Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『魔笛』 (DVD)

2008-04-14 22:16:17 | Cinema な時間


『魔笛』
原題: The Magic Flute (2006 年 イギリス)
監督: ケネス・ブラナー
出演: ジョセフ・カイザー、エイミー・カーソン、ベン・デイヴィス、シルヴィア・モイ

   

過日、祝祭音楽劇 「トゥーランドット」 鑑賞辛口トピをあげたら、拙宅へのアクセスが倍増し驚きました。やはり人気者が揃っているだけあり、話題の作品だったのですね。ちょっと辛口すぎたかと

オペラのミュージカルリメイクに関連して、以前からちょっと気になっていたケネス・ブラナー監督作品 『魔笛』 を見てみました。ケネス・ブラナーについては、映画 『スルース』 の時にもチラリと触れましたが、英国演劇界を代表する演劇人です。

映画 『魔笛』 は、モーツァルトのオペラ 「魔笛」 の映画リメイクとでも言いましょうか。
音楽はオペラそのままで、歌詞はオリジナルとは異なり、またドイツ語ではなく英語で製作されています。

もともとオペラ 「魔笛」 も演出や美術は、上演する歌劇団や制作チームよって多様で、モダンなものもあれば古代風のものもあり、私が見たのはやはり NY メトロポリタン歌劇で古代オリエント風な舞台設定でした。

当時は何も知らなかったのですが、あとで、私が見たその日の舞台が DVD(LD)に収録されていることがわかり、今や伝説の舞台(?)となっているようです。舞台美術がデイヴィッド・ホックニーだったことと、華麗なキャストが話題だったようです。

こちらが MET の DVD (amazon)
     



映画 『魔笛』 の背景は、第一次世界大戦風で、この世の光と闇を 「戦争と平和」 というテーマで描いているように思えました。何しろ、夜の女王が戦車  に乗って登場しますから、その斬新さに思わず、おおーっ、と声をあげてしまいました。

ストーリーも、オリジナルとはまったく違いますが、キャラクターの設定はかなり凝っています。舞台
の至近感覚と映像のスケール感を組み合わせて、リアルな部分とファンタジックな部分を交互に映し出しているのですが、正直、映像より、奥行き間のある舞台で見た方がステキじゃないかしら、などと思っていたのです。

ところが、この DVD を見た直後に NHK の「その時歴史が動いた」(4 月 9 日放送)でモーツァルトとオペラ 「魔笛」 が取り上げられていて、なんてグッドタイミングなのかしらといそいそと番組を見ました。

オペラ 「魔笛」 は、伝統的に貴族階級のものだったオペラを、市民が親しめるものに書き下ろしたいというモーツァルトの信念で生まれた作品であったこと。イタリア語でしか書かれることのなかったオペラを、市民がわかるドイツ語で書いたこと。フランス革命に始まったヨーロッパの 「革命」 の潮流と同じく、オペラ 「魔笛」 が音楽の市民革命として生まれたいう内容でした。

この番組を見たら、なるほど映画にするのも意味があるかもしれないと受け売りもいいとこですが、すっかり納得してしまいました。

たとえば、海外のオペラが来日公演を行ったとしても、いまだに気軽に見に行けるというものではなく、一部の愛好家のものですよね。
何しろあのチケットの値段は半端じゃありません。S 席で見ようなんて思ったら、2 人で行くと 10 万円越えるのが当たり前。興味があったとしてもすべての人が、劇場へ足を運べるわけではありません。

舞台もステキに違いないですが、映画にすればより多くの人に見る機会を与えるということに繋がるのですね~。

映画にしろオペラにしろ、いろいろなバージョンを見るときっと面白いと思います