バラ色の・・・
いや違う、
肌色の人生が、私に心の余裕をもたらしているのか、
私は、何度でもやってやる!
そう思えた。
おはようございます。
木曜日の夜、机の上でスマホが呑気な音を奏でた。
けれど私は、その呑気な音にドキッとした。
夜10時、こんな時間に電話を掛けて来るのは、父さんくらいしかいない。
私は慌ててスマホを手にした。
「おい、おかっぱよ。おれは怒れて怒れて、どうしようもねぇ。」
酷く酔った父の声だ。
「母さんは無事なの?」
私はまず、それが知りたかった。
母は、つい一か月前に心筋梗塞で倒れている。
普通なら、まだ入院していたって可笑しくない状態なんだ。
「ババァか?今、ババにも話しとったんや。怒れちゃってよぉ。」
父は、とにかく怒っているらしく、
凄まじい勢いで日ごろの不満を話し続ける。
「これ、どう思う?おい、どういうことや?」
どう思う?と問いかける父に、相槌を打とうとしても、そうすると、
「うるせぇ。黙って聞け。」
と怒鳴る始末だ。
私は、スマホを耳に当てたまま、適当な衣服を着た。
パンイチ時間は強制終了だ。
それと同時に、電話も切って、家を飛び出した。
実家へは、のんびり歩いても1分でたどり着く。
けれど、この時ばかりは、実家への道がとてつもなく長く感じた。
夜空を見上げれば、三日月の明かりは優しい。
空気は生温かく、穏やかで静かだ。
最高に美しい夜だ。
そんな中、私の顔は、きっと最低に醜く歪んでいる。
「あぁぁ、腹立ってきた。」
外が酷い嵐だったら、こんなに腹が立たなかったはずだ。
美しい夜は、醜いものを際立たせてしまう。
そのおかげで、
実家の玄関ドアを開ける頃、私の怒りは完璧に仕上がっていた。
靴を雑に脱ぎいながら、叫んだ。
「なんだっていうの?
こんな時間に電話あったら、母さんがまた倒れたかと思うじゃないの。
何がなんだっていうの?」
叫び終えた頃、食卓に座る老夫婦が見えた。
まるで、場末の飲み屋みたいだ。
そこで最もタチの悪い酔っ払いが、怒鳴り返してきた。
「お前ごときが、俺に怒鳴るなぁ!」
「お前ごときだと?クソくだらねぇことで電話してくるようなヤツに
お前ごときと言われる筋合いはねーんだよぉ」
驚いた。
私は、自分に驚いた。
こんな罵り方、咄嗟に出るものなんだなぁと、驚いたのだ。
そこからは、もう止まらない。
互いの言葉など聞きもせず、勝手に主張し続ける。
なのに私は、父さんのある一言で、パタッと停止してしまった。
「オレを敬え!」
父は、停止した私にも気づかず、主張し続ける。
延々と我を忘れてしゃべり続ける内容は、
恐ろしく自分勝手で、背筋が凍るような、みっともない最低な内容だ。
「オレは会社を3度も作ったんだ。
全部、俺のおかげで俺の力だけでやったんだ。
それなのに、あいつら(親族)は俺の電話を着信拒否だ。
なあ、おい、どう思う?
どいつもこいつも、何様のつもりだ?」
だから、拒否されているんだよ。
私は、そう思った。
でも言わなかった。
黙って見ていると、
まるで、父が老いぼれた演歌界の大御所みたいに見えてきた。
かすれた声で、ろくに音程も保てていないのに、それさえ気づかず、
安っぽい張りぼての前で、
自信満々に歌っている大御所の、切ない歌謡ショーだ。
私は、自分の怒りが急激に収まり、その分恥ずかしくなった。
こんな哀れなショーのバックで、踊らさるバックダンサーの気分になった。
ここで私は、ようやく、母が気になった。
母と言えば、大御所だろうが関係なく、咬みつく狂犬だ。
この日は、やけに静かだったから、確認が遅れた。
「かずこさんも、ジジにつられて、酒いっぱい飲んじゃってるんでしょ?」
私は、場を切り替えるためにも、
幼子をからかうような口ぶりでそう言ってみたのだけれど、
母の握っていたグラスには、黒い液体が入っていた。
「わしは、コッヒ飲んどるんやぁ。」
総入れ歯の入っていないかずこさんは、笑顔で、そう言った。
そして私は、こんな最低な状況下でも、やっぱり、プフっと笑いが漏れてしまった。
私が記憶する限り、ここ10年で、もっとも笑えるのが、
総入れ歯の入っていないかずこさんだ。
満を持して放送されるお笑い特番より、
総入れ歯を入れていないかずこの方が断然面白いのだ。
しかも、怒り狂う老人の横で、
平和そうに、ちょこんと座って、コッヒなるものを飲んでいる、
総入れ歯を入れていないかずこさんは、
もはや狂犬どころか、座敷童か何某かの妖精の佇まいだ。
面白い・・・
そして、そこはかとなく愛らしい・・・
「お酒飲んでないのね。かずこさん、偉い、偉いわ~。」
そう言うと、母は不思議そうな顔で、
「ジジは、なんで、こんなに怒っとるんや?
