まちや小(ぐわあー)

その先を曲がったら何があるのだろう、どきどきしながら歩く。そして曲がってみて気がついたこと・感じたことを書く。

エアインタビュー

2016年09月20日 | Weblog

「取材」しないで書く?

こんな記事が。

『『エアインタビュー疑惑』という捏造記事について

株式会社フロムワンとしては、『フットボール批評』の当該号が発売された2016年7月6日にすでに会社のHPにて、下記内容をアップしている。

2016年7月6日に発売されました『フットボール批評』(株式会社カンゼン発行)に、『ワールドサッカーキング』(弊社発行)のインタビュー記事に関する原稿が掲載されました。

その中には読者の皆様に誤解を与えかねない内容が含まれておりますが、「捏造記事」、「エアインタビュー」といった表現や内容は事実無根です。弊誌では現地記者を通じ、然るべき方法で監督や選手の取材を行っております。

出典:株式会社フロムワンHP

株式会社フロムワンとしては、これ以上の反論や否定記事を発信することは、正直、考えていなかった。なぜなら、田崎氏の指摘は全くの事実無根であり、単なる“妄想記事”であるからだ。それに対して反論を自社媒体で掲載することは、わざわざ、この“妄想記事”を掲載している『フットボール批評』の宣伝につながってしまうことになり、彼らの思うツボになりかねないと考えたためである。

だが、今回、「Yahoo!ニュース」に取り上げられたことによって、多くの方から問い合わせの連絡をいただいたこともあり、非常に不本意ではあるが、田崎氏が「エアインタビュー」と断言している『ワールドサッカーキング』の選手インタビューが、どのようなルートによって行われたものであるかを明らかにしたい。本来であれば、取材ルートについては、それぞれの媒体のトップシークレットであり(なぜなら、そこに各媒体ごとのノウハウがあるからである)、たとえ問い合わせがあっても明らかにするものではないが、今回に限り、我々の「無実の証明」のために、それを明かすことにする。

それでは、『フットボール批評』(7月6日発売号)の該当記事の流れに沿って、一つひとつ説明していきたい。まず、同誌67ページにて、『ワールドサッカーキング』に掲載していたメッシのインタビュー連載について、以下のように言及されている。

メッシのインタビュー連載は、ワールドサッカーダイジェストの競合誌である『ワールドサッカーキング』(フロムワン)でも二〇〇九年に存在した。

その中の一つ、二〇〇九年八月二十日号を引用する。

〈休暇を1週間も早く切り上げてチームに合流したのは、やる気の表れということかな? それともコンディション調整のため?

メッシ(以下M)――その両方かな。とにかく1日も早く練習を再開したかったんだ。家でゴロゴロしていると、どうも落ち着かなくてね。それに、チームメートにも早く会いたかったし。

今年のバカンスはどこで過ごしたんだい?

M――ロサリオの実家で家族と過ごしたよ。親戚や友達と会ったりして、本当にリラックスすることが出来た。

外出はしなかったの?

M――いや、実家でゆっくりした後に、CMの仕事でロサンゼルスに行ってきたんだ。まあ仕事といってもそれなりに時間があったから、ロスの町をのんびり観光してきたよ。

休養は十分取れた?

M――バッチリさ。〉

署名は〈インタビュー・文=ジェマ・エレーロ・カストロ 翻訳=高山港〉。

この原稿は、メッシと親しいジェマ・エレーロ・カストロがメッシをインタビューしたとしか読み取ることができない。

今井(※株式会社フットバリューアジア代表取締役・今井健策氏。該当記事によると、2008年から日本向けのメディアのメッシのインタビュー記事については、同社がコーディネートを任されているとのこと)がこの連載に気がついたのはしばらく経ってからのことだったという。

「雑誌はあまり読まなかったもので、気がついたら二十数回になっていた。ホルヘ(※筆者注:ホルヘ・メッシ、メッシの父親)に確認したところ、当然、ジェマ・エレーロという記者の取材は受けていませんでした。そこで、ワールドサッカーキングの編集長と副編集長に会って抗議しました。すると向こう側は、こちらの確認不足ですいませんと謝罪しました」

