北嶋誠のブログ

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障害者権利条約締結~発効へ(第一条~第十九条)

2014年02月06日 17時36分12秒 | 

 1月20日に、日本が障害者権利条約の140番目の締結国となった。2月19日に
発効する。
 国連での条約採択から五年目になるが、ともあれ障害者の権利向上の第一歩である。
 まずは長文ですが、条約の全文をお知らせする。


    障害者の権利に関する条約
> (2013年10月15日 閣議決定仮訳)
>
> 前文
>
> 第一条 目的
>
> 第二条 定義
>
> 第三条 一般原則
>
> 第四条 一般的義務
>
> 第五条 平等及び無差別
>
> 第六条 障害のある女子
>
> 第七条 障害のある児童
>
> 第八条 意識の向上
>
> 第九条 施設及びサービス等の利用の容易さ
>
> 第十条 生命に対する権利
>
> 第十一条 危険な状況及び人道上の緊急事態
>
> 第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
>
> 第十三条 司法手続の利用の機会
>
> 第十四条 身体の自由及び安全
>
> 第十五条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰
> からの自由
>
> 第十六条 搾取、暴力及び虐待からの自由
>
> 第十七条 個人をそのままの状態で保護すること
>
> 第十八条 移動の自由及び国籍についての権利
>
> 第十九条 自立した生活及び地域社会への包容
>
> 第二十条 個人の移動を容易にすること
>
> 第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会
>
> 第二十二条 プライバシーの尊重
>
> 第二十三条 家庭及び家族の尊重
>
> 第二十四条 教育
>
> 第二十五条 健康
>
> 第二十六条 ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション
>
> 第二十七条 労働及び雇用
>
> 第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障
>
> 第二十九条 政治的及び公的活動への参加
>
> 第三十条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
>
> 第三十一条 統計及び資料の収集
>
> 第三十二条 国際協力
>
> 第三十三条 国内における実施及び監視
>
> 第三十四条 障害者の権利に関する委員会
>
> 第三十五条 締約国による報告
>
> 第三十六条 報告の検討
>
> 第三十七条 締約国と委員会との間の協力
>
> 第三十八条 委員会と他の機関との関係
>
> 第三十九条 委員会の報告
>
> 第四十条 締約国会議
>
> 第四十一条 寄託者
>
> 第四十二条 署名
>
> 第四十三条 拘束されることについての同意
>
> 第四十四条 地域的な統合のための機関
>
> 第四十五条 効力発生
>
> 第四十六条 留保
>
> 第四十七条 改正
>
> 第四十八条 廃棄
>
> 第四十九条 利用しやすい様式
>
> 第五十条 正文
>
> 前文
> この条約の締約国は、
>
> (a) 国際連合憲章において宣明された原則が、人類社会の全ての構成員の固有の尊
> 厳及び価値並びに平等のかつ奪い得ない権利が世界における自由、正義及び平和の基
> 礎を成すものであると認めていることを想起し、
>
> (b) 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、全ての人はい
> かなる差別もなしに同宣言及びこれらの規約に掲げる全ての権利及び自由を享有する
> ことができることを宣明し、及び合意したことを認め、
>
> (c) 全ての人権及び基本的自由が普遍的であり、不可分のものであり、相互に依存
> し、かつ、相互に関連を有すること並びに障害者が全ての人権及び基本的自由を差別
> なしに完全に享有することを保障することが必要であることを再確認し、
>
> (d) 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関
> する国際規約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、女子に対するあら
> ゆる形態の差別の撤廃に関する条約、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷
> つける取扱い又は刑罰に関する条約、児童の権利に関する条約及び全ての移住労働者
> 及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約を想起し、
>
> (e) 障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者と
> これらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者
> が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものに
> よって生ずることを認め、
>
> (f) 障害者に関する世界行動計画及び障害者の機会均等化に関する標準規則に定め
> る原則及び政策上の指針が、障害者の機会均等を更に促進するための国内的、地域的
> 及び国際的な政策、計画及び行動の促進、作成及び評価に影響を及ぼす上で重要であ
> ることを認め、
>
> (g) 持続可能な開発に関連する戦略の不可分の一部として障害に関する問題を主流
> に組み入れることが重要であることを強調し、
>
> (h) また、いかなる者に対する障害に基づく差別も、人間の固有の尊厳及び価値を
> 侵害するものであることを認め、
>
> (i) さらに、障害者の多様性を認め、
>
> (j) 全ての障害者(より多くの支援を必要とする障害者を含む。)の人権を促進し
> 、及び保護することが必要であることを認め、
>
> (k) これらの種々の文書及び約束にもかかわらず、障害者が、世界の全ての地域に
> おいて、社会の平等な構成員としての参加を妨げる障壁及び人権侵害に依然として直
> 面していることを憂慮し、
>
> (l) あらゆる国(特に開発途上国)における障害者の生活条件を改善するための国
> 際協力が重要であることを認め、
>
> (m) 障害者が地域社会における全般的な福祉及び多様性に対して既に貴重な貢献を
> しており、又は貴重な貢献をし得ることを認め、また、障害者による人権及び基本的
> 自由の完全な享有並びに完全な参加を促進することにより、その帰属意識が高められ
> ること並びに社会の人的、社会的及び経済的開発並びに貧困の撲滅に大きな前進がも
> たらされることを認め、
>
> (n) 障害者にとって、個人の自律及び自立(自ら選択する自由を含む。)が重要であ
> ることを認め、
>
> (o) 障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係
> る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮し、
