を上って、いつもなら車で我家に帰る道です。ぐるっと回り、家に向かいました。すると、人集りと大声が聞こえます。
夕方のニュースで知ったことですが、私が通った前後に、小競り合いがあったそうです。占拠に反対の市民が徒党を組んで、バリケードの撤去を試みたにもかかわらず、人数、組織力で学生たちに敵わなかったそうです。 腰の後ろにヘルメットを付けた警官が集合し始めていました。一般市民もいる中ですから、大きなことにはなるまいと思いますが、家に向かって急ぎました。 セントラルの香港上海バンクの前です。トラムも一台も通っていません。心なしか、空気がきれいになったように感じました。
実際、私たちは迷惑しています。行き先の見えない事件です。政府や警察の能力も疑われます。気が重いなと感じていましたが、晴れ上がった空に映えるIFCのビルの景色を写真に撮ることが出来ました。この占拠がなければ、写真に収めることがなかったはずの景色です。