◎2013年5月4日(土)
銅親水公園(6:35)……833m大ナギ沢出会い(7:25~7:30)……標高点1545m付近(9:10)……1805m(9:50~10:00)……大平山(10:45~11:00)……1356m淀沢林道出会い(12:15~12:20)……1179m三角点(12:40)……松木林道出会い(13:25~13:35)……親水公園(14:05)
今日の歩きは足尾の未踏尾根の一つ、大平山(松木山)の大ナギ沢右岸尾根である。淀沢林道の1356m標高点から取り付く一般的な南東尾根の、地形図上では左(大平山の南南東)にある尾根で、標高点1805mで一般ルートに合流する。このルート、昨年、体調不良であっさりと途中撤退しているが、ロングで急な感じの尾根だった。833m標高点のある尾根末端から登ることにする。下りコースは決めかねているが、黒檜岳か社山でも経由できれば御の字だ。そういう状態でなかったら、あっさりと南東尾根を下って林道歩きになる。
(大平山のご機嫌はいいようだ)
親水公園はひんやりしていた。掲示板には3℃と出ている。ジャンパーは着たまま。連休中のためか、工事用車両の出入りはない。散歩している人を数人見かける。松木沢林道を歩いていると、逆方向からハイカーがやって来た。道を間違えたのだろうか。道路が分岐して、自分とは別のところを歩いているので、声はかけなかった。周囲の山々に、もう残雪は見えない。途中で、緑化の関係者と思われる方を2人見かける。林道の終点に到着。ここが833mポイント。高度計をセットする。少し寒いがいい陽気だ。
(尾根の末端。ザレ尾根に見えるが、現物は草付き)
(フェンスに沿って行く。前回はあの木で早々に退散した)
(その先。やはり荒れた感じ)
(松木沢の上流部)
取り付きには、埼玉県K市ナンバーのバイクが置かれている。皇海山方面に向かう方はいても、ここから大平山に向かう方はいまい。釣りは禁止になっているはずだ。尾根の末端から取り付く。枯れた草付きの斜面。やはり、なかなか急だ。いきなり息が上がる。呼吸を整えるべく、休んでは見下ろす。この急峻な尾根の先の松木川はどんどん下になり、ジャンダルムなる荒れた岩肌が正面に立ちふさがるように見える。右側からフェンスが現れて先に続く。しばらく、フェンス沿いに登る。前回の撤退場所に到着。この先の尾根を眺める。ゴツゴツした感じの尾根が蛇行気味に続いている。右手には大ナギ沢がかなり上まで延びている。あれを登るのかと思ったら、ため息が出た。暑くてジャンバーを脱ぐ。気温はまだひんやり。いつの間にかフェンスは沢の方に逸れていった。
(こんな感じになって、荒れた感じはなくなった)
(銅親水公園の方)
(皇海山が顔を出す)
大きな石がゴロゴロ出てきて、枯れた草もポツンポツンと固まっている。滑ることはないが、今のところの尾根の印象はよろしくない。やはりこんなものだったのか。赤テープを見つける。この先、まばらに見かけることになる。1150mを過ぎてから、皇海山が覗くようになる。自分にはアイドル山の一つだ。今のところは、あの山の姿の全部を見ることを励みに登るにしても、気はあせっても、何ともきつい尾根だ。足取りは重い。松木沢の最奥の方はもう隠れている。ツツジはまだツボミのままだが、この尾根の木々はまばらで、薄い雑木だけである。ということは、真夏にここを登るのはきついだろう。南に面していて、陽除けがない。
(稲刈り後の風景に似ている)
(今度はオロ山)
尾根の様相が次第に変わってきた。石が少なくなって、先ほど来の枯れ草の塊が多くなってきた。稲刈り後の田んぼを歩いているような感じ。尾根幅が広がると、枯れ草の塊も点々となり、地衣類のような緑の草地が顔を出す。すごい植生の変化だ。1315mで休憩して、菓子パンを食べる。皇海山も2/3の姿を拝めるようになった。そして、オロ山も顔を出す。なかなかいい眺めだ。
