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Today's latter

「夢」~鑑賞

2012-03-11 23:59:59 | 映画~DVD鑑賞等
黒澤明自身が見た夢を元にしている「こんな夢を見た」から始まる、8話のオムニバス形式の映画 

日照り雨
桃畑
雪あらし
トンネル

赤冨士
鬼哭
水車のある村

この映画を見ようと思ったきっかけは、「赤富士」のストーリーが、
富士山が噴火し原子力発電所が爆発し、放射性物質が放出され逃げまどう人々描いていたから。
映画の中では、目に見えない放射性物質に毒々しい色を付けて表現している。
子供を連れ逃げまどう女性、原子力関係に携わる男性…

このシーンを見ていると、まるで一年前の出来事を見ているよう…
そして、映画の結末は、私達の未来を見ているよう…

続く「鬼哭」では、核汚染され鬼となった人間達の姿を描いている。
自分達で引き起こした汚染から招いた地獄。因果応報か…

最後の「水車のある村」は、一転して美しい景色が。
近代文明を拒み、自然と共に自然に生きる。
電気など無くても、豊かに暮らし一生を終える姿が美しい映像で描かれていた。

黒沢明は、まるでこの一年に起こった事を予言していたかのようだ。
しかし、この映画が公開された当時はバブルだったし、
この「赤冨士」は、多くの人には意味さえ興味さえ持たれずに流されていったのだと思う。
私自身も、一年前の事がなかったら、リアル感無しSF位にしか思わなかったと思う。

前半の話の映像美やキャスト等を見ていると、相当お金をつぎ込んだ映画だと思う。
「桃畑」の引きで撮った映像は、圧巻 
原発のストーリーといい、巨匠だから撮れた映画だと思った。