Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『三人三色』(DVD)

2007-06-09 23:40:33 | Cinema な時間


(Image source: amazon)

『デジタル三人三色(디지털 삼인삼색)』は、チョンジュ(全州) 国際映画祭の肝煎りの企画。毎年3人のアジアを中心とする新進気鋭の監督を3人選び、デジタル短編オムニバスを製作。2004年のデジタル三人三色(『Digital Short Films by Three Filmmakers 2004』)は、韓国からポン・ジュノ監督の『インフルエンザ(인플루엔자)』、中国からユー・リクウァイ監督の『夜迷宮』、日本から石井聰亙監督の『鏡心』。

これを見て、作品のお国柄を語ってしまうのはとても拙速だとはわかっているものの、それぞれステレオタイプなお国柄が作品性に現われて凝縮した感じがした。

 この3作品の中で、最もバイオレンスが目を引くのは『インフルエンザ』(監督:ポン・ジュノ)。

ソウル市内の監視カメラを駆使して撮影されたところが斬新で、ひとつひとつのカメラから覗くさまざまな人間の生態を構成している点が面白い。

海外にいる韓国人留学生が、留学先(アメリカ)で「バイオレンスな作品、女性を侮辱する作品を見たら韓国映画だと思え」と周囲に言われ、とても傷ついたという記事を読んだことがあるが、国際映画祭などで紹介される韓国映画がバイオレンスものに偏っているのは否めない。昨年の東京フィルメックスでもリュ・スンワン監督が、「(韓国映画は)実際はテーブルでお茶を飲んでいるような作品が多いのに、海外の映画祭で紹介されるのはバイオレンスものが多いので、そういうイメージがあるようだ」と言っていたけれど。

この『インフルエンザ』でもとくに後半、監督自ら暴力ウイルスと語っているように、バイオレンスへの連鎖がひときわ際立っている。監視カメラを通して見るから余計にリアルで、日常的な凶暴性を映し出しているのだけど、フィクションなのだかノンフィクションなのだかだんだんわからなくなりそうなところが怖ろしい。


 空間軸、時間軸を歪めたような演出のSF『夜迷宮』(監督:ユー・リクウァイ)。

タイトルどおり迷宮そのもので、空間と時間は特定できない。なぜか『2046』を少し思い起こさせる。無声映画を見ているような気分。監督いわく、サイレント映画へのオマージュらしい。

踊ったり歌ったり姿が唐突に現実的で、シュールな空間とリアリズムの空間を自由気ままに移動しているような気がする。色彩感覚が大陸的。


 臨死体験を映像化した『鏡心』(監督:石井聰亙)。

映像は美しいし、ただ美しい映像をつなぐだけでなく、心象風景や臨死体験を象徴するような自然美をストーリーに乗せているところは、素人の私にさえ映像編集の上手さが伝わってくる。

ストーリー自体は、女優兼脚本家の苦悩を綴っているが、苦悩そのものは苦悩する者のみぞ知るとでも言いたげ。臨死体験の映像化というのはそれほど珍しい設定でもないような気がするので、面白さはあまりないかな・・・。