(色付きの草地が出てくる)
(この花が無数にあった。名前は知らん)
(果てしなく続く感じがいい)
(南東尾根)
(淀沢林道の延長。左に終点。1356mの監視カメラが見える)
尾根は次第に緩やかになった。そして、とうとう、草地になった。牧草地の中を歩いているような雰囲気。草の間に、何という花かは知らないが、小さな黄色い花が咲いている。前半とは打って変わった、この爽快な尾根歩き。テンションも高揚しつつある。しばらくは景色を楽しみながら歩く。右手を見ると、赤倉山から半月山に続く稜線が見え、その後ろには、薬師岳から地蔵岳の稜線。手前には南東尾根の1356mから続いている林道が見えている。ちなみにこの林道、カメラをズームにして覗くと、崩壊地に突入し、そこで終点になっているが、踏み跡らしきものがその先まで続いていた。
(これはシカ道だろうが、シカのエサになるような緑はない)
(振り返る。飽きることがない)
(こんなのは最高だよ)
(あれが1545m標高点だろう)
(庚申山も見えてきた)
左手に地形図上の1545m標高点らしき場所が見えてくる。皇海山もすっかり現れ、続いて鋸山。標高が1600mを越えると、南東尾根が谷を挟んで並行して上がって来るのが見える。あの尾根、こちらに比べて木が多そうだ。久しぶりにあれを下ってみるのもいいかなぁ。それにしても、何とも気持ちの良い尾根だ。高度が上がるに連れて、どんどんその良さを感じる。今度は庚申山と袈裟丸連峰が顔を出す。足尾の山好きの自分には、これがたまらない。
(上に南東尾根が)
(その先はヤブになっていた)
(1805mから。袈裟丸山も見える。同じ画像が続いて失礼。何せ好きな山々なもんで)
いよいよ1805m標高点が近づく。正面は壁のように見え、程よくきつくなっている身体には、この部分の登りが一番つらかった。そして、南東尾根と合流。ここから低いササが顔を出す。何ともがっかりだ。こうなったら、これまでの続きはないだろう。平らになった木の下で休憩。ストックの先が落ちている。ここからの展望も抜群で、社山と男体山も見えている。大平山はもうすぐそこだ。下に雪がある。冷たい風が強くなってきた。ジャンパーをまた着込み、手袋をする。
(中央の雪の右が大平山山頂)
(男体山)
(そして社山)
(もう少し)
(そして、大平山山頂。相変わらず冴えない山頂)
ヤブが濃くなり、ところによっては胸までくる。ヤブの低いところでは踏み跡を確認できるが、シカ道も入り交っている。尾根型はしっかりしているので、おかしなところに出ることはないだろうが、歩程がえらくのろくなった。左・西側にカーブするあたりが展望地になっていた。樹間からシゲト山と三俣山を望める。稜線にはまだ雪がありそうだ。その左奥に白い山並みが見える。おそらく谷川岳だろう。ちょっと先に行くと、錫ヶ岳と日光白根。残雪を少しばかり歩いて、木立ちの中の大平山山頂に到着した。9年ぶりである。山頂の陰湿さは変わらない。何の感慨も湧かない山頂だ。おにぎりを1個食べる。
まだ11時前だ。体力も残っている。社山に向かってもせいぜい2時間半。黒檜に向かう林の中の歩きはうっとうしい。社山に行ってもいいがと、社山の方を眺めると、社山直下の上りが、ここからではやけにきつく見えている。ヤメにしよう。同じく9年ぶりに南東尾根を下るか。
(山頂下の展望地からシゲト山と三俣山)
(そして、錫ヶ岳と日光白根山)
(シカか人間か知らないが、下りでは、踏み跡が明瞭)
(南東尾根に入る)
(改めて社山だが、鞍部からの上りがかなりきつそうに見える。実際はそうでもないが)
(半月山と、その奥に、先日歩いた薬師岳方面)
(尾根は広い。テープがないと、ヤブの中では進路を取りづらい)
(監視カメラ)