誰かに、何か言われたんか?誰が悪いんや?」
と言うではないか。
今までも、ずっと同席していたのに、何も聞いていなかっただなんて、
完全に笑ってしまった。
「誰も悪く無いんだよ。みんな、懸命に生きているだもん。
だから、時に行き違ってしまうことが、あるのよ。」
そう伝えると、母は深く頷いた。
きっと、何にも分かってない。
分かってないくせに、そうやな~っという顔の
総入れ歯を入れていないかずこさんは、父をも笑かした。
それを見て、もう大丈夫そうな気がした。
「うっわ、もう12時過ぎてるじゃん?そろそろ帰るわ。
父さん、また、やろうな!」
私は、そう言って、高笑いしながら実家を後にした。
また、やってやろうと思った。
何度でも、この酷くバカバカしい歌謡ショーに参加してやる。
私は、どういう訳か、そう思えた。
この有限の時の中、
我を忘れて怒り狂える相手なんて、そうはいない。
そして、そんな時は、もう長くはないはずだ。
だって父さん、86歳だから、さすがに、そんなに長くないだろう?
どうなの?あの人たち、いつまであんなに、元気でいられるの?
そんなことを問いかけようと、月を探してみると、
三日月は相変わらず優しくて、空気は生温かく穏やかで静かだが、
私は、下手なステップを踏み鳴らし踊るように歩いていた。
さて、我が家にも、不穏なのに、面白い光景が見られる。
また、奪い合いしてるのか?!
あや「シャーーーーー」
この後、あやさんにぶっ飛ばされるかと思いきや・・・
共有に成功!
お互い、こんな険しい顔だけど、成功!
あや「これ以上動いたら、やってやるわ!」
石と化した、おたま。
君は、それでも幸せなのかい?
相変わらず文才ブイブイ言わせてらっしゃる~。
めっちゃ引き込まれたわ~。
特に靴を脱ぎながらセリフ吐くシーンが
あたいはお・気・に・入・り💖
お父様、会社を3度作ったのですね。
そら自負もありますよね。
ご自身の力で、相当頑張って来られた。
でも誰も認めてくれないと
寂しく、孤独に思ってらっしゃるのかな~。
褒めて欲しかったのねと、しみじみ。
なんかこう、お父様が
泣いてる子供に見えました。
お母様、コーヒー飲んでたの、エライ!
入れ歯ないの、オモロイよね~。
うちの母も若いころにちょっとしたコトで
部分入れ歯にしたのですが
その間、歯がないもんだから
皆が笑ってる時に母も一緒に笑ったら
笑いの第二波が起きちゃって、
その時期だけ、えらい明るい家庭でした(笑)。
あやさんとおたまちゃんが一緒に!
エライぞあやさん、器がさらに大きくなった!
そしておたまちゃん、男だね~🎵
頑張って自分の場所もぎ取ったね~🌸
(今のご時世はハラスメントになっちゃうかしら)
良い週末をお過ごしくださいね~。
たった今、床にある黒いブツを見て
Gと勘違いして悲鳴あげたsolo_pinより。
まるで今、目の前でおかっぱ家の痴話げんか?が
繰り広げられてるような錯覚を起こしたよ。
父さんもさ、お酒が入ってなきゃ
そこまでのこと言わないんだろうけど
お酒が言わせちゃったんだろうね~、昭和の父だもの。
あはは~、でも今回はおかっぱさんも
咄嗟に出たんだね、そういう言葉が。
でも「オレを敬え!」を聞いて
停止できたおかっぱさんは、やっぱり凄いっ!
「だから拒否されてるんだよ」って思ったのに
そうは言わなかったところも。
黙って父さんの言うことを聞きながら
そんな風に考えられたおかっぱさんは
思った通り「考えられる人」なんだよね。
カズコさんの一言がまた、可愛い(*^。^*)
総入れ歯の入ってないお年寄りは
みんな可愛いけども、それが狂犬カズコさんだから
余計に可愛いんだよな~(*^。^*)
あたしもね、かずえさんを可愛いと思うように
なってからなんだよね。
なんか、色んなこと許せるようになったのは。
悲しいけど、残り少ないだろう親との時間。
これまで以上に大切にせな、って思うのよ。
あやちゃんとおたまちゃん、絶妙~(*≧艸≦)
おたまちゃんはやっぱりおかっぱさん似なんだよ。
石と化すほどの状態でも、幸せ感じてる?
