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うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

問題は、間違いにある?!

2025年06月17日 | カズコさんの事
わが町は、
 
今、凄まじい暑さに見舞われている。
 
 
 
こんにちは。
 
37度を超えたでし。
 
前回記事のタイトルが、
 
『アワアワ忙しいでしが元気です』と打ち間違えていて驚くが、
 
元気であることは正しいです。
 
 
 
父が入院して以来、
 
かずこさんは、そのことは理解していないが、思いのほか落ち着いている。
 
もはや、生活のスキルが改善していて驚く。
 
もう出来なくなっていたことが、出来る!
 
テレビのリモコンを着けることも消すこともできるし、
 
鼻水が出たら、なんと!ティッシュで拭けるのだ!!
 
以前のかずこなら、間違いなくサランラップで拭こうとする、
 
といった間違いをしてしまう。
 
頑なに嫌がっていた風呂も、素直に入り、気持ち良さそうに出てくる。
 
おかげで、日曜日は髪を洗ってやれた。
 
とはいえ、そこは認知症。
 
「あれ?ジジィどこ行った?」
 
という質問は、1日通算100回くらいあり、
 
私も通算100回くらい、
 
「背骨の骨を折って、入院しとる」
 
と答えている。
 
有り難いことに、それでかずこが不安がる様子はない。
 
むしろ、答え過ぎているせいで、私が、
 
「ジジィは背骨の入院で、骨を折って骨折しとる」
 
と言い間違える癖がついてしまって不安だ。
 
 
 
秘密のひーちゃんは、元気に育っている。
 
ただ、虫が嫌いらしい。
 
ウネウネ動くイモムシに対して、
 
「キャッ」と言ってめちゃくちゃ逃げようとする。
 
何か、とても大きく、育て方を間違えてしまっている気がするが、
 
根気良くやっていくしかないのだ、ひーちゃん!
 
と言う私の肩には、大体ウンコが付いている。
 
今もウンコ付けて、これを書いているが、
 
別に疲れ果てて取る気にならない訳ではなく、
 
慣れて、どうってことなくなったから放っているだけで、何の問題もない。
 
 
そんな訳で実家は、かずこ一人暮らしの味方を入手した。
 


見守りカメラだ。
 
声がけも出来るタイプであり、これが2台セットで7,500円だ。
 
おしゃべりは衛生中継みたいな時間差はあるが、ちゃんと伝わる。
 
最初のうちは、
 
「かずこさ〜ん」
 
と声がけすると、電話の受話器を持っていたかずこだが、
 
最近では、ちゃんとカメラの前で会話してくれる。
 
私は、最近のかずこに感動を覚える事が増えた。
 
人間の持つ力は、凄い。
 
 
で、パワフルあやさんは、どした?
 
そんな険しい顔して、どした?




あや「爪、ひっかかったの知ってるくせに!」
 
いいじゃん、も少し側にいてよ。

後悔の連休

2025年05月08日 | カズコさんの事

後悔だらけの連休なのです。

 

おはようございます。

これまでの連休の後悔と言えば、

あれをしようこれをしようと、ワクワクしながら、

延々ゴロゴロして、なにもせず、なにも成さず終わるという後悔だった。

しかし、最近の大型連休は、

皮肉にも、連休を迎える前から手帳に文字が埋まって行く。

私はカレンダーも捲らず、ひたすら手帳を睨んでいた。

「今日は、かずこの通院か」

「えっと、父さんを床屋へ行かせてから、かずこさんを・・・

その前に、朝ご飯は食べさせんと。」

「今日の予定は・・・ああでも、どっかで実家の買い出しは行かねば・・・」

こんな感じだった。

 

考えてみれば、平日より遥かに余裕がある。

走っていたところを、歩いていられるわけだ。

そのはずが、平日より忙しいと感じていた。

「お休みなのにぃ」という思いが、私を焦らせイライラさせたからだろう。

かずこを無理やり歩かせながら、

何を焦る事がある?

