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引っ越しました~
by lotusruby

『女はみんな生きている』 (DVD)

2008-03-04 22:08:32 | Cinema な時間


『女はみんな生きている』
原題:Chaos   (フランス 2001年)
監督: コリーヌ・セロー
出演: カトリーヌ・フロ、ラシダ・ブラクニ、ヴァンサン・ランドン

「『サンジャックへの道』がよかった」と同僚に話したら、それなら同監督のコレを見るべしと勧めてくれた。

『サンジャックへの道』で見たコリーヌ・セロー監督が描く家族像とは、また違った家族と、男と女の関係がなんとも「痛快」に描かれている。ここでは女性中心で話は進むが、決して押し付けがましいフェミニズムを主張しているものではない。男にしてやったり・・・となるから痛快なのだけど、爽やかな後味が魅力。


ある晩、エレーヌ(カトリーヌ・フロ)と夫ポール(ヴァンサン・ランドン)の乗る車に、男たちに追われた女が血まみれになって助けを求めてきた。しかし、ポールは面倒なことに巻き込まれたくないためそのまま走り去る。翌日、エレーヌは、昨夜のことが気にかかり救急病院で、重症の女を見つける。

その女は、ノエミ(ラシダ・ブラクニ)という名の娼婦で元締めの組織から追われている。エレーヌは、家事も仕事もなげうって彼女の介護に励む。そして奇跡的に回復したノエミから、ノエミがここにそこに至った理由を知ることになり、エレーヌとノエミの復讐劇が始まる。

エレーヌを取り巻くのは、どこにでもいる女にすぐ夢中になる平凡な男たち(夫や息子)。ノエミを取り巻くのは、とことん女を食いものにする男たち。対照的な存在のようだけど、根底は同じで、どちらも女がいないと何もできない。エレーヌの夫や息子は、エレーヌがいないと家の中はてんてこまい。夫は仕事が生きがいと粋がっているが、所詮、洗い物ひとつ、アイロンひとつできない。ノエミを取り巻く男たちはノエミが金づる。自ら何も生み出すことはできない。どちらの男たちもビジネスという鎧を脱ぐと、「生活力」というものに欠けている

その点、女は強い、したたかというわけだ。したたかな上に、突発的に何かに走る情熱も持っている。邦題が『女はみんな生きている』なので、より「女の映画」が誇張されてしまいそうだが、原題は『Chaos』。「混沌」という意味。さて、何が混沌なのだろう。この世には男と女しかいないけど、男女関係はもちろん、人間関係は複雑きわまりない。

この作品で描かれる女性は、どこかひとつスジがピンと通っている。ただ男を見返してやろうという復讐だけではなくて、複雑きわまりない男と女の関係の見直しを迫られるような、意気込みが感じられる

エンディングのシーンは、男と女のあり方、家族のあり方が象徴的に描かれているように思える。

とは言いつつ、そんな深読みせずとも、とにかくスピード感があって十分に面白い。

 『女はみんな生きている』HP ( link to)
 



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