『輝ける青春』
原題: La meglio gioventu (2005年 イタリア)
監督: マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
出演: ルイジ・ロ・カーショ、アレッシオ・ボー二 、 アドリアーナ・アスティ 、 ソニア・ベルガマスコ 、 ファブリツィオ・ジフーニ 、 マヤ・サンサ 、 ジャスミン・トリンカ
もう1ヶ月も前に見た作品ですが・・・
この作品、第 56 回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」でグランプリを受賞したイタリア映画で、な、な、なんと、これ 6 時間以上もある大長編映画。こういう作品は、たっぷり時間のある時にしか見られない。
もちろん、こんな大作が私を惹きつけたのには、私になんらかの下心があったから・・・
昨年の釜山国際映画祭で、見たい映画のチケットが売り切れで、チケット売り場で 「じゃ、こっち」 と適当に選んだのがイタリア映画 『マイ・ブラザー』。これが適当な選択だったにもかかわらず 「当たり」 の作品で、しかもイケメン発見 今、イタリアでモテモテ大人気のリッカルド・スカラマッチョ。
リッカルドが 『輝ける青春』 に出演と知り、出演シーンが少ないとは聞いていたけれど、とりあえず友人から DVD を借りて見てみた。さすがに 6 時間という長さに怖気づかないこともなかったけれど、これを見た友人は、もう大絶賛で、「ぜひ見てほしい」 とずっとプッシュされていたことも、さらに私を後押しした。
『ロード・オブ・ザ・リング』 みたいなアドベンチャーじゃないし・・・。DVD プレイヤーのトレイに DVD を入れるまでに決心が必要(笑)。
意を決して Disc 1(前半)再生、3 時間・・・
トイレにも立たず、お茶を淹れに台所にも行かずに一気見 。
この作品は、あるイタリアの家族の 1960 年代~現代までを描いた作品。『マイ・ブラザー』ともテーマが似ているのだけど、この作品も性格の異なる仲の良い 2 人の兄弟ニコラ(ルイジ・ロ・カーショ)とマッテオ(アレッシオ・ボー二)を中心としたその家族と周囲の人間をじっくり描いている。
フィレンツェの洪水、トリノの学生運動、そして「赤い旅団」のテロ活動といった事件など、政治的、社会的な背景が盛り込まれていて、イタリア現代史を垣間見ることができる。
頭も要領もよくて、うまく世の中に適応して精神科医として律儀に生きていく兄と、ガラスのように心が繊細で人生とうまく向き合えない不器用な警察官の弟。性格は対照的で、生き方もそれぞれだが、強い絆で結ばれている。彼らを取り巻く、家族、友人や女性たちも人間味に溢れていて個性豊か。
俳優陣が上手いということは言うまでもなくて、超大作なのに肩肘を張ったところがなくて、お仕着せなところもない。美しいイタリアの街や田園風景が、そこに住む人々の叙事詩をひきたてていて、見ごたえがある。
兄役のルイジ・ロ・カーショは 20 代から 60 代までを演じているのだけど、40 年という年齢の経過に何の違和感もなく、メイク、衣装、美術や撮影技術のレベルの高さにも素人なりにちょっと感動。
で、肝心のリッカルド。鑑賞を始めたら、次なるイケメン、兄役のルイジがステキで釘付けだったこともあり、リッカルドのことはすっかり忘れていた。後半途中になって、あれ、リッカルドは気付かないうちにもう出てきちゃったのかしらと思ったのだけど、何しろ長いので巻き戻すこともできず・・・まぁいいかとそのまま見続けて、もうほとんどエンディング近くで、リッカルド発見 おお、こんなところに。
6 時間以上を完走ということで、自己満足なのかもしれないのだけど、最後は涙とか号泣では説明のつかない、なんというか 「心震える」 というエンディングで、今思い出しても背中がゾクゾクするぐらい良かった。
Luigi Lo Cascio