たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

ワカンで歩いた黒斑山

2010年01月09日 | 浅間山周辺
◎2010年1月8日(金)―1人

 前回の山行が雪の時期にしてはかなりの凡なもので終わったせいか、雪が確実にあり、景色が良く、家からのアクセスが便利なところに行きたかった。本屋でヤマケイJOYを立ち読みしていたら、そんなお気軽条件に見合った山があった。黒斑山。何十年も前に行ったことはあったが、雪の時期ではない。黒斑山は雪山の入門編と記されていた。自分も同じようなものだし、先行者のトレースをあてにして歩くにはちょうどいいだろう。3連休は混むかもしれない。まもなく期限切れになる代休が4日もある。流すことになるのもしゃくだし、休むのが目立つような時期でもないので、迷いもなくさっさと出かける。

 自然観察センターの裏の駐車場に着いたのが9時半。スキー場は閑散としている。ここでもたもたしてしまった。スパッツを付けるのに手間取り、ようやく付けたら左右逆。やり直し。いつものスパッツなら、あっという間なのだが、つい気取って雪用を持って来てしまった。どこが違うかといえば、薄手と厚手ていどの違いにしか感じない。二重に締めなきゃいけない。さらに、ワカンとスノーシューのいずれにするかで悩んでしまった。センターに車を入れる際、黒斑山に向かっている人を見かけたが、あの方はスノーシューだった。結局、ワカンを選んだ。西洋カンジキは、どうもマイナーなイメージがしてしょうがないのだ。都合30分のロス。10時出発。今日はためらうことなくダブルの杖だ。念のため、必要もないだろうに、12本爪もザックに入れている。さすが、ピッケルは不要だろう。

(こんな感じのトレース)


 先ずは景色がいいらしい表コースから登る。ワカンはザックに結わえていたが、コースに入った途端に膝まで雪に入ってしまった。ここだけだろうと楽観していたが、しばらく続いた。スノーシューのトレースの上を歩いたのに。基本はツボ足のつもりだったが、仕方なくワカンを付ける。ここでまたトラブル。久しぶりにワカンを付けたものだから、ひもの縛りがおかしなものになっていて、完成まで何度か試行錯誤するはめになった。今日はロスタイムが多い。意識も散漫になっている。注意しないと。

(篭ノ塔山方面)


(木曽御岳だと思う。きっと。)


 しかしながら、この晴天下、雪の中を歩くのは気持ちがいいね。まして無風だ。振り返ると篭ノ塔山方面が間近に見える。ゲレンデには3人くらいの姿しか見えない。用心してサングラスに変える。高度を上げるに連れて、南、西方面の展望が広がっていく。八ヶ岳に中央アルプスか。奥秩父は存在を失念していた。きっと見えていたのだろう。木曽御岳はここから見てもご立派。超然としているね。トレースはいつの間にか、しっかりとした50㎝幅ほどの道型になっていた。きっと、吹きさらしなのだろう。ツボ足で歩けそうだが、無理にワカンを外すこともない。歩いていて楽だ。

 前方に歩いている方を見つけた。かなりお疲れのご様子。後ろに気づいて休み休み歩いている。さっさと抜いて欲しいという意志表示だろうが、こちらもそろそろ疲れはじめているのは確か。抜きたくとも抜けない。オレも立ち休みが続いている。雪山入門編の山でこのざまだ。よく見ると、センターで見かけた、スノーシューで歩いていた方だ。脇に寄ってしまったから、追い越すしかないか。あいさつをし、お先にと声をかける。女性の返事を期待したら、男の方だった。ずっと、女性とばかり思っていた。フードまでかぶって細いラインだったから、てっきり。何だか、気恥ずかしそうににこにこしている。

(浅間山が顔を出す)

(避難小屋)


 ようやく、浅間山が顔を出す。こんなにでかいと不気味な感じがする。やはり、富士山と同様に、遠くから眺める山だね。定期的にも見える噴煙を上げている。迫力があり過ぎ。11時15分避難小屋。カマボコ型は昔のままだね。素通しで、中は雪だらけ。避難小屋というより、浅間山の噴火時の一時シェルターじゃないのかな。ここで泊まったら、風邪をひくのは確実。そもそも、避難小屋として利用する人はいるのだろうか。中にテントを張れば別だが。トーミの頭と黒斑山山頂が見えてから、灌木の間を歩くようになる。不思議なことに、利き腕の右側だけが雪をかぶる。左腕には雪がつかない。今日は、下は雪対応のズボンだが、上はいつものフリースだ。雪がつくと湿る心配があって、絶えず溶けないうちに雪を払う。気温は-5度程度だから、溶ける心配は今のところないが。

(トーミの頭から黒斑山)

(そして浅間山)


 中コースとの分岐11時25分、ここから登ってトーミの頭11時30分。今度は東と北の視界が開ける。この時期は、黒斑山の山頂よりもこちらからの展望がいいだろう。というのは、黒斑山山頂北側はちょっとした雪庇状態になっていて、のけぞって景色を見られないからだ。しばらく眺望を楽しむ。後ろを振り返ると、例のスノーシューの彼の姿はまだ見えない。ここまで来たら、黒斑山もあとわずか。尾根脇を通って、火山活動監視の施設を通過し、11時50分、黒斑山山頂。だれもいない。山頂標示板の埋まり具合からすると、山頂の積雪は50cmくらいだろうか。歩き出しから2時間弱ではあるが、かなり応えた。やはり、雪の有無は相当なものだね。予定では蛇骨岳まで行くつもりでいたが、その先にトレースはなく、さらにロープも張ってあったので、行けないいい理由ができた。