また、先ほどの展望地で山を眺め、ヤブの中を1805mに下る。下りは踏み跡を遠望できるから比較的に楽だ。シカ道を追う。しかし、完全なものではないから、時たまヤブになる。1805mで南東尾根に入る。ヤブは一時薄くなり、ひざ下になるも、すぐにまた高くなった。この尾根からの松木沢の眺めも壮絶である。失礼ながら、なかなかいい。親水公園の先も覗いている。この尾根と往路の右岸尾根との違いは、傾斜については同じようなものだが、こちらは雑木が多くヤブになっている。木にテープやリボンを多く見つけるが、尾根型が消えるところもあって、下りで使うには、こういう目印が助かることは確かだ。9年前にも、霧の中、テープ頼りに下ったことを思い出す。そういえば、あの時は、社山の南尾根から登って大平山に出たのだが、視界不良の中、よく大平山への分岐を迷わずに入れたものだ。今ならできまい。往時に比べて、体力、精神力、注意力も激減している。
ヤブが低くなり、尾根が明瞭になった。そして、1500mからは踏み跡もしっかりしてきた。やがて、左下には林道が見えてくる。実験用の器材だろうか、金属製の筒のような物を左に見て下ると、監視カメラ。林道に到着。少し休む。
(ここを歩く気はもちろんない)
この先、林道テクテクもまた、いい歩きができた余韻を楽しみながらの歩きでいいだろうが、2月に南東尾根の延長(正確には1356mからの分岐尾根だが)を歩いてしまっている以上、これを使わない手はない。末端寄りはシカ除けフェンス地獄ではあったが、こちら側はいい感じだった。地形図を見る。また地獄に入り込むつもりはない。1179mの三角点から南に松木沢林道に下れそうだ。RRさんご推奨の、その先のカラミの堆積を滑り落ちて下ってもいいが、RRさんが実際にやられた様子はないし、埋もれ込んだら大変なことになる。あくまでも、フェンス地獄の手前で松木沢林道に下るとなると、これコースしか考えられれない。
(件のフェンス尾根を下る)
(踏み跡が続いていた)
(三角点から。ここから右に下る。砂山のようなカラミの堆積場が見えている)
サルの群れを追いやって下る。2月の時は、尾根に雪がかぶっていたから知らなかったが、この尾根、しっかりした踏み跡がある。シカ道ではない。やはり、工事関係者なんかに使われているようだ。途中で、右や左に下って行く小道も見つけた。だが、三角点に至る前に、折れている感じ。20分で三角点に到着。あっ気なかった。
(最初のうちは、これを下って正解かと思った)
(そして、右手にフェンスが出てくる。この時点では楽観)
(シャツを破く。見事に直角に切れた。ユニクロもんだから惜しくはないが)
南に進路を変えて下る。ネットが出てきた。そして、フェンスになる。やはり、ここもか。フェンスに沿って下る。出入り口があった。解放状態。一応、閉めておく。枯れた草と乾燥した草が滑る。フェンスに手をかけて下るしかない。かなりのヨチヨチ下りが続く。ビリッと音がした。シャツの右腕を針金に引っ掛けてカギ裂き。代償を支払った。もう林道が行く手に見えている。あと150mほどの下りか。この時は楽勝と思っていた。腕がスースーする。風はやはり冷たい。
(フェンスも次第にややこしくなる)
(ここは下を潜った)
(これで解放されたと思い、山桜見物としゃれこんだ)
下に行くに連れ、フェンスは迷路のようになった。二重三重に張り巡らされている。正面のフェンスを開けて中に入った。左に行くと、袋小路。三角形の狭い空間に閉じ込められた。先を見ると、下を潜り出た跡がある。ザックを外して潜って脱出。ほっとしたと思ったら、また正面にフェンス。その先に作業道がある。どこを探しても出口はない。仕方ない。越える。グラグラして危なかった。その間、脇のフェンスを、サルが軽々と越えていたのを見た。ここで解放されたと思い、咲いている山桜を愛でたりして、作業道を進んだら、今度はここの出口もふさがっていて、かなり頑丈そうだ。戻って、正面の出入り口のあるフェンスの中に入った。ここは四方八方ふさがりで、反対側の出口の針金は太く、グルグル巻きにしてあるために開けられない。また戻って出直し。作業道にまた出る。なぜか、今のふさがりフェンスの中にはシカの死骸が横たわっていた。どうも意味のあるフェンスには思えない。シカのジャンプ力は2mもないだろう。
