うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

戻ってこいと叫ぶ時

2022年02月27日 | 日記

我が家のおじさんが

今の勤務先になって以来、

おじさんの休みは、毎週土日になった・・・・

 

おはようございます。

私は、それがとっても・・・鬱陶しい!

 

今までは、適当にすれ違う生活だった。

おじさんは平日に休みが多かったから、私は土日一人で思う存分休めたのだ。

何ひとつ憚る事のない、自由な休日だ。

暖かな日は、朝から晩までパンツ一丁で過ごした。

食べたい時に食べたい物を食べた。

ちなみに、食べたい物が何であろうと、手掴みで食べていた。

起きたくなければ、ゴロゴロ転がりながらトイレへ移動して、

たどり着いたトイレのドアをわざわざ閉めるなどという

無駄な動きも取っ払い、開け放った状態で用を済ませたし、

ところかまわず鼻をほじりながら同時に屁をした。

 

私は文化的生活においての一切合切の面倒な作業を削ぎ落し、

原始的かつ合理的で、さらに最小限のエネルギーで生きる術を、

実現することに成功した。

傍から見れば、ある種のおぞましい地獄絵図だろうが、

私からすれば、輝かしいユートピア生活だった。

 

その理想郷は消えてしまった。

今日は日曜日だ。

けれど私は、ズボンを履いて、これを書いている。

パンツ一丁だったあの頃の私が、蜃気楼のように遠くに浮かぶ。

思わず、私は叫びたい衝動に駆られた。

 

カムバック、パンイチ!

アイウィルビーバック、パンイチ!

 

諦めきれぬ私の瞳が、いっぱいの涙で潤んだ、その時、

ハッと息を飲んだ。

「帰って・・・きたの?」

 

パンイチではなく、うめさんだー?!

いや、違うぞ。

瞼を擦って、もう一度しっかり見れば、

のん太か。

 

私は、のん太を見ていると、いつも故うめを思い出す。

のん太は、素振りがうめによく似ているが、

それだけでなく、猫達からの扱われ方も、なぜか故うめに似ている。

一目置かれるという点では、そっくりだ。

うめは皆の偉大なる母だったが、のん太は永遠のちびっ子チンピラだ。

なのに、どういう訳か、被るんだよね~。

 

偉そうなところが、実に似ている

のんちゃん?

 

のん太「なんなのら、かかぁ?」

いえ、別に用はないのよ。

 

のん太「・・・・」

あっ、顔戻した。

こういう、ん?ってとこが、うめに似てるんだよな~

 

のん太「用もないのに、のんをいたじゅらにみりゅな!」

こういう冷ややかな視線もぉ!


虹色の世界

2022年02月25日 | カズコさんの事

帰り道、

渋滞にはまり、溜息を付いた時、

夕日に照らされる虹色の輪を見つけた。

あぁぁ~、よく分からんですね。

肉眼では、しっかりと虹色が見えたんですがね。

溜息は、感嘆にすり替わった。

この世界は、見ようによって色が変わる。

 

毎朝作ってくれていた、母さんのサンドウィッチ。

具は決まって、玉子焼きとハムときゅうりだった。

けれど、ある日を境に、ハムを挟まなくなり、

次第に、きゅうりの存在も忘れた。

そして、パンにマヨネーズを塗ることも忘れてしまった。

 

母さんのサイドウィッチは、私にとってはカルテのようなものだ。

腹を満たすためでもないし、味にこだわる必要もない。

しかし、ここ数日は、

玉子焼きとイチゴジャムのサンドウィッチを作ってくれる。

これは、さすがに言うべきだろうと思った。

 

「母さん、玉子とジャムなんて、おかしいだろう?」

私が諭すように言うと、母さんは

「そうなんか?そうやろか?」

と、不思議そうな顔でしばらく考えている。

こんなことも理解できなくなっているのかと、

私は内心、愕然とした。

 