連載は続いたが、以降はジェマ・エレーロがメッシの近況を書き、時折、記者会見、ミックスゾーンなどでメッシが話したと思われる言葉をコメントとして入れる「構成記事」の形となった。

(以上、一部注釈を除き、原文ママ。この連載の筆者である「ヘマ・エレーロ・カストロ」の表記が「ジェマ・エレーロ・カストロ」に変えられていた部分は、そのまま掲載した)

まず、この連載を書いてもらっていたヘマ・エレーロ・カストロ氏の素性はというと、一般紙を含めて、スペインで最大発行部数を誇るスポーツ紙『マルカ』(※この表現は、該当記事の田崎氏の表現を借用させてもらった)のバルセロナ担当記者である。田崎氏の記事にあるように、確かに当時、今井氏とワールドサッカーキング編集部の間で、メッシのインタビュー連載についての話し合いは行われている。ただ、この記事にあるように、「こちらの確認不足ですいません」というような回答は全くしていない。

今井氏からの要望は、「今後、メッシの日本でのメディア露出については、メッシの父親のホルヘ氏からの依頼によって、すべて我々が管理することになったので、メッシの連載を取りやめてくれ」というものだった。それを受けてワールドサッカーキング編集部としては、『マルカ』のバルセロナ担当記者であるヘマ・エレーロ・カストロ氏がメッシに直接取材している事実を伝え、「だから、編集部としては、連載をやめることはできない」と回答した。

すると、今井氏は、「メッシのインタビュー連載が続くようならば、ホルヘ氏を通じて、現地での囲みも含めてすべて禁止にせざるを得ない」と主張してきたため、ヘマ・エレーロ・カストロ氏に迷惑がかかってしまうことも考慮し、インタビュー連載ではなく、ヘマ・エレーロ・カストロ氏が取材したメッシのコメントを構成して掲載する形に変更した。

以上が事実である。ヘマ・エレーロ・カストロ氏は、実際にメッシに取材して原稿を書いていたことは間違いない。該当記事では、父親のホルヘ氏がヘマ・エレーロ・カストロ氏の取材を受けたことを否定しているが、なぜ、常に練習の現場にいるわけでもないホルヘ氏が、取材の有無を判断できるのだろうか。むしろ、各回数千文字の原稿を計30回以上、『マルカ』のバルセロナ担当記者であるヘマ・エレーロ・カストロ氏が「捏造」することがあり得る、と田崎氏が考えていること自体、理解に苦しむ。

続いて、こちらも該当記事で「エアインタビュー疑惑」を投げかけられているレアル・マドリー関連のインタビュー記事について。以下が、該当記事の抜粋だ。

『ワールドサッカーキング』のハメスインタビューは二〇一六年三月号にも掲載されている。この号の表紙には《進撃の白い巨人》と銘打ち、表紙にはジネディーヌ・ジダンなどの写真が載っている。

ハメス同様にエアインタビューの疑いが濃いのは、ジダンである。彼は監督就任以来、一切の公式インタビュー取材を受けていないのだ。

この号のハメス、ジダン、そしてモドリッチのインタビューのクレジットはいずれも〈文・Jose Felix Diaz 訳:高山港〉となっている。Jose Felix Diaz(ホセ・フェリックス)は『マルカ』の記者である――。

筆者は、ホセ・フェリックスのメールアドレスを入手、〈日本では架空のインタビュー記事が蔓延している、日本のサッカージャーナリズムを正すために協力してもらえないか〉という文章と共に、〈貴方が行ったジダンやハメスの取材日時を教えて欲しい〉というメールを送った。しかし、一切の返事はない。

(中略)

ただ、エアインタビューと疑われる記事には二つ、共通点がある。

まずは、取材したときの写真が掲載されていない。

件のワールドサッカーキングのジダン、ハメス、モドリッチ――どれもインタビュー中と思われる写真がない。もちろん、時間の制約で電話で話を聞くこともあるだろう。しかし、これほど著名な人間への取材時の写真が全てないのは奇異だ。

二つ目はとにかく内容が薄いことだ。

監督や同僚批判など刺激的なものは皆無。インタビュー記事は時に大きな波紋を巻き起こすことがある。そうした可能性のない、ありきたりな内容に終始している。それは記者会見、あるいは囲み取材の内容を切り貼りしているから、かもしれない。