(ようやく最後。ひどい思いをした)
先ほどの頑丈そうなフェンス出口に向かう。ここがラストの関門だ。何とかして越えないと家に帰れない。だがハードルは高い。林道を緑化関係の人が通った時に大声を出して助けを求める図はどうも好ましくない。それ以前に似合わない。このフェンス、今風の物だった。よく見ると、金具が上下についている。いじっていたら、カチャッと外れた。何だ、こんな簡単な構造か。感心しながら外に出る。檻からようやく解放された心境。二重三重どころか、五重六重の金網であった。大方、いくつかの業者に仕事を投げ、横のつながりなく、勝手にフェンスを設置したのだろう。でなかったら、袋小路エリアなんかできるわけがない。出口の金網、どこかで体験したなぁ。かなり疲れ果てた。しかし、これに比べれば、延長尾根の末端寄りは「地獄」の修飾をするほどのものでもなかった。こちらの方が地獄だった。
(松木沢林道)
(親水公園駐車場)
石祠の前で一服して休憩。松木沢林道を親水公園に戻る。今日の歩き、いい歩きをしたが、フィニッシュがよろしくなかった。この南東延長尾根を使うのはもうヤメにしよう。破ったシャツももうおしまいだ。どうも自分の場合、始め良ければ終わり良しの展開にならないのが常のようだ。
河原で顔を洗い、手拭いで首筋も拭く。手拭いは真っ黒になった。大方、三角点の下りで汚れたものだろう。親水公園に着くと、気温は13℃と表示されていた。やはり連休。松木沢の山を眺める観光客の姿をかなり見かけた。
銅親水公園(6:35)……833m大ナギ沢出会い(7:25~7:30)……標高点1545m付近(9:10)……1805m(9:50~10:00)……大平山(10:45~11:00)……1356m淀沢林道出会い(12:15~12:20)……1179m三角点(12:40)……松木林道出会い(13:25~13:35)……親水公園(14:05)
今日の歩きは足尾の未踏尾根の一つ、大平山(松木山)の大ナギ沢右岸尾根である。淀沢林道の1356m標高点から取り付く一般的な南東尾根の、地形図上では左(大平山の南南東)にある尾根で、標高点1805mで一般ルートに合流する。このルート、昨年、体調不良であっさりと途中撤退しているが、ロングで急な感じの尾根だった。833m標高点のある尾根末端から登ることにする。下りコースは決めかねているが、黒檜岳か社山でも経由できれば御の字だ。そういう状態でなかったら、あっさりと南東尾根を下って林道歩きになる。
(大平山のご機嫌はいいようだ)
親水公園はひんやりしていた。掲示板には3℃と出ている。ジャンパーは着たまま。連休中のためか、工事用車両の出入りはない。散歩している人を数人見かける。松木沢林道を歩いていると、逆方向からハイカーがやって来た。道を間違えたのだろうか。道路が分岐して、自分とは別のところを歩いているので、声はかけなかった。周囲の山々に、もう残雪は見えない。途中で、緑化の関係者と思われる方を2人見かける。林道の終点に到着。ここが833mポイント。高度計をセットする。少し寒いがいい陽気だ。
(尾根の末端。ザレ尾根に見えるが、現物は草付き)
(フェンスに沿って行く。前回はあの木で早々に退散した)
(その先。やはり荒れた感じ)
(松木沢の上流部)