仕事ある訳じゃないんだから、ゆっくり行けばいい。

そう自問自答しながら、

連休中の数回あった、せっかくのお出かけを台無しにしていた。

かずこさんにとって、

目的地が病院だろうが、なんだろうが、楽しいお出かけなはずが、

しょんぼりした顔をさせてしまった。

 

最近のかずこは、私に強い口調で逆らうことをしなくなった。

それは、まるで幼子のような素直さだ。

肺のCT検査が必要となり、大きな病院へ行くとなっても、

かずこさんは、まるで遊園地に行く気分だ。

お洒落して、ウィッグもしっかり被って待っていた。

「今日は金属は身に付けないで行くよ。ネックレスも、カツラも取って!」

検査服に着替えさせるにも、介助が必要なかずこさんは、

検査前も時間が掛かるから、なるべく時短をしておきたい。

しかし、かずこは、

「そんなんなら、行きたない。」

と、ごねた。

検査の予約時間は迫って来る。

私は、その発言を無視して、カツラを掴んで勢いよく剥がした。

しっかりピンで留めていたせいで、かずこの髪が引っ張られる。

「いたっ」

と小さく嘆いたかずこは、乱れたまとめ髪のまま、俯いて座っているだけだ。

私はそれも無視して、靴下を履かせようとしていると、

かずこは、煙草を1本左手に持ち、右手に体温計を持って、

体温計で煙草に火を付けようと試行錯誤していた。

「かずこさん、それじゃ火は付かんなぁ。」

そう言って、ライターの火を見せてみると、かずこは、

「そうやそうや、これや」

と言って、乱れた髪のまま、嬉しそうに微笑んだ。

その様が、実に哀れで、切なくも愛らしく、

その時、私は、これまでの私の全てを憎々しく思えた。

ああ、ごめんね。

 

結局、私は捨て置いたカツラを、再びかずこの小さな頭に乗せ、

向きを整え、

「ピンは留めないで、乗せて行こうな」

と言った。

その後、ビュービュー風が吹く中、

かずこの頭をひたすら抑えながら、病院へ向かった。

かずこも私も、キャッキャ言いながら、楽しかった。

カツラが飛んだら飛んだで、それもきっと、楽しかったろうな。

 

そんな訳で、通常に戻り、やっとカレンダーも捲った。

元気のいいあやだ。

うふふふ。

そんな、あやさん、連休中に、初めてを経験していた。

なんと、おじさんの膝に乗ってる?!

 

あや「おじさんの上じゃないし。こたつ布団の上だし。」

 

あや「寒いだけだし!」

GWに炬燵をしまわないと決断したのは、寒かったから!

面倒くさいなどという理由は、4割だったし!!


気付く、猫と老女

2025年01月31日 | カズコさんの事

猫とかずこは、

気付いている・・・。

 

おはようございます。

とっくに、春の兆しに気付いているのだ。

我が家の猫ら、特にオスはいつもよりソワソワしているし、

野良猫どもは、勤め先のトラックのタイヤにマーキングをし始めた。

そして、かずこは春の乱が始まった。

木の芽時、かずこでなくとも自律神経が乱れやすいが、

認知症のかずこは、ダイレクトに受けてしまうようだ。

いくらなんでも、早くない?と思うが、

弊社の蘭さんも、新たな葉がチロっと出てきている。

 

「かずこさん、おはようさん。」

実家へ行くなり、ベッドに横たわるかずこに声を掛けると、思わしくない顔をしている。

ああ、起き抜け不機嫌か・・・。

この時期は、起こした瞬間、

「ぶち殺したらぁ~」と言いながら起き上がることも珍しくないが、

この日のかずこは、

「体中が痛くて痒いんやぁ。」

と弱々しい。

ああ、このパターンか・・・。

弱々しく嘆くというのも、この時期には多い。

「ほんなら、いっぺん起きてお茶飲みゃー。」

私は、この会話を文字にしてみて、気付いた。

「名古屋弁は、みゃーみゃー言うように思われるけど、

あたしら、そんなにみゃーみゃー言わんよねぇ。」

と、言ってた割には、みゃーみゃー言っとるやんけ!と気付いた次第だが、

かずこは素直に起き上がり、

「ほれ、見てみぃ。この手すごいやろ?」

と、両手を私に見せる。

「こんなになっとる。ほれ、酷い色やろ?」

かずこは、皺くちゃでシミだらけのくすんだ色の自分の手を見て、

何かの病気ではないかと思ってしまう。

かずこの脳裏には、若い頃の真っ白な美しい手の記憶しか残っていないのだ。

「ほれ、こんなのおかしいやろ?病院行かな、びょっ」

かずこが、もう一度、病院へと言おうとして私を見た瞬間、言葉を飲んだ。

ん?

どした?

