011:からっぽ（富田林薫）

新しいからっぽの箱手にもって春の空気を詰めてまわろう

010:桜（富田林薫）

春の日のふんわりとしたスカートに落ちる花びら桜の予感

009:椅子（富田林薫）

あなたには座り心地のよい椅子を用意してます三月兎

008:親（富田林薫）

この春の親族旅行は中伊豆と決定しました異論はないわね

007:揺（富田林薫）

春風の囁きかけるブランコが前に後ろに揺れて日曜

006:自転車（富田林薫）

堤防を二人乗りする自転車の加速度数に迫る夕暮れ

005:並（富田林薫）

とてもよい毛並みの猫にさよならを告げてきましたもう会えないと

004:キッチン（富田林薫）

汚いぞ奥さんいるの黙ってたのねおまえなんかにゃワイドキッチンハイター

003:手紙（富田林薫）

街角で手紙魔まみを見かけたし笑っちゃうほど陽気な日でした

002:指（富田林薫）

一面の菜の花畑の一番のモンシロチョウはこの指とまれ

001:風（富田林薫）

北風の最終ランナー抜き去ってゴールテープは春の空色