取り付きには、埼玉県K市ナンバーのバイクが置かれている。皇海山方面に向かう方はいても、ここから大平山に向かう方はいまい。釣りは禁止になっているはずだ。尾根の末端から取り付く。枯れた草付きの斜面。やはり、なかなか急だ。いきなり息が上がる。呼吸を整えるべく、休んでは見下ろす。この急峻な尾根の先の松木川はどんどん下になり、ジャンダルムなる荒れた岩肌が正面に立ちふさがるように見える。右側からフェンスが現れて先に続く。しばらく、フェンス沿いに登る。前回の撤退場所に到着。この先の尾根を眺める。ゴツゴツした感じの尾根が蛇行気味に続いている。右手には大ナギ沢がかなり上まで延びている。あれを登るのかと思ったら、ため息が出た。暑くてジャンバーを脱ぐ。気温はまだひんやり。いつの間にかフェンスは沢の方に逸れていった。
(こんな感じになって、荒れた感じはなくなった)
(銅親水公園の方)
(皇海山が顔を出す)
大きな石がゴロゴロ出てきて、枯れた草もポツンポツンと固まっている。滑ることはないが、今のところの尾根の印象はよろしくない。やはりこんなものだったのか。赤テープを見つける。この先、まばらに見かけることになる。1150mを過ぎてから、皇海山が覗くようになる。自分にはアイドル山の一つだ。今のところは、あの山の姿の全部を見ることを励みに登るにしても、気はあせっても、何ともきつい尾根だ。足取りは重い。松木沢の最奥の方はもう隠れている。ツツジはまだツボミのままだが、この尾根の木々はまばらで、薄い雑木だけである。ということは、真夏にここを登るのはきついだろう。南に面していて、陽除けがない。
(稲刈り後の風景に似ている)
(今度はオロ山)
尾根の様相が次第に変わってきた。石が少なくなって、先ほど来の枯れ草の塊が多くなってきた。稲刈り後の田んぼを歩いているような感じ。尾根幅が広がると、枯れ草の塊も点々となり、地衣類のような緑の草地が顔を出す。すごい植生の変化だ。1315mで休憩して、菓子パンを食べる。皇海山も2/3の姿を拝めるようになった。そして、オロ山も顔を出す。なかなかいい眺めだ。
(色付きの草地が出てくる)
(この花が無数にあった。名前は知らん)
(果てしなく続く感じがいい)
(南東尾根)
(淀沢林道の延長。左に終点。1356mの監視カメラが見える)
尾根は次第に緩やかになった。そして、とうとう、草地になった。牧草地の中を歩いているような雰囲気。草の間に、何という花かは知らないが、小さな黄色い花が咲いている。前半とは打って変わった、この爽快な尾根歩き。テンションも高揚しつつある。しばらくは景色を楽しみながら歩く。右手を見ると、赤倉山から半月山に続く稜線が見え、その後ろには、薬師岳から地蔵岳の稜線。手前には南東尾根の1356mから続いている林道が見えている。ちなみにこの林道、カメラをズームにして覗くと、崩壊地に突入し、そこで終点になっているが、踏み跡らしきものがその先まで続いていた。
(これはシカ道だろうが、シカのエサになるような緑はない)
(振り返る。飽きることがない)
(こんなのは最高だよ)
(あれが1545m標高点だろう)
(庚申山も見えてきた)
左手に地形図上の1545m標高点らしき場所が見えてくる。皇海山もすっかり現れ、続いて鋸山。標高が1600mを越えると、南東尾根が谷を挟んで並行して上がって来るのが見える。あの尾根、こちらに比べて木が多そうだ。久しぶりにあれを下ってみるのもいいかなぁ。それにしても、何とも気持ちの良い尾根だ。高度が上がるに連れて、どんどんその良さを感じる。今度は庚申山と袈裟丸連峰が顔を出す。足尾の山好きの自分には、これがたまらない。
(上に南東尾根が)
(その先はヤブになっていた)
(1805mから。袈裟丸山も見える。同じ画像が続いて失礼。何せ好きな山々なもんで)
いよいよ1805m標高点が近づく。正面は壁のように見え、程よくきつくなっている身体には、この部分の登りが一番つらかった。そして、南東尾根と合流。ここから低いササが顔を出す。何ともがっかりだ。こうなったら、これまでの続きはないだろう。平らになった木の下で休憩。ストックの先が落ちている。ここからの展望も抜群で、社山と男体山も見えている。大平山はもうすぐそこだ。下に雪がある。冷たい風が強くなってきた。ジャンパーをまた着込み、手袋をする。