>
> (p) 人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的な、種族
> 的な、先住民族としての若しくは社会的な出身、財産、出生、年齢又は他の地位に基
> づく複合的又は加重的な形態の差別を受けている障害者が直面する困難な状況を憂慮
> し、
>
> (q) 障害のある女子が、家庭の内外で暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢
> な取扱い、不当な取扱い又は搾取を受ける一層大きな危険にしばしばさらされている
> ことを認め、
>
> (r) 障害のある児童が、他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由
> を完全に享有すべきであることを認め、また、このため、児童の権利に関する条約の
> 締約国が負う義務を想起し、
>
> (s) 障害者による人権及び基本的自由の完全な享有を促進するためのあらゆる努力
> に性別の視点を組み込む必要があることを強調し、
>
> (t) 障害者の大多数が貧困の状況下で生活している事実を強調し、また、この点に
> 関し、貧困が障害者に及ぼす悪影響に対処することが真に必要であることを認め、
>
> (u) 国際連合憲章に定める目的及び原則の十分な尊重並びに人権に関する適用可能
> な文書の遵守に基づく平和で安全な状況が、特に武力紛争及び外国による占領の期間
> 中における障害者の十分な保護に不可欠であることに留意し、
>
> (v) 障害者が全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするに当た
> っては、物理的、社会的、経済的及び文化的な環境並びに健康及び教育を享受しやす
> いようにし、並びに情報及び通信を利用しやすいようにすることが重要であることを
> 認め、
>
> (w) 個人が、他人に対し及びその属する地域社会に対して義務を負うこと並びに国
> 際人権章典において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有するこ
> とを認識し、
>
> (x) 家族が、社会の自然かつ基礎的な単位であること並びに社会及び国家による保
> 護を受ける権利を有することを確信し、また、障害者及びその家族の構成員が、障害
> 者の権利の完全かつ平等な享有に向けて家族が貢献することを可能とするために必要
> な保護及び支援を受けるべきであることを確信し、
>
> (y) 障害者の権利及び尊厳を促進し、及び保護するための包括的かつ総合的な国際
> 条約が、開発途上国及び先進国において、障害者の社会的に著しく不利な立場を是正
> することに重要な貢献を行うこと並びに障害者が市民的、政治的、経済的、社会的及
> び文化的分野に均等な機会により参加することを促進することを確信して、
>
> 次のとおり協定した。
>
> 第一条 目的
>  この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享
> 有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進する
> ことを目的とする。
>  障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々
> な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加
> することを妨げ得るものを有する者を含む。
>
> 第二条 定義
>  この条約の適用上、
>  「意思疎通」とは、言語、文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、
> 利用しやすいマルチメディア並びに筆記、音声、平易な言葉、朗読その他の補助的及
> び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用しやすい情報通信機器を含む。)を
> いう。
>  「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。
>  「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、
> 政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者と
> の平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使すること
> を害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あら
> ゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。
>  「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的
> 自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であ
> って、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の
> 負担を課さないものをいう。
>  「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大
> 限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設
> 計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための補装具が必要な場
> 合には、これを排除するものではない。
>
> 第三条 一般原則
> この条約の原則は、次のとおりとする。
>
> (a) 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び個人の自立の尊重
>
> (b) 無差別
>
> (c) 社会への完全かつ効果的な参加及び包容
>
> (d) 差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受入れ
>
> (e) 機会の均等
>
> (f) 施設及びサービス等の利用の容易さ
>
> (g) 男女の平等
>
> (h) 障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及び障害のある児童がその同一性
> を保持する権利の尊重
>
> 第四条 一般的義務
> 1 締約国は、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及
> び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを約束する。このた
> め、締約国は、次のことを約束する。
>
> (a) この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政
> 措置その他の措置をとること。
>
> (b) 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃
> 止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。
>
> (c) 全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること
> 。
>
> (d) この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当
> 局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。
>
> (e) いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するための全
> ての適当な措置をとること。
>
> (f) 第二条に規定するユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設であ
> って、障害者に特有のニーズを満たすために必要な調節が可能な限り最小限であり、
> かつ、当該ニーズを満たすために必要な費用が最小限であるべきものについての研究
> 及び開発を実施し、又は促進すること。また、当該ユニバーサルデザインの製品
> 、サービス、設備及び施設の利用可能性及び使用を促進すること。さらに、基準及び
> 指針を作成するに当たっては、ユニバーサルデザインが当該基準及び指針に含まれる
> ことを促進すること。
>
> (g) 障害者に適した新たな機器(情報通信機器、移動補助具、補装具及び支援機器
> を含む。)についての研究及び開発を実施し、又は促進し、並びに当該新たな機器の
> 利用可能性及び使用を促進すること。この場合において、締約国は、負担しやすい費
> 用の機器を優先させる。
>
> (h) 移動補助具、補装具及び支援機器(新たな機器を含む。)並びに他の形態の援
> 助、支援サービス及び施設に関する情報であって、障害者にとって利用しやすいもの
> を提供すること。
>
> (i) この条約において認められる権利によって保障される支援及びサービスをより
> 良く提供するため、障害者と共に行動する専門家及び職員に対する当該権利に関する
> 研修を促進すること。
>
> 2 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、これらの権利の完全な
> 実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることに
> より、また、必要な場合には国際協力の枠内で、措置をとることを約束する。ただし
> 、この条約に定める義務であって、国際法に従って直ちに適用されるものに影響を及
> ぼすものではない。
>
> 3 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施において、並
> びに障害者に関する問題についての他の意思決定過程において、障害者(障害のある
> 児童を含む。以下この3において同じ。)を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協
> 議し、及び障害者を積極的に関与させる。
>
> 4 この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際
> 法に含まれる規定であって障害者の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすも
> のではない。この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によっ
> て認められ、又は存する人権及び基本的自由については、この条約がそれらの権利若
> しくは自由を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、そ
> れらの権利及び自由を制限し、又は侵してはならない。
>
> 5 この条約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家の全ての地域について適
> 用する。
>
> 第五条 平等及び無差別
> 1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいか
> なる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める
> 。
>
> 2 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による
> 差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する。
>
> 3 締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が
> 提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる。
>
> 4 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、この
> 条約に規定する差別と解してはならない。
>
> 第六条 障害のある女子
> 1 締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するものとし
> 、この点に関し、障害のある女子が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有
> することを確保するための措置をとる。
>
> 2 締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、及び享
> 有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、向上及び自律的な
> 力の育成を確保するための全ての適当な措置をとる。
>
> 第七条 障害のある児童
> 1 締約国は、障害のある児童が他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本
> 的自由を完全に享有することを確保するための全ての必要な措置をとる。
>
> 2 障害のある児童に関する全ての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主
> として考慮されるものとする。
>
> 3 締約国は、障害のある児童が、自己に影響を及ぼす全ての事項について自由に自
> 己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現するための障害及び年齢に適した支援
> を提供される権利を有することを確保する。この場合において、障害のある児童の意
> 見は、他の児童との平等を基礎として、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考
> 慮されるものとする。
>
> 第八条 意識の向上
> 1 締約国は、次のことのための即時の、効果的なかつ適当な措置をとることを約束
> する。
>
> (a) 障害者に関する社会全体(各家庭を含む。)の意識を向上させ、並びに障害者