だけど・・・

実は、これが案外、おかしくないのだ。

食べてみると、案外、おかしくない。

ジャムを塗っている姿を見たから、「おかしいやんか」と思った訳だが、

そこを知らずに食べたら、おそらく私は気付かない。

ケチャップだと思って、普通に食べるだろう。

なんなら、

「あぁ、今日は完璧に作れてるやん、カズコさん」とか言ってるに違いない。

私の味音痴を差っ引いても、

それほど、おかしい味ではない。

 

認知症のおかげで、どんどん自由になっていく母さんの、

固定観念を越えた世界で創造されるサンドウィッチは、

これはこれで、アリなんだよな~っと気付くと、

母さんがどうして不思議そうに考え込んでいたのかが、ちょっと分かった気がした。

「かずこさん、やるじゃん?!」

 

さて、我が家のおたまとたれ蔵は、

仲がいいのか悪いのか、よう分らん。

穏やかに並んでいると安堵して、

 

たれ蔵を撫ぜていると

 

なぜだか、おたまがこんがらがり始めて

 

こんな顔で見てくるから

 

ごめんごめん、おたまも撫ぜ撫ぜしようね~っと気を遣う。

 

おたまは、たれ蔵にライバル心を燃やしているように見えるが

案外、いいコンビにも見えるんだよね~フフフフフ。


我らのシャドーボクシング

2022年02月23日 | 日記

猫の日、

この地方はめっぽう寒かった。

 

おはようございます。

雪もちらほら降る中、外で暮らす猫達にとっては、

耐え凌ぐ日だったろう。

 

私は月曜日からおじさんを丑三つ時に起こすという大役のせいで、

夢をよく見る。

しかも3夜続けて、同じシチュエーションの夢を見ていた。

 

「早く行かなくっちゃ、遅れてしまうわ。」

そう言って急ぐ私に、菅田将暉は頷いた。

「お化粧、まずお化粧をぉぉぉ」

急げば急ぐほど、手がおぼつかず、

ついにパウダーケースを落としてしまった。

絨毯にパウダーが散らばり、私はそのパウダーを掌に擦り付け、

パウダーまみれの掌で、顔を擦って化粧を施す。

「もう、これでいいよね?」

私がはにかみながら言うと、菅田将暉は頷いた。

「さぁ、行きましょう」

家を飛び出し、車へ乗り込むのではなく、

私達はエレベーターへ乗り込んだ。

「屋上よね?」

これで間に合うと安堵する私と、頷く菅田将暉。

私がエレベーターのボタンを押そうと手を伸ばすと、

地下2Fを押そうとする高橋一生に気付く。

私は、まずいと、また焦り始めた。

「でも、ちょっと待って。あたし、トイレ行きたい。」

もはや支離滅裂な私に、ついに菅田将暉は声を発した。

「早く行かなきゃ、遅刻しちゃうよぉ。

シャドーボクシング選手権に!」

 

そこで、私は思った。

シャドーボクシング選手権って、なんなのだ?!

 

こうして私は、「なんなのだ?なんなの?」とブツブツ言いながら

3夜連続して、丑三つ時に起きている。

ちなみに、月曜は菅田将暉だったが、

火曜日は、

あの地下へ行こうと阻む高橋一生と選手権を目指して

高速道路を走り、

今日は、独りでひたすら、シャドーボクシングに励んでいた。

ただ、シャドーボクシングをしていた。

あの夢は、

ついに選手権に出られたと、そういう事だったのだろうか?

 

さて、我が家の猫の日は、

普段通り、夜のシャドーからボクシングだ。

たれ蔵「ジャラシ、どこ?どこ?」

こっちこっち

 

たれ蔵「これだね、母ちゃん?」

あえて、影から捕らえる!

 

たれ蔵「ここ、だな。ここにあるんだな?」

確認してぇ

 

隠れたテイで、手探り!

 

のん太「ん~、これは3点加点らな」

そうなの?どういうことなの?