(中央の雪の右が大平山山頂)
(男体山)
(そして社山)
(もう少し)
(そして、大平山山頂。相変わらず冴えない山頂)
ヤブが濃くなり、ところによっては胸までくる。ヤブの低いところでは踏み跡を確認できるが、シカ道も入り交っている。尾根型はしっかりしているので、おかしなところに出ることはないだろうが、歩程がえらくのろくなった。左・西側にカーブするあたりが展望地になっていた。樹間からシゲト山と三俣山を望める。稜線にはまだ雪がありそうだ。その左奥に白い山並みが見える。おそらく谷川岳だろう。ちょっと先に行くと、錫ヶ岳と日光白根。残雪を少しばかり歩いて、木立ちの中の大平山山頂に到着した。9年ぶりである。山頂の陰湿さは変わらない。何の感慨も湧かない山頂だ。おにぎりを1個食べる。
まだ11時前だ。体力も残っている。社山に向かってもせいぜい2時間半。黒檜に向かう林の中の歩きはうっとうしい。社山に行ってもいいがと、社山の方を眺めると、社山直下の上りが、ここからではやけにきつく見えている。ヤメにしよう。同じく9年ぶりに南東尾根を下るか。
(山頂下の展望地からシゲト山と三俣山)
(そして、錫ヶ岳と日光白根山)
(シカか人間か知らないが、下りでは、踏み跡が明瞭)
(南東尾根に入る)
(改めて社山だが、鞍部からの上りがかなりきつそうに見える。実際はそうでもないが)
(半月山と、その奥に、先日歩いた薬師岳方面)
(尾根は広い。テープがないと、ヤブの中では進路を取りづらい)
(監視カメラ)
また、先ほどの展望地で山を眺め、ヤブの中を1805mに下る。下りは踏み跡を遠望できるから比較的に楽だ。シカ道を追う。しかし、完全なものではないから、時たまヤブになる。1805mで南東尾根に入る。ヤブは一時薄くなり、ひざ下になるも、すぐにまた高くなった。この尾根からの松木沢の眺めも壮絶である。失礼ながら、なかなかいい。親水公園の先も覗いている。この尾根と往路の右岸尾根との違いは、傾斜については同じようなものだが、こちらは雑木が多くヤブになっている。木にテープやリボンを多く見つけるが、尾根型が消えるところもあって、下りで使うには、こういう目印が助かることは確かだ。9年前にも、霧の中、テープ頼りに下ったことを思い出す。そういえば、あの時は、社山の南尾根から登って大平山に出たのだが、視界不良の中、よく大平山への分岐を迷わずに入れたものだ。今ならできまい。往時に比べて、体力、精神力、注意力も激減している。
ヤブが低くなり、尾根が明瞭になった。そして、1500mからは踏み跡もしっかりしてきた。やがて、左下には林道が見えてくる。実験用の器材だろうか、金属製の筒のような物を左に見て下ると、監視カメラ。林道に到着。少し休む。
(ここを歩く気はもちろんない)
この先、林道テクテクもまた、いい歩きができた余韻を楽しみながらの歩きでいいだろうが、2月に南東尾根の延長(正確には1356mからの分岐尾根だが)を歩いてしまっている以上、これを使わない手はない。末端寄りはシカ除けフェンス地獄ではあったが、こちら側はいい感じだった。地形図を見る。また地獄に入り込むつもりはない。1179mの三角点から南に松木沢林道に下れそうだ。RRさんご推奨の、その先のカラミの堆積を滑り落ちて下ってもいいが、RRさんが実際にやられた様子はないし、埋もれ込んだら大変なことになる。あくまでも、フェンス地獄の手前で松木沢林道に下るとなると、これコースしか考えられれない。
(件のフェンス尾根を下る)
(踏み跡が続いていた)
(三角点から。ここから右に下る。砂山のようなカラミの堆積場が見えている)