「おおおおっおまっ、どうしたんや、その顔?」

なにが?

「なんや、酷い顔しとる!どうしたんや?おまっ病気やないか?」

かずこは優しい。

年末、体調がよくなかった時も、かずこはいち早く気が付いてくれた。

しかしこの日、私は絶好調だ。

「なにが?私、そんな酷い顔しとる?全然元気だけど。」

私はそう言って、ベッドの横にある鏡台の鏡に自分を映した。

「うん。別に全然、酷くないよ。うん、ほら・・・あっ!!」

ここで気が付いた。

「化粧するの忘れたー!」

私は反射的に実家を飛び出し、家に戻って化粧を施した。

施しながら、己を慰めた。

「かずこさんは、人より敏感なだけ!かずこさんは、人より勘が良いだけ!」

 

さて、こっちは何をしているのだ?

おたま「床が温かいだ」

うん、ホットカーペットだからね。

やっと気が付いたのか?

去年からずっと、ホットカーペットだぞ。

 

おたま「なぜか、おら、うねうねしてしまうだ」

温かいと、そうなっちゃうおたまに気付いた、のん太。

 

のん太「あれ、なにちてるんらろ?」

 

のん太「なんら?なんなのら?」

 

のん太「酷い顔してるら。かかぁみたいら。」

あのね、のんちゃん?

おたまは表情が酷いけど、かかぁは顔の色が酷いの。

そういう違い、ちゃんと気付ける男になれ!


本気の言葉

2024年10月07日 | カズコさんの事

この土日は、

なかなか忙しかった。

 

おはようございます。

そして、暑かった。

こんなに暑い10月は、あっただろうか。

ああ、うんこが逝った年の10月も暑かったなぁ。

動かなくなったうんこと、

季節外れの入道雲を目指して最後のドライブをしたのだった。

あの時、私はあのまま、霊園へ行かずに、ドライブを続けたくなった。

その時、思い止まらせたのが、かずこの存在だったはずが、

今では、天気の良い日曜に限って、

かずこを車に乗せていると、あの雲を目指した時の気分が蘇る。

 

「どっか、遠くへ行っちゃおうか?」

そう言うと、かずこは

「おぉ、ええなぁ。あははは。」

と無邪気に笑うものから、私は思いとどまる。

かずこが笑って生きているのなら、何の問題もないのだ。

 

私は最近、父との関係に悩んでいた。

かずこではなく、父だ。

かずこの認知症が進行していくにつれ、父さんの性格がひん曲がって行く。

酷くひがみっぽくなり、

そのくせ、昔のことを引っ張り出しては、自画自賛して、

周囲の人間の悪口を並べて怒り、嘆いて、またひがんで、

結局、かずこがボケたことがすべて悪いかのように責める。

最低だ。

ほんと、最低。

だから私は、かずこを引き取って引っ越そうかと考え始めた。

父を捨ててやろうと思っていたのだ。

もう限界だと思った。

本気でそう考えたから、本気で宝くじを買った。

下らん。

ほんと、下らん。

 

私は金も勇気もないくせに、

まるで、宝くじが当たる夢物語を妄想しているだけの人間だ。

マアコのことだって、内心、

押し付けられたような気がしている。

そもそもボランティアさんに情報だけ求められていたはずが、

「ちょっとご飯あげてみてもらえませんか」とか

「ちょっと馴らしてみてもらえませんか」と言われ、

今じゃ、マアコやマアコのまだ見ぬ子猫らのことを

どう責任もって向き合ってやるべきか、思い悩んでいる。

マンションの自治会の運営も、実際動くのは何でもかんでも我が家だ。

そもそも、私は今季は役員でもないのに、押し付けられている。

 

目の前の現象は、全て自分のことだ。

押し付けられたと思うのは違う。

押し付けられようが、やると選択したのは自分なのだ。

 

そんな言葉を無理やり自分に張り付けていた。

そう言いながら、心の中は文句とひがみと嘆きで一杯になる。

それは、まるで今の父さんと同じだった。

実は、今の父と私は、鏡なのだと気付いた時、

私はようやく、父の苦悩が、我がことのように押し寄せてきた。

 

すると、私はハッとした。

まず、ありがとうと言おう。

言わなきゃダメだ。

なぜか、そう思えた。

謝罪でも説得でもない。ありがとうだ。

その日の夜も悪酔いしてひがんでいる父に、意を決して伝えた。

 