新たな日常

2022年02月21日 | 日記

今日から、

我が家の日常が変わる。

 

おはようございます。

おじさんが、転勤だ。

転勤先は、以前より遥かに近い。

もはや、ご近所と言っても過言ではない。

車で5分のところに、おじさんが新たに勤務する営業所がある。

それは、楽だ。

今までは電車で1時間かけて通勤していたからね。

そりゃ、楽だろう?

楽なのかしらん?

どうなの?

出勤時刻が、午前2時って、楽なのかしらん?

 

そんなわけで、

今日から、おじさんは丑三つ時に出勤を始めた。

丑三つ時からおやつの時間(午後3時頃)までの勤務時間となる。

そのため、

私も一旦、丑三つ時に起きる。

おじさんを起こすために、起きる。

そんじょそこらの目覚まし時計では

起きられない、おじさんのために起きて起こす。

 

そんな熟睡型のおじさんなのに、

私が離れた部屋から囁くように

「起きろ」

と言うだけで、飛び起きるのは、なぜだろう?

何を怖れているのだろう?うひひひひ

 

私信になるが、

そんなわけで、昨日は友人とのメールのやり取り中、

寝落ちしてしまった。

ごめんね~。ほんと、ありがとね。

お互い、無事に生き抜こうね!

 

そのせいではないだろうが、

最近、おたまも、今までとは違う日常を営んでいる。

私の定位置の横に、居場所を移したらしい。

静かな環境を好むくせに、なぜだろう?

 

ここは、我が家でもっとも騒がしい場所なのに・・・

あや「おばちゃん、アレやって~」

騒がしいのぉ

 

あや「おばおばおばちゃんってば~、アレやってよぉぉぉぉ」

でっかい声だのぉ

 

では、やってやろう。

『こちょこちょ遊び』

あや「いえーい、きゃ~!やっほーい、うおぉぉぉぉぉ」

おかっぱ「どっこいしょぉぉぉ、こーちょこちょこちょこだぞーい」

 

こんな騒がしい朝、

隣のおたまは、

こんな顔で、ぬるく見守る日常となった。


その手を撫ぜた日

2022年02月19日 | カズコさんの事

母さんが、

あのドロップみたいな指輪を外した。

 

おはようございます。

母さんは、昔から派手な女だった。

大胆な柄の洋服を着て、どんな時でもパンプスを履く。

運動靴なんてものは、決して履かない。

ばっちりフルメイクを施し、指に大きなダイヤモンドの指輪をはめる。

身支度は、入念だった。

 

で、どこへお出かけするかといえば、

パチンコ屋か飲み屋だ。

正確には、パチンコ玉を打ってから飲み屋へなだれ込む。

勝てば上機嫌で酒をあおり、負ければやけ酒だ。

いずれにしても、帰宅する頃には、泥酔状態で父さんに噛みついていた。

これが、毎日のように続く、当たり前の日常だった。

 

私が学校で、85点を取ったと自慢したって、

酔っぱらって帰ってきた母さんは聞いちゃくれない。

100点なら褒めてくれるのだろうか?

でもね、このテストは100点は無理なんだ。

すっごく意地の悪い問題が多かったんだ。

あの、藤原さんだって100点取れなかったくらい、

難しかったんだから。

だから、85点は上出来な方なんだ。

 

そんな言い訳は、いつも私の脳内の独り芝居に終わる。

心配しなくともいい。

母さんは、私の学校での成績など、気にもしないのだ。

0点を取ったって、報告する必要もない。

報告したって、叱られる心配もない。

母さんは、勉強しなさいだなんて、そんなありふれた叱り方はしない。

むしろ、うっかり母さんの前で勉強なんてしようものなら、

「おまえ、勉強しとる暇があるんやったら、家の掃除をせんかい!」

と、こっぴどく叱られてしまう。

家の手伝いは大げさに堂々と、勉強はこっそりとするものだ。

私は、隠し事が好きじゃないタチだから、勉強は断固として一切しなかったが、

その代わり、母さんの真ん前で大げさに掃除機を唸らせたかった。

でも、母さんはそんな時間には帰ってくれない。

夜遅くに酔っぱらって帰った母さんに、

「今日はね、家中、すっごく綺麗になってるでしょ?ねえ、見てよ。」

なんて、言う気にもなれなかった。

 