サルの群れを追いやって下る。2月の時は、尾根に雪がかぶっていたから知らなかったが、この尾根、しっかりした踏み跡がある。シカ道ではない。やはり、工事関係者なんかに使われているようだ。途中で、右や左に下って行く小道も見つけた。だが、三角点に至る前に、折れている感じ。20分で三角点に到着。あっ気なかった。
(最初のうちは、これを下って正解かと思った)
(そして、右手にフェンスが出てくる。この時点では楽観)
(シャツを破く。見事に直角に切れた。ユニクロもんだから惜しくはないが)
南に進路を変えて下る。ネットが出てきた。そして、フェンスになる。やはり、ここもか。フェンスに沿って下る。出入り口があった。解放状態。一応、閉めておく。枯れた草と乾燥した草が滑る。フェンスに手をかけて下るしかない。かなりのヨチヨチ下りが続く。ビリッと音がした。シャツの右腕を針金に引っ掛けてカギ裂き。代償を支払った。もう林道が行く手に見えている。あと150mほどの下りか。この時は楽勝と思っていた。腕がスースーする。風はやはり冷たい。
(フェンスも次第にややこしくなる)
(ここは下を潜った)
(これで解放されたと思い、山桜見物としゃれこんだ)
下に行くに連れ、フェンスは迷路のようになった。二重三重に張り巡らされている。正面のフェンスを開けて中に入った。左に行くと、袋小路。三角形の狭い空間に閉じ込められた。先を見ると、下を潜り出た跡がある。ザックを外して潜って脱出。ほっとしたと思ったら、また正面にフェンス。その先に作業道がある。どこを探しても出口はない。仕方ない。越える。グラグラして危なかった。その間、脇のフェンスを、サルが軽々と越えていたのを見た。ここで解放されたと思い、咲いている山桜を愛でたりして、作業道を進んだら、今度はここの出口もふさがっていて、かなり頑丈そうだ。戻って、正面の出入り口のあるフェンスの中に入った。ここは四方八方ふさがりで、反対側の出口の針金は太く、グルグル巻きにしてあるために開けられない。また戻って出直し。作業道にまた出る。なぜか、今のふさがりフェンスの中にはシカの死骸が横たわっていた。どうも意味のあるフェンスには思えない。シカのジャンプ力は2mもないだろう。
(ようやく最後。ひどい思いをした)
先ほどの頑丈そうなフェンス出口に向かう。ここがラストの関門だ。何とかして越えないと家に帰れない。だがハードルは高い。林道を緑化関係の人が通った時に大声を出して助けを求める図はどうも好ましくない。それ以前に似合わない。このフェンス、今風の物だった。よく見ると、金具が上下についている。いじっていたら、カチャッと外れた。何だ、こんな簡単な構造か。感心しながら外に出る。檻からようやく解放された心境。二重三重どころか、五重六重の金網であった。大方、いくつかの業者に仕事を投げ、横のつながりなく、勝手にフェンスを設置したのだろう。でなかったら、袋小路エリアなんかできるわけがない。出口の金網、どこかで体験したなぁ。かなり疲れ果てた。しかし、これに比べれば、延長尾根の末端寄りは「地獄」の修飾をするほどのものでもなかった。こちらの方が地獄だった。
(松木沢林道)
(親水公園駐車場)
石祠の前で一服して休憩。松木沢林道を親水公園に戻る。今日の歩き、いい歩きをしたが、フィニッシュがよろしくなかった。この南東延長尾根を使うのはもうヤメにしよう。破ったシャツももうおしまいだ。どうも自分の場合、始め良ければ終わり良しの展開にならないのが常のようだ。
河原で顔を洗い、手拭いで首筋も拭く。手拭いは真っ黒になった。大方、三角点の下りで汚れたものだろう。親水公園に着くと、気温は13℃と表示されていた。やはり連休。松木沢の山を眺める観光客の姿をかなり見かけた。
今日は社山馬鹿尾根を登ってきました。
当初は大平山まで行こうかと思いましたが、1179三角点峰からの下りが東尾根では馬鹿尾根からみるとかなり急そうで掴まるものがなさそうなのでやめました。林道歩きをする気はなかったものですから。
