チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「着せ綿」 重陽節の和菓子

2014年10月03日 | 菓子

曇り、26度、86%

 昨日は、旧暦の9月9日、五節句のひとつ重陽節でした。ここ香港は、一日の国慶節と続いて2連休、学生たちの道路の占拠は続いています。

 重陽節は、昔は五節句の中でも一番重きが置かれた節句だったそうですが、今の日本ではほとんど行事が行われない節句です。この重陽節の行事のひとつが、「着せ綿」です。9月8日の夜に、菊の花に当時は高価だった綿を被せて、翌朝つまり9月9日の朝にその綿に残った菊の露で体を清めると、無病息災と言われていたそうです。この「着せ綿」のことを知ったのは、随分昔のことです。その時は。「被綿」と書いて「きせわた』と読ませていました。紫式部の和歌でした。「被綿」を「きせわた」と読めなかったので覚えています。今でも、この菊に綿を被せる行事は京都などでは続いているそうです。菊の香りと菊に溜まった露、この歳になって奥床しいことだと感心します。

 十月には何の和菓子を作ろうかと考えていると、「着せ綿」とい文字が目に飛び込んできました。ところが、「着せ綿』と昔和歌で習った「被綿」が同じ事だと気付くまでに、やや時間が要りました。「着せ綿」の横にある和菓子の写真を見てもピンと来ません。幾つかの店の、「着せ綿」を見るうちに京都の末富の「着せ綿』を見た途端、あっ、菊の上に綿が、と気付きました。

 練りきりで作った「着せ綿』、中は黄味あんにしました。末富の綿は、もっとたっぷりのっています。綿をたっぷりのせるには、かなりの技術が必要でした。そこで、私の「着せ綿」は、ほんのちょっぴり。この綿も練りきりです。練りきりとは、白あんと求肥を混ぜて、口当たりをよくした餅の皮と思ってください。色付けにも難儀しました。茶室は暗いので、しっかりと色を付けるのがお茶用の和菓子だそうですが、明るい陽のもとでは、時として嫌らしい色にみえます。菊の花びらを刻むのは、素人の私には超難関です。 左端の職人さんが使う道具も持っていますが、つい手に取ってしまうのが、幼稚園の子供たちが粘土細工で使う竹べらです。素人の私にはもってこいの道具です。折角持っている職人さんの道具、使わなければいつまで経っても使い熟せないと分かっているのですが。

 白あんや小豆のあんと違って、黄味あん(卵の黄身を白あんに混ぜます。)はふんわりやさしい甘さです。和菓子は、すんなりとお腹に納まります。

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