> の権利及び尊厳に対する尊重を育成すること。
>
> (b) あらゆる活動分野における障害者に関する定型化された観念、偏見及び有害な
> 慣行(性及び年齢に基づくものを含む。)と戦うこと。
>
> (c) 障害者の能力及び貢献に関する意識を向上させること。
>
> 2 このため、1の措置には、次のことを含む。
>
> (a) 次のことのための効果的な公衆の意識の啓発活動を開始し、及び維持すること
> 。
> () 障害者の権利に対する理解を育てること。
> () 障害者に対する肯定的認識及び一層の社会の啓発を促進すること。
> () 障害者の技能、長所及び能力並びに職場及び労働市場に対する障害者の貢献に
> ついての認識を促進すること。
>
> (b) 教育制度の全ての段階(幼年期からの全ての児童に対する教育制度を含む。)
> において、障害者の権利を尊重する態度を育成すること。
>
> (c) 全ての報道機関が、この条約の目的に適合するように障害者を描写するよう奨
> 励すること。
>
> (d) 障害者及びその権利に関する啓発のための研修計画を促進すること。
>
> 第九条 施設及びサービス等の利用の容易さ
> 1 締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加する
> ことを可能にすることを目的として、障害者が、他の者との平等を基礎として、都市
> 及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信機器及び情報
> 通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、又は提供される他の施設及びサ
> ービスを利用する機会を有することを確保するための適当な措置をとる。この措置は
> 、施設及びサービス等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃する
> ことを含むものとし、特に次の事項について適用する。
>
> (a) 建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及
> び職場を含む。)
>
> (b) 情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含
> む。)
>
> 2 締約国は、また、次のことのための適当な措置をとる。
>
> (a) 公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスの利用の容易さに関する最
> 低基準及び指針を作成し、及び公表し、並びに当該最低基準及び指針の実施を監視す
> ること。
>
> (b) 公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスを提供する民間の団体が、
> 当該施設及びサービスの障害者にとっての利用の容易さについてあらゆる側面を考慮
> することを確保すること。
>
> (c) 施設及びサービス等の利用の容易さに関して障害者が直面する問題についての
> 研修を関係者に提供すること。
>
> (d) 公衆に開放される建物その他の施設において、点字の表示及び読みやすく、か
> つ、理解しやすい形式の表示を提供すること。
>
> (e) 公衆に開放される建物その他の施設の利用の容易さを促進するため、人又は動
> 物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供
> すること。
>
> (f) 障害者が情報を利用する機会を有することを確保するため、障害者に対する他
> の適当な形態の援助及び支援を促進すること。
>
> (g) 障害者が新たな情報通信機器及び情報通信システム(インターネットを含む。
> )を利用する機会を有することを促進すること。
>
> (h) 情報通信機器及び情報通信システムを最小限の費用で利用しやすいものとする
> ため、早い段階で、利用しやすい情報通信機器及び情報通信システムの設計、開発、
> 生産及び流通を促進すること。
>
> 第十条 生命に対する権利
>  締約国は、全ての人間が生命に対する固有の権利を有することを再確認するものと
> し、障害者が他の者との平等を基礎としてその権利を効果的に享有することを確保す
> るための全ての必要な措置をとる。
>
> 第十一条 危険な状況及び人道上の緊急事態
>  締約国は、国際法(国際人道法及び国際人権法を含む。)に基づく自国の義務に従
> い、危険な状況(武力紛争、人道上の緊急事態及び自然災害の発生を含む。)におい
> て障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる。
>
> 第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
> 1 締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有
> することを再確認する。
>
> 2 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法
> 的能力を享有することを認める。
>
> 3 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機
> 会を提供するための適当な措置をとる。
>
> 4 締約国は、法的能力の行使に関連する全ての措置において、濫用を防止するため
> の適当かつ効果的な保障を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保障は、
> 法的能力の行使に関連する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利
> 益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、障害者の状況に応じ、かつ
> 、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに権限のある、独立の、
> かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象となることを確保するもの
> とする。当該保障は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じた
> ものとする。
>
> 5 締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は
> 相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を
> 利用する均等な機会を有することについての平等の権利を確保するための全ての適当
> かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確
> 保する。
>
> 第十三条 司法手続の利用の機会
> 1 締約国は、障害者が全ての法的手続(捜査段階その他予備的な段階を含む。)に
> おいて直接及び間接の参加者(証人を含む。)として効果的な役割を果たすことを容
> 易にするため、手続上の配慮及び年齢に適した配慮が提供されること等により、障害
