空飛ぶ自由人・2

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映画『PS―1 黄金の河』

2024年05月27日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

10世紀、南インドで繁栄を極めるチョーラ王朝。
スンダラ王の子供は男の兄弟と娘の3人。
長男のアーディタは北方で、
次男のアルンモリは南方で、
領土拡張のための戦いを繰り広げ、
妹のクンダヴァイは父王と共に都に残る。
しかし、パルヴェート侯を中心とした臣下たちは、
前王の息子を次期国王として擁立する陰謀を進めていた。
遠く離れた3人だが、不穏な動きを察知し、
これに対抗すべく密使を送り出す。
パルヴェート侯の美貌の妻、ナンディニは、
夫を陰で操り、チョーラ王朝に揺さぶりをかけようと画策するが、
その裏には、アーディタとの過去の悲恋があった。
孤児であったナンディニは、
皇太子の妻にふさわしくないと引き裂かれてしまったのだ。

こうして、兄の戦場、弟の戦場、都での謀反、
王と妹の対策、密使に選ばれた若い騎士・デーヴァンの動きが
モザイクのように物語を織りなす、壮大なドラマが展開する。


1950年、インドで生れた伝説的な歴史小説が原作。
インド南部のタミル地方に実在した
チョーラ王朝の宮廷を舞台にした愛憎と陰謀、
国の存亡を懸けた戦いの物語「ポンニ河の息子」
タミル語の週刊誌で4年に及ぶ長期連載となり、
著者のラーマスワーミ・クリシュナムールティ
完結後しばらくして死去したが、
1955年に全5巻2200ページ超及ぶ
大河小説として刊行されてベストセラーとなり、
今日まで70年にわたって新しい読者を獲得し続けるロングセラーとなった。


それから70年。
何度も映画化が試みられたが、
その壮大なスケールから難航を極め、
撮影技術の進化やインド映画界の大作主義指向を背景に、
遂に2部作に及ぶ一大映像絵巻として完成
王位継承を巡る陰謀と兄弟の力を合わせた戦い、
美貌の女性との悲恋、壮大なスケールの戦闘など、
娯楽映画の定番を織り込んだ、壮大な歴史絵巻。
「映画は娯楽だ」というインド映画らしさがあふれた作品。
冒頭のタイトルバックの音楽からワクワク感が止まらない。
歌も踊りもあるが、今までの映画とは一味違う。

第一王子アーディタにヴィクラム


第二王子アルンモリにジェヤム・ラヴィ


若き騎士デーヴァンにカールティ


妹王女クンダヴァイにトリシャー・クリシュナン
悲恋の美女ナンディニにアイシュワリヤー・ラーイ


なかなか顔の区別がつかない。

監督・共同脚本・共同製作はインド映画の巨匠マニラトナム
音楽監督が、2008年の「スラムドッグ$ミリオネア」で
米アカデミー賞の歌曲賞と作曲賞を獲得したA・R・ラフマーン
この方「踊るマハラジャ」(1995)も担当している。
ミュージカル「ボンベイ・ドリーム」も彼の作品。
音楽が映画にとってどれほど効果を揚げるかがよく分かる。
特に、アーディタのナンディニへの恋情を歌い上げる場面は、しびれる。

原作が壮大すぎて1作では収まらず、
2部作に。
今回公開された「PS-1 黄金の河」は2022年製作、
続編の「PS-2 大いなる船出」は、翌2023年製作で、
6月14日から公開される。

5段階評価の「4」

新宿ピカデリー他で上映中。