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歌劇「カバレリア・ルスティカーナ」

2016-02-23 21:06:59 | ロマン派

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、1880年ジョバンニ・ヴェルガが書いた小説をもとに、ピエトロ・マスカーニが1890年作曲した歌劇です。

25歳のマスカーニが、オペラのソンゾーニョコンクールのために作曲したものです。
オペラにするにあたって言葉を、改作するために、タルジョーニ・トッテェッティー故郷の23歳のグィド・メナッシが台本を書きました。

5ヶ月で仕上げ、コンクールに出しましたが、審査員の前のプレゼンテーションは歌手や器楽奏者を伴うことも許されていましたが、お金が無いマスカー二は、自分でピアノを弾いて自分で歌うというやり方でした。しかし、審査が進むにつれ、曲の圧倒的な素晴らしさに、審査員の一人が歌の部分を歌うというほどで、最終審査では、もう大差で結果は出ていました。

初演は1890年ローマで、ソンゾー二社によって、素晴らしい配役で行うことができ、満席、再演14回という大成功を収めたのでした。

「カバレリア・ルスティカーナ」の意味は「田舎の騎士道」という意味です。
イタリアの南部シチリアに実際に起きた事件をもとにした歌劇です。

復活祭(春分の日後の最初の満月に行われる。架刑にされたキリストが3日後に復活したことを祝わうお祭り)で村中が沸き立つ中。

村の青年トゥリッドゥは人妻ローラとの恋を楽しむ歌を歌いだします。

トゥリッドゥは、ローラと永遠の愛を誓っていたのに、兵役に行っている間に、ローラはアルフィオと結婚してしまっていたのでした。
その後、トゥリッドゥは、サントッツァと婚約しますが、そのことを妬んだローラは、彼を誘惑し、不倫関係になってしまいました。

トゥリッドゥの母ルチアの居酒屋に、婚約者サントッツァが恋人の裏切りを悲しみながら現れます。
そこに何も知らず上機嫌のローラの夫アルフィオがやってきます。

復活祭を祝う合唱の後、サントッツァは、黙っていようと思ったのに、ローラに侮辱され、さらに、トリッドゥにローラの機嫌を損ねたと責められ突き飛ばされ、怒りに駆られて、アルフィオに二人の裏切りのことをしゃべってしまいます。

妻と友人の裏切りに怒り心頭のアルフィオは、復讐を誓います。

そこで、演奏されるのが、交響的間奏曲。
「天の后よ、喜び給え・・・」と聖堂の中で、聖母マリアにイエスの復活を告げ喜ぶ、復活祭の合唱と
同じ旋律が、オーケストラだけで演奏されます。

さて、復活祭の礼拝の後、トゥリッドゥはアルフィオと静かに抱き合った後、相手の耳をかみます。
これが、田舎の騎士道。決闘の申込の作法です。

酒場で、トゥリッドゥは酔ったふりをして、母のルチアにそれとなく別れを告げ、困惑したルチアを残して決闘に向かいます。

その後、聞こえる女たちの叫び声、「トゥリッドゥが殺された!」
残されたルチアと、サントッツァの絶望の叫びとともに、幕が降ります。

1870年代から80年にかけてのイタリアは普仏戦争の影響から、疲弊し、特に南イタリアの農民の貧困はひどく、暮らせない人々がアメリカに向けて多勢移民するような状況でした。

軍役に出たせいで、人生を狂わせた男と、残された女たちの悲劇。
誰ひとり幸せにならないこういう事件は、当時の南イタリアの小さな村々の、戦争によって深刻なダメージを受けた現実でもあったのです。

美しいアリアがたくさんありますが、交響的間奏曲は、世界で一番美しい間奏曲とも言われ、後にマンツォーニが「アベマリア」という歌詞をつけ歌われるようにもなりました。