(1頭目のカモシカ)


 さっさと下山する。朝食を食べて出てきたせいか、今のところ、口には水も何も含んでいない。腹も減っていない。カモシカを見つける。すぐそこの距離。動きが緩慢で、いつも見かけるカモシカのように、荒い音を立てて逃げる様子はない。だからといって人間になついている様子もない。子供だろうか。トーミの頭から下る。結局、追い抜いたスノーシューハイカーとは出会わずだった。しかし、この下り道のトレースの様相は、登った時とちょっと違っている。オレのワカンの跡は消えていて、それを塗りかぶせたようなスノーシューの跡が残っていた。もしかすると、トーミの頭から下山したのだろうか。結局、最後まで彼に会うことはなかったのも分からないこと。あの速度では、こちらがいずれまた追い抜いても不思議ではなかった。

 12時20分、中コースとの分岐。帰りは中コースをとる。灌木の中、ワカンの下りも意外とスムーズに足が運ぶことも分かった。ただ、下りでは背筋伸ばしのスタイルになるから、雪を結構かぶる。確かに、このコースは展望がない。そして急。おもしろくない。前をカップルが下って行く。追い抜く。なぜ、これまで出会わなかったのだろう。これもまた不思議。行き会った3人のうち、山頂まで行ったのはオノレだけということ? これまた寂しい話だね。

(2頭目のカモシカ)

(やはり逃げた)


 2頭目のカモシカ。これは物おじもせず、逃げることもない。直近で撮影できたくらいだ。さすが、奈良の鹿みたいになでようとしたら、逃げて行ったが、すぐ目の前にまた立ち止まっていた。後ろ姿を見ていると、まさに熊の後ろ姿だね。この時期なのかは知らないが、黒くてぼってりしている。見慣れたカモシカは動きも機敏でムダなところのない体型なのだが。

(ちょっとしたラッセル)

(そして到着)


 やがて、スノーシューコースが分岐する。そのコースは、表示板によればスキー場に向かっているようだ。こちらは車坂峠に向かう。ここから、急に先行のトレースが寂しくなった。ほとんどがスノーシューコースに入っている。1人分だけのトレース。そのためか、やたらとぬかる。ラッセルしているのと同じ。うるさいくらいの赤布があるから、迷いはしないが、しんどい。15分くらいのものの、太ももはパンパン状態。ようやく、何かの施設の屋根が見えたと思ったら、出発地点。ワカンを外し、駐車場13時10分。車の数は増えも減りもしていない。車の下にはツララが垂れていた。

 駐車場でお湯を沸かし、カップラーメンを食べて帰ることにする。汗もたいしてかかなかったから、風呂に入って時間と金をムダにする気分にもなれない。黒斑山に決める際、いろいろ調べて石尊山という山にも興味が出て、迷っていた。次回は石尊山に行ってみたいが、登山口は別荘地の中。時間もあったし、登山口の様子を見に寄った。さらにマイナーな山のはずだが、意外に、車を駐めた跡、先に進んでいる足跡が結構あったのには驚いた。ただ、血の池、座禅窟、赤滝を見るのはこの時期じゃないほうがいいかも。

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4 コメント

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イメージ (K女)
2010-01-09 16:10:00
カモシカのイメージが違った感じ。冬なので防寒用にぽっちゃり型になっているのかな。でも、こんな近くにいるのですね、一度お会いしたい。浅間山の煙を雲がかかっているのだと勘違いしていました、そうだよね活火山だったね。
素人の私が読んでいて気になって仕方が無い“トーミの頭”の名前の由来は何?どうも、山の名称にしては違和感があって。

青空と白い雪、最高のペアーですね。普通の雪道でも歩くと身体に応えるから、今年最初の雪山では、疲れたでしょう。お疲れ様。(たそがれさんは雪に慣れているから大丈夫かな)
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トーミの頭 (K女さんへ)
2010-01-09 17:16:23
頭はピーク。「山名事典」によると、「トーミは遠見の意と思われる」とあります。全国に遠見山、遠見岳はかなりありますね。ちなみに、事典では「トーミノ頭」となっています。
雪には慣れていますがね。それと雪山とは別ではないかと。
あのカモシカは2頭ともに、親から独立したばかりの子供という気がします。
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Unknown (ぶなじろう)
2010-01-10 20:34:16
やっぱり、雪山は美しいですね。
おいらは、体調不良で、今年は雪山に行けるか心配です。

黒斑山は、大昔、行ったことがあるのですが、蛇骨岳の稜線以外、山の様子等、ぜんぜん記憶にないのです。

スキーでも行けそうですかね。
こんなに美しいのなら、体調が戻ったら行ってみようかな。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-01-10 22:51:52
ブログを拝見しました。想像どおり、やはり体調不良とは腰痛でしたね。寒い時期は、無理するとやばいですね。
スキーの件、特別な岩場や急登はありませんから、行けますね。ただ、灌木帯のあたりは、うまく迂回しないと。
余裕があれば行こうと思い、結局行けなかった高峰山側の方が、むしろ、スキーとしてはおもしろいかもしれません。
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