倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

避難情報の難しさ

2021-07-05 | 日記

静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区で 3日朝に突然の形で発生した土石流災害は、発生から2日が経過しようとしており 関係者による救助捜索作業に全力が尽くされていることが報じられています。

 

 

 

と いうのも、災害においては「72時間」が ひとつのタイムリミットとされているからです。

発災から連絡が取れなくなっている人に 万が一生命の危険が及んでいるとすれば、その発見(救出)が72時間以内に行なうことができれば人命の救助につながりますが、もし それ以上の時間を要してしまった場合には、場合によっては生命に危険が及ぶことになってしまうかもしれないのです。

今回の災害においても、発災後 次々に「救助・発見」の報が伝えられてはいるものの、依然100名を超える方々(住民基本台帳に基づく)と連絡が取れない状態が続いており、さらに言えば 当地は別荘等もあることから、居住者では無い人(住民票の無い人)も逗留していた可能性もあるとのことで、正確に何人が被災現場に居て どの位の人が実際に被災したのか判然としないのが現状とのこと…行政サイドにおいては 被災の実態把握も含めて難しい対応を余儀なくされていることが併せ報じられています。

 

いずれにしても、非常に短い時間の間に域内を流れ下った土石流は あらゆる面で関係者の想定を大きく超えた被害を及ぼしたことだけは間違いの無いところであります。

 

 

 

 

その後の報道で、被災地の上流(上部)には かつて数万トンに及ぶ土砂の〝盛り土〟が行なわれた経緯があり、今回は その盛り土を含んだ土砂がごっそりと崩れた「深層崩壊」の可能性が指摘されています。

 

 

 

 

と いうことは、今回の土石流災害の要因には 何らかの人為的なもの(造成工事)も絡んでいるということにもなり、事態は複雑化することも考えられることになりました。

今後、災害の原因究明が行なわれる中で どのような結論が導き出されるのか…それは 同様の災害の再発を防ぐ意味においても注視されるところでありましょう。

 

また 今回の災害に際し、行政からの避難の呼びかけについて さまざまな評価があるところです

折しも 国においては、避難情報に関するガイドラインを より判りやすいものに改定し、5月20日から施行されています。

 

 

 

従来の「避難準備・避難勧告」が廃止され、レベル3を「高齢者等避難」とし レベル4は「避難指示」となり、情報を受けた人が より避難行動に結びつけやすくなったことが啓発されています。

そのうえで…今回の被災地域においては「レベル3」が発令されていたことが伝えられています。

このこと(発令)については その(発令レベルが3か4かの)判断について、さまざまな評価がされておりますが、当時の天候をみたときには 雨は小康状態となっており、それを踏まえ 現場の判断は「レベル3」となったようです。

しかし 実際には、あのような大規模な土砂災害が起きてしまった。

 

ここには、降雨などによる災害の〝見えざる危険〟を感じ取らざるを得ません。

今回の伊豆山での土砂崩れについては、降雨は 一時(いちどき)に大量に降るのではなく、数日間に亘って間断なく降り続いたものでありました。

 

 

 

 

すなわち、長時間に亘る降雨が 現地の土中にたっぷりと水を染み込ませ、短時間でザッと降った雨よりも はるかに多い水分を土中に蓄えさせることとなってしまいました。いわば ボクシングのボディブローの如く、時間をかけてダメージを与え続けたとでも申しましょうか。

そこに、側聞すれば 当地域は「火山土」で崩れやすい土質とのこと、さらには 前掲の「盛り土」などが悪しき条件として重なったことが、今回の甚大な被害の〝総合的な原因〟となったようです。

 

今回の熱海の土砂崩れは、私たちに 新たな教訓を遺(残)すこととなりました。

避難の基準は、現時点で激しい降雨があるか否かだけでは無く、(遡(さかのぼ)って)累積した降雨量がどの位あるか(あったか)をも見定めなければならない。

併せて 当該地の地勢などの特徴も加味しなければならない。

 

 

今もなお、現地(熱海市伊豆山)では 時計を睨みながらの必死の救助・捜索活動が継続されています。

1分1秒でも早く 全ての方々の救助・発見が成されることを願って止まないところであります。

 

 

なお、長野市における 現時点での被災市(熱海市)への対応については、当市(また県・国など関係機関)から支援要請があった時点で直ちに対応することにしておるとのことであります。

長野市も さきに被災した際には、全国の自治体から支援していただいたことを常に胸に置き、要請には全力で応える所存 とのことであります。