前出のメッシに加えて、ジダン、ハメスの“インタビュー記事”は、九九%、エアインタビューだと思われる。ただ、一〇〇パーセントと言い切れないのも事実だ。まさに悪魔の証明である。

(以上、原文ママ)

上記該当記事内にあるように、『ワールドサッカーキング』2016年3月号のレアル・マドリーにおけるジダン、ハメス・ロドリゲス、モドリッチのインタビュアーを務めたホセ・フェリックス・ディアス氏は、『マルカ』で長年(24年間)、レアル・マドリーを担当している記者である。『フットボール批評』の「エアインタビュー疑惑」記事を受けて、氏には3名のインタビュー記事の取材ルートについて、特別にオープンにすることをOKしてもらった。

まず、ジダン監督だが、ホセ・フェリックス・ディアス氏が明らかにしてくれた詳細によると、ジダン本人とマンツーマンでインタビュー取材をした上で、ボリューム的に足りないところを、囲み取材及び記者会見のジダンの言葉から補足しているとのこと。もちろん、囲み取材及び記者会見にはホセ・フェリックス・ディアス氏も同席しており、また、そこでのジダンの言葉をインタビュー記事として日本のメディアに掲載することを、ジダン本人はもちろん、ジダンの代理人アラン・ミリアッチョ氏、レアル・マドリーの広報部長カルロス・カルバホーサ氏、そしてレアル・マドリー会長であるフロレンティーノ・ペレス氏にまで了承を得ていると教えてくれた。

ハメス・ロドリゲスのインタビューに関しては、代理人のホルヘ・メンデスの承認を得て、本人へのマンツーマン取材したものに囲み取材のものを一部つけ加えているとのこと(もちろん、選手本人、代理人ともに了承済み)。また、モドリッチのインタビューについては、クロアチアサッカー協会会長のダヴォル・シュケル氏の協力の下、モドリッチが代表チームの試合のためクロアチアに戻っていた時に、ザグレブのホテルとスタジアムのロッカールームで実施したもの、だそうだ。

これのどこが、「エアインタビュー」なのか? 「捏造記事」なのか? 掲載した『フットボール批評』も田崎氏も、なぜ、もっとちゃんと裏を取らないのか?

「写真が掲載されていない」、「とにかく内容が薄い」、この2つがエアインタビューの共通点などという妄言が、どこから出てくるのか不思議で仕方がない。スター選手のインタビューでは、スポーツメーカー絡みの取材や現地紙とのタイアップなどの特殊なケースを除いては、残念ながら、インタビューカットを撮ることはできない。これには、取材のOKが取れるのが直前のことが圧倒的に多いため、時間的及び経費的にカメラマンを手配できない、という我々側の事情も含まれる。また、レアル・マドリーの3名に限って言えば、内容に批判的な内容などが乏しいのは、インタビュアーがホセ・フェリックス・ディアス氏という、レアル・マドリーを取材して24年、もはやクラブスタッフ以上にレアル・マドリーの人間になっている記者だということが大きく影響しているのは間違いない。メディアとしてこの点は改善の余地があるが、彼らスター選手のインタビューを取れるのが、現状ではホセ・フェリックス・ディアス氏しかいないため、致し方ない部分もある。

もう一つ、『ワールドサッカーキング』編集部の名誉のために、言及しておく。今回、掲載された「Yahoo!ニュース」の田崎氏の記事に、こうある。

「2015年5月から2016年6月発売の『ワールドサッカーダイジェスト』、2015年6月号から2016年5月号までの『ワールドサッカーキング』を調べたところ、それぞれ26人、46人の外国人選手、監督のインタビュー記事が掲載されていた。そのうち『ワールドサッカーキング』に絞ってみていくと、46本の記事のうち、半数近くには署名が入っていない。そして『外国人記者』の署名記事は19本。前述の“ホセ・フェリックス・ディアス”名義の記事が5本。」と書かれているのだが、該当期間の『ワールドサッカーキング』の記事を改めてチェックすると、外国人選手、監督及びスタッフのインタビューはそもそも60本以上あり、その中でインタビュークレジットがないのは2016年4月号ドルトムント特集内のカルステン・クラマー、ラース・リッケン、ハンネ・ウォルフの記事だけである。なぜ、この3人のインタビュー記事にクレジットがないかというと、このドルトムント特集はクラブが全面協力してくれた上で制作したものであり、この3人のインタビューに関しては、編集部が用意した質問に対して、クラブ側でインタビューを実施してくれているからだ(なので、クレジットには、協力=ボルシア・ドルトムント、と表記している)。