今のおかっぱさん、そのものやないかーい。爆
こういう思いって、きっと男性の方が
理解できるんだと思うんですよね。
娘の私では、なかなか理解してあげられなくって。
そこも、苛立ちなのかもしれないですね。
長々と書いちゃって、恐縮です。
お気に入り場面も教えて下さって、嬉しい!
ありがとうございます。
内輪のつまらん内容を読んでいただくなら、
少しでも、楽しく読んでもらいたいなって思ってるのに、
長々書いて、皆さんにお時間を割いてもらっちゃうという始末です(笑)。
父は、この性格が故、2度会社をぶっ潰してしまっている。
もちろん、家族も滅茶苦茶、振り回されました。
だから、どうしても嘘でも、
彼を褒めたたえることが出来ないんですよね。
家族では難しいことって、あるんですよね。
その代わりに、大ゲンカの相手くらい、
してやろうじゃねーかって思った次第です(笑)。
あやさんって、なんだかんだ、姉御肌なんです。
おとぼけ3兄弟を、それぞれ面倒見てたりして、お忙しそうです(笑笑)。
おたまも、そんなあやが大好きなんですよね。
でもほんと、ハラスメントが無数に増えて来てますよね~。
少なくとも、男女の間には性差は絶対あるもんね~。
一緒くたには、せんでほしいです!
そろそろ、黒い奴らの絶好調な季節だもの。
私も、そろそろ出会う時の心の準備を
しておきたいです!!
休日の朝に、こんな内容の記事でしょう?
もうほんっと、すみませんです(笑)。
せめて少しでも読みやすいようにと思って
マイルドになるよう心掛けで書くのですが、
内容なだけにマイルドにならんですね(笑笑)。
なんかね、ほんと、父が我を忘れてしゃべり続ける姿が
哀れに見えて来ちゃったんですよね。
そして、父が深い部分で満たされる日は来ないだろうとも思った。
だって、それは自分が気づいて、自分で行う作業だもんね。
だから、私は、せめて本気で怒鳴り合う相手に、
なってやろうって思ったの。
バカバカしいって吐き捨てたら、父さんが
もっと孤独感に苛まれる気がして。
せめて本気でぶつかり合う。
怒鳴って笑って仲直り、そんな時間もありかもって
思っております。
ままんも、やっぱりそうなんですね。
可愛いなって思えたら、もういいよな~って
思えちゃうんですよね。
今じゃ、かずこは私の癒しだな~って感じです(笑)。
おたまは、私に似てるって、ままんがよくおっしゃいますもんね。
そっか、だから私は、おたまが気に掛かるのに、
どこかしら距離を置いちゃうのかもしれんですね(笑)。
お父様もお母様も本当に幸せ! 夜中に娘が飛んできてくれる距離に居て、言いたい事を言いあえて 最後は笑って終わる! 素敵な関係(^ー^)
私は文章を読む時に、ゆっくり状況を思い浮かべながらなので時間がかかってしまうんです。人の名前や状況かこんがらがると、また戻って読み返えします。
おかっぱさんの文章は、そのこんがらがってきても気にならずに吸い込まれていってしまいます。
読み終わったら、凄く心に染みて色々と考えて…一日経ってしまう( *´艸`)
今日は おたまちゃん!だね!
この前は、頭の中では のんちゃん!って理解してるのに…書いたのは おたまちゃん!になってました←老化がつらい(*_*)
本当はね、両親にとって、
側にいて欲しいのは、私じゃないんです。
なんでもかんでも、求められるのは次女の私じゃない。
これはうんと昔からなんですが皮肉なことですよね(笑)。
こんがらがるの、私もー!
だから、ハリーポッターに至っては、
もう3巻で挫折しました。
なにがどれやら、分からなくなっちゃったです(笑)。
ありがとうございます。
こんな、どうしようもない内容なので、
なるべく読んで下さる皆さんにも、せめて楽しんでもらえるように、
そう思って、これからも書きます!!
多数の猫がいると、ほんと、あるあるなんです。
ぜーんぜん、お気になさらずに。
飼い主のわたしでさえ、たれ蔵を呼ぶ時、
だいたい、いつも、まず「おたま!」と呼んでしまいますから(笑)。