だから、私は、パチンコと酒を憎んだ。

そして、大きなドロップみたいな指輪を恨んだ。

酔っぱらって、父さんと喧嘩をしている声を聞きながら、

煎餅みたいなみすぼらしい布団にもぐって目を閉じると、

脳裏に浮かぶのは、あのドロップみたいな指輪をした、母さんの白い手だ。

触れた記憶のない手だ。

今すぐ起き上がり食卓へ行けば、あの手がある。

「母さん、あたしの頭を撫ぜてよ。」と言ってみようか。

いや、出来ない。

そんなこと、してくれやしない。

それに、どうせ、

あんなドロップみたいなごつい指輪のせいで、

撫ぜられたって、頭に当たって痛くなるじゃないか。

そんな妄想をしながら、眠りにつく。

これが、私の日常だった。

 

今は、さすがにパチンコ屋へも飲み屋へも行かなくなった。

その代わりに病院で血を取られた後、スーパーへなだれ込むわけだが

そんな時でも、ドロップみたいな指輪をはめて出掛けるのだ。

が、ある日、

母さんの指から指輪が消えた。

「母さん、指輪ははめんのか?」

そう問うと、母さんは指を擦りながら

「売ったんや。この前、家に来た人に、全部、売ったんや。」

と言った。

私は狼狽たまま、

「いくらで?」と聞いた。

「10個全部売ったら、13万円も貰えたんやで。」

安い、安すぎる。

金の相場で換算したって、安すぎる。

私は、咄嗟に、

「やられたー。」っと突っ伏した。

 

売った先は、訪問型の悪徳買い取り業者だろう。

今の母と話せば、誰だって認知症を疑うくらい、ボケている。

そんな老人の貴金属を買い取りに来るなんて、

悪徳と付けていい類の買い取り業者だ。

しかし、家中を探しても、明細も何もない。

業者の会社名も分からないんじゃ、どうにもならない。

まったくもって、してやられた訳だ。

当の母さんは、

「もう要らんから売ったんや。」

と、ケロッと言う。

それならいい。

損して得取れだ。

どんな得かは知らないが、母さんがいいなら、それでいい。

 

改めて、見てみれば、

指輪を外した母さんの手は、昔みたいに白くなかった。

シミだらけで酷く乾燥している。

私は、今更、こんなしわくちゃな手で撫ぜてもらおうと思わない。

家の掃除は、子供の頃と何ら変わらず、

四角い部屋を丸く掃除する訳だから、褒めらたもんじゃない。

だから私は、その代わりに、シワシワの手にハンドクリームを塗ってやった。

触れたくて、触れられたくて、恋焦がれた母さんの手。

手を伸ばせば触れるはずが、一番遠くに感じた手だ。

それなのに、

指輪を外した母さんの手は、今、いつだって触れられる。

なんと、不思議なものだろう。

 

こっちも恋焦がれ中なのだけれどね

のんちゃん、かかぁは今、お洗濯物を畳んでいるんだよ。

 

のん太「かかぁ、かかぁ、のんを撫ぜろ」

うん、撫ぜるけど撫ぜるけども

 

のん太「かかぁ、かかぁ、かかぁったら~」

うん、撫ぜるけどもが、畳みたいのだよ

 

さて、そろそろ降りようか?

畳みたいから

 

のん太「いやら!のんは絶対、撫ぜられるのら!」

しがみ付いている

 

のん太「のんを撫ぜろ、かかぁ、かかぁ」

もはや、この恰好では撫ぜられんぞ