なお、記者の個人名ではなく、団体がクレジットに入っている記事が12本あるが、そのうちの9本はヘイターズ・チームワーク(Hayters Teamwork)という、50年以上の歴史を誇るイングランドのスポーツ通信社によるものだ。ヘイターズ・チームワークは、フットボール記者協会の会長も務めたジェリー・コックス氏が代表を務める、ロンドンに拠点を構えるフットボール記者集団である。残る3本は、『ワールドサッカーキング』が提携しているイングランドのフットボール誌『FourFourTwo』からの転載記事。いったい田崎氏は、どの媒体を調べているのだろうか?

加えて、田崎氏はこうも書いている。「エアインタビュー告発記事が掲載された後に発売となった『ワールドサッカーキング』(2016年9月号)では、これまで必ず何本か入っていた著名サッカー選手のインタビュー記事が消えた。」

これに関しては、もう、エアインタビュー云々ではなさすぎて、どうリアクションしていいか、わからない。『ワールドサッカーキング』(2016年9月号)では、マンチェスター・ユナイテッド&マンチェスター・シティの特集を組んでいるが、シーズン開幕前のアジア遠征含むプレシーズンマッチが連続していた時期と取材期間がかぶってしまったため、単純に選手インタビューが取れなかっただけである(唯一、マンチェスター・ユナイテッドのジェシー・リンガードはインタビューのOKが取れていたが、負傷により実現できなかったという不運もあった)。サッカー界の事情を知らないことで、こうも自分に都合の良い解釈ができるのかと感心する。ちなみに、当然ながら、次号以降の『ワールドサッカーキング』にはこれまでどおり、選手インタビューを掲載する予定だ。

案件が案件だけに、非常に丁寧に書く必要があったため、予想以上の長文になってしまった。今回、我々の潔白を証明するためとはいえ、インタビューの詳細について、根掘り葉掘り確認してしまったホセ・フェリックス・ディアス氏には、本当に申し訳ないことをしてしまった。なお、蛇足ではあるが、ホセ・フェリックス・ディアス氏は、同じ『マルカ』の記者であり、今回の『フットボール批評』の該当記事にて、「エアインタビュー疑惑」の根拠を後押しするコメントをしているダビド・ガルシア・メディーナ氏を叱りつけ、すぐさま『フットボール批評』側に抗議の連絡をするように伝えたとのこと。昨年の9月に、アトレティコ・マドリー担当からレアル・マドリー担当に替わったというダビド・ガルシア・メディーナ氏にとっても、今回の一件は災難でしかない。おそらく本人としては、まさか自分の発言が、大先輩の記事を「エアインタビュー」だと断定するために使用されるとは思っていなかったであろうから。

そもそも、『フットボール批評』及び田崎氏はなぜ、すでに話を聞けていたダビド・ガルシア・メディーナ氏を通じて、ホセ・フェリックス・ディアス氏に今回の件の確認をしなかったのか、それが不思議でならない。それさえしてくれていれば、このような“妄想記事”を世に出さずに済んだのだから。

株式会社カンゼン及び田崎氏は、今回の“妄想記事”によって、『ワールドサッカーキング』や『ワールドサッカーダイジェスト』だけでなく、きちんとした取材を行って、この出版不況の中、何とか雑誌を出し続けているサッカー雑誌メディアの人々に対して、どのようにして償いをするのだろうか。「サッカー雑誌は恒常的にエアインタビューをしている」という誤ったイメージを流布してしまった罪は、あまりにも重い。

サッカーキング統括編集長 岩本義弘』

※はてさて、なにが真実なのか?


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