「今まで、頑張って生きてくれて、ありがとうございます。

辛くても生きてくれて、ありがとうございます。」

そう言うと、気丈な父が下を向いて涙を流した。

私は、逆に天井を見上げて笑顔になった。

「かずこさんも、ありがとうね。ありがとうだよ。」

こんなに、気持ちの良い思いは、久しぶりだった。

 

次の日は、また父とかずこは喧嘩をしている。

「乾いた物に湿った物を入れるなって言っただけで怒っちまう!」

「もうええ。わしは在所に帰らせてもらうで!」

豆菓子の中に、団子を混ぜて喧嘩だ。

下らん過ぎる。

ありがとうと伝えただけで、劇的に変わる訳など無い。

かずこのボケが治るはずが無いし、

父さんのヘソが今更真っすぐになったら、ノーベル賞もんだ。

ただ私が見る世界は、密かに劇的に変わった。

 

そんな我が家の光景は、まるで夏。

暑いだよね。

 

ほんと、暑いもんね。

 

で、のんちゃんは大丈夫かい?

漫画みたいな顔して寝てるけどぉ。


ねこばばぁ~計画?!

2024年09月30日 | カズコさんの事

金を手にすれば、

人の心など容易く変わってしまうものなのです。


おはようございます。

杜撰な契約書と19,000円の代わりに、かずこのネックレスは消えた。

私は、その契約書と19,000円を封筒に入れ、急いで買い取り業者へ電話をした。

「クーリングオフします。」

そう告げると、誠実そうな話し方をする男が、

「それがですね、もう大阪の本社に送っている状態のようで、

お返しするとしても、来週か、再来週になってしまう可能性があるんですが。」

と言って来た。

「あの、お金とかどうでもいいんです。

母は認知症で、売ったことも覚えていないし、今でもネックレスを探しています。

そうなると、延々探し続ける始末で、挙句にはパニックになって、

盗まれたと暴れ出してしまう。認知症ってそういう症状が出るんです。

だから、どうしても返して欲しいんです。」

そう縋ると、男は

「はぁ、そうですか。少しお待ちください。

折り返し、お電話いたしますね。」

そう言って、電話を切った。

その後、男は本当に折り返し電話を寄こして来た。

「まだ、こちら(大阪)には送っていないようなので、

明日にでもお伺いできます。」

ということとなった。

こんなの茶番だ。そう思いつつ、私は

「あぁぁ、良かったです。では、明後日にお願いします。」

と丁重に伝えた。

この時、私は、ふと『あること』を思い立ってしまったのだ。


当日、担当者〇井がやって来た。

見れば、若すぎると思えるほどの、度が過ぎる男前だった。

「さっそくですが、こちらのネックレスでお間違いないでしょうか?

契約書に訂正印が必要なので、印鑑をお願いします。」

〇井は、爽やかな笑顔で、まっすぐ私を見て、そう言った。

この男に、後ろめたさは無いのだろうか?

いや、あるからこそ、まっすぐ見ているんだ。

母が書いた契約書は、住所も名前さえも間違えている。

しかし、〇井はそこに訂正印を押すのではなく、

買い取り物品に斜線を引いて、

「斜線の上に印鑑を押してください。」

と言うではないか。

私は、思わずツッコんでしまった。

「いや、まずそこぉ~?」

「ん?何がですか?」

〇井は、驚いて見せる。

「だって、住所も名前を間違っているのに、

そこは訂正しないんだなぁっと思っちゃって。」

すると、〇井は、

「えっ?あっ!!本当ですね。これは本当に気が付きませんでした。」

と、本気で驚いているように見えた。

ああ、この男は、若いくせに慣れているのだと、思えた。

「あとね、不実告知でもあると思うんですよ。

このネックレスは18金と、契約書に明記していながら19,000円は

有り得ないでしょ?」

そう言うと、

「お客様の仰っているのは、インゴットの場合ですよ。

加工した装飾品は、金相場でやり取りしないんですよ!」

〇井は、きっぱりとデタラメを言ってのけた。

もちろん、そんな訳はない。


※加工品の場合、購入した価格は、金に加工賃とデザイン料が上乗せされている。

買い取りの場合、その加工賃とデザイン料は引かれ、

金相場のグラム換算でのみ計算され、

そこから手数料(数千円)が引かれた金額で、売買する。


今回のかずこのネックレスの場合、現状の試算だと15万円弱だが、

「ああ、そうなんですか。知りませんでした。勉強になります。」

私は、そう言って引き下がった。

「いえいえ、普通そう思っちゃいますもんね。

だから、僕らがちゃんと、ご説明させて頂いているんですよ。」

〇井は、笑顔に戻り

「あっ、そうだ。お金をお願いします。」

と言った。


来た!