> 者が他の者との平等を基礎として司法手続を利用する効果的な機会を有することを確
> 保する。
>
> 2 締約国は、障害者が司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保するこ
> とに役立てるため、司法に係る分野に携わる者(警察官及び刑務官を含む。)に対す
> る適当な研修を促進する。
>
> 第十四条 身体の自由及び安全
> 1 締約国は、障害者に対し、他の者との平等を基礎として、次のことを確保する。
>
> (a) 身体の自由及び安全についての権利を享有すること。
>
> (b) 不法に又は恣意的に自由を奪われないこと、いかなる自由の剥奪も法律に従っ
> て行われること及びいかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在によって正当化
> されないこと。
>
> 2 締約国は、障害者がいずれの手続を通じて自由を奪われた場合であっても、当該
> 障害者が、他の者との平等を基礎として国際人権法による保障を受ける権利を有する
> こと並びにこの条約の目的及び原則に従って取り扱われること(合理的配慮の提供に
> よるものを含む。)を確保する。
>
> 第十五条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰
> からの自由
> 1 いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若し
> くは刑罰を受けない。特に、いかなる者も、その自由な同意なしに医学的又は科学的
> 実験を受けない。
>
> 2 締約国は、障害者が、他の者との平等を基礎として、拷問又は残虐な、非人道的
> な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることがないようにするため、
> 全ての効果的な立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。
>
> 第十六条 搾取、暴力及び虐待からの自由
> 1 締約国は、家庭の内外におけるあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(性別に基づ
> くものを含む。)から障害者を保護するための全ての適当な立法上、行政上、社会上
> 、教育上その他の措置をとる。
>
> 2 また、締約国は、特に、障害者並びにその家族及び介護者に対する適当な形態の
> 性別及び年齢に配慮した援助及び支援(搾取、暴力及び虐待の事案を防止し、認識し
> 、及び報告する方法に関する情報及び教育を提供することによるものを含む。)を確
> 保することにより、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待を防止するための全ての適当
> な措置をとる。締約国は、保護事業が年齢、性別及び障害に配慮したものであること
> を確保する。
>
> 3 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、障害者に
> 役立つことを意図した全ての施設及び計画が独立した当局により効果的に監視される
> ことを確保する。
>
> 4 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力又は虐待の被害者となる障害者の身体的、
> 認知的及び心理的な回復、リハビリテーション並びに社会復帰を促進するための全て
> の適当な措置(保護事業の提供によるものを含む。)をとる。このような回復及び復
> 帰は、障害者の健康、福祉、自尊心、尊厳及び自律を育成する環境において行われる
> ものとし、性別及び年齢に応じたニーズを考慮に入れる。
>
> 5 締約国は、障害者に対する搾取、暴力及び虐待の事案が特定され、捜査され、及
> び適当な場合には訴追されることを確保するための効果的な法令及び政策(女子及び
> 児童に重点を置いた法令及び政策を含む。)を策定する。
>
> 第十七条 個人をそのままの状態で保護すること
>  全ての障害者は、他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で尊重
> される権利を有する。
>
> 第十八条 移動の自由及び国籍についての権利
> 1 締約国は、障害者に対して次のことを確保すること等により、障害者が他の者と
> の平等を基礎として移動の自由、居住の自由及び国籍についての権利を有することを
> 認める。
>
> (a) 国籍を取得し、及び変更する権利を有すること並びにその国籍を恣意的に又は
> 障害に基づいて奪われないこと。
>
> (b) 国籍に係る文書若しくは身元に係る他の文書を入手し、所有し、及び利用する
> こと又は移動の自由についての権利の行使を容易にするために必要とされる関連手続
> (例えば、出入国の手続)を利用することを、障害に基づいて奪われないこと。
>
> (c) いずれの国(自国を含む。)からも自由に離れることができること。
>
> (d) 自国に戻る権利を恣意的に又は障害に基づいて奪われないこと。
>
> 2 障害のある児童は、出生の後直ちに登録される。障害のある児童は、出生の時か
> ら氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りそ
> の父母を知り、かつ、その父母によって養育される権利を有する。
>
> 第十九条 自立した生活及び地域社会への包容
>  この条約の締約国は、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会
> で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者が、この権利を完全に
> 享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効
> 果的かつ適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保することによるものを含
> む。
>
> (a) 障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生
> 活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わな
> いこと。
>
> (b) 地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの
> 孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会
> 支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること。
>
> (c) 一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者との平等
> を基礎として利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応していること。
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