あらためて大平山をどう登ろうか考えます。
たそがれオヤジさんの今回の登りの尾根は急で厳しそうですね。
社山からの南東尾根の下りを参考にしようと思ったのですが、最後がネットマッチ大会でしたか。やはりペンチ等、道具を用意したほうが良いのでしょうか。南南東尾根の方はネット外かなと拝見したのですが、どこかで通過しなかったのですかね?黄色い花はもしかしてヘビイチゴではないでしょうか?毒はないが味もないらしいですけど。それにしても気持ちの良い尾根ですね。下りは野球親爺さんと同じく一考しようと思います。お疲れ様でした。
社山、バカ尾根ご苦労さまでした。あそこは長くてね。もう一度とは思っておりますが、今度は下りで使ってみたいものです。
野球親爺さんの記事のアップをお待ちすることにいたしますが、1179m三角点というのは、この記事の三角点のことですか?だとしたら、少々の誤解がありますよ。ザレ尾根の感じはしますが、ヤセてはいるものの、それほどのものではありません。私の場合と同様に、遠くから眺めると、急に感ずるものです。社山も、大平山から見ると、そんな感じがしましたから。
それから、今回の上りの尾根、急は急ですけど、最初の部分だけです。いい尾根です。歩いてみてください。
野球親爺さん同様に、足尾の山好きの方には、ぜひぜひ、この尾根を推薦いたします。暑くならないうちに、やってみてください。この尾根のネットに関しては、東側の沢から入ると、ネットが二重になっています。経験済みです。今回同様に、末端から堂々と登れば、苦しむことはありません。
この尾根、下りで使った場合、1545mに引き込まれると、その先、面倒なことになるかと思います。ご注意ください。
この界隈の歩きは、ペンチ必携かもしれません。ラジオペンチ程度では弱いです。
やはりヘビイチゴですか。図鑑で調べて、特定はしていたのですが、大恥かくのも何ですから、ぼやかしてしまいました。
ぶなじろうさんに間違われるとは、至って光栄ですが
上のは自分です。頑丈なペンチ購入しなくては(笑)
Unknownでしたので、つい、ぶなじろうさんかと。以前にもありましたものですから。
みー猫さんは、再来週かな、緑化ボランティアですよね。フェンスの針金を見ながら、今度は違う見地(ケンチ)からペンチを見つけてくださいな。シャレのつもりでした。
ただし、ペンチを使ったら、補強も必要ですから、針金もお忘れなく。
物凄いペース(山行回数)ですねぇ~。
ましてや、ハードコースをサラリと。
こちらは、ヘタレ歩きが続き、嫌になっています。
大平山は、体調を調えて是非とも行ってみたい所です。が、今の状態では無理ですね。大分先になりそうです。
そのK市の原チャリ実は自分のです。その日は小足沢左岸尾根から三俣山東の1970mピークに上がり、シゲト山から大平山に抜けました。大平山山頂には午後3時に着いたにもかかわらず山頂では栃木の滝の雪田爺さんとばったり。お互いの第一声が足有るよねには笑えました。
ではまた次回の足尾のレポート楽しみにしております。
連休中の山歩き、遠出はせず、回数で稼いだようなものです。
渋滞にはまって、混んでいる山に行っても、何の得にもなりませんからね。
ぶなさんのブログ拝見しましたけど、いい歩きをされているではないですか。まだまだです。試験とかもあったようですから。
体力測定コースで復活させてくださいな。
な、な、なんと。あれはRRさんのバイクだったとは。ぶなじろうさんの隣にお住まいじゃないですか。
ところで、小足沢の左岸尾根ですか? あんなところ登れるんですか。地形図では登れなくもないようですが、上も下もグチャグチャじないですか。信じられませんよ。
RRさんのことだから、まさか、大平山の南西尾根を下ったのではないでしょうね。
雪田爺さん、お会いしたいなと思っています。ご出身が、どうも私の田舎と近いようなんですよ。