『あること』とはこのことだ。

お金とは、母に支払った、19,000円のことだ。

私は、満を持して

「ん?なにがですか?」

と言ってみた。

言ってみたら、さっき〇井が発した「ん?何がですか?」と似ていて

我ながら驚いた。

「19,000円です。あの、お母様にお渡ししたお金ですよ。」

諭すように話す〇井の眼を、

私は、あえて、しっかり見る意識に囚われた。

目の前の男のように、

やっぱり人は、後ろめいた時は、あえてまっすぐ見ようとする。

そして、困ったような顔で、

「それがね、無いんですよ。

母は認知症なので聞いても覚えていないんです。

本当に支払いましたか?」

私は、まるで幼子が始めて見た物を「母さん、これなに?」と言う時のように首を傾げた。

すると〇井は、

「いやいや、ここに書いてあるでしょ?

もちろん、支払いましたよ。書いてあるでしょ?」

と契約書を掲げる。

「でも、この凡ミスを見落としたんでしょう、貴方?

支払ったつもりで、そこも支払い忘れた可能性はないのでしょうか?」

「あるわけ、ないやん?!」

この時、〇井がなぜか関西弁になった。

「そうですよね。じゃあ、私が立て替えます。はい、これ。」

私は、そう言って封筒から金を出した。

「あぁぁ、びっくりしたぁ。」

その後、〇井は安堵したせいか、

「こういう類の業者は、まだまだ来ますよ。

僕ら、こういうのを使って高齢者を探せちゃうんです。」

と言って、何かのサイトを見せたり、

「電話は留守電にするとかせな、あかんと思いますよ。」

など、アドバイスまでして帰って行った。


無事、ネックレスは取り返せた。

けれど、『あること』は失敗したのだ。

『あること』とは、19,000円を猫糞出来ないかという企みだった。

どうあっても、しらばっくれれば、

それこそ、出るとこ出てもらっても、こっちが勝つ。

訴訟を起こされたとしても、訴えられるのは私ではなく、

認知症のかずこなのだ。

運の良い事に、契約書には「立ち合い者なし」にチェックされている。

要は、その時、在宅していた父の立ち合いも無かったことを証明している訳だ。

ちなみに、父は昼寝していたらしい。

だったら、私は〇井にこう言ってやればいい。

「訴えてもらっていいですよ。ハッキリさせましょうよ。」

そう、訴えるのは業者であり、訴えられるのは認知症の後期高齢者だ。

こんな訴訟は、成立しない。

「やってもらうしかないです。私は現場にいなかったので、何も分かりませんから。」

だって、本当に無いのだ。

19,000円は、実家のどこを探したって無い。

私が隠し持っているからだ。

ああ、イケる!

これ、イケる!!

2日間、ほとんど眠らず、調べに調べた結果だ。

イケる!!!


しかし、私は途中で止めた。

「当たり前だろうが、おかっぱめー!」っと思われるだろうが、

私は、あのペテン師と対峙して、ようやく下らないなっと気付いた。

金額の問題ではなく、腹いせのためにとか懲らしめるためとか、

イケメンの苦悩する顔をみてみたいとか、

そんなことを、こんな人間を相手に企てることが下らないのだと。

これじゃ、同じ穴の狢だ。

でも、19,000円は、欲しかったです!


皆様も万が一、同じような被害に遭われた時は、

『188』消費生活ホットラインへ電話してみてください。

とても、親身になって相談に乗ってくださいます。

私が、

「19,000円、猫糞しちゃおうかしらんと思つちゃうんです。」

と計画を告白した時も、

「おかっぱさん、それはまずいです。

それやっちゃうと、なんというか・・・えっと。

あっ、でもそのガッツがあれば、猫糞するのではなく、

お金を返す時に、二度と来ないでっと強く伝えましょう!」

と道を正してくれましたから。


さぁ、のんちゃんや?

のんちゃん、かかぁ、怖かった~。

悪徳業者と会うの、怖かった~。


のん太「のんは、ねこばばぁのかかぁが怖いら」