倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

障がい者支援のハズが「人権問題」に

2023-09-02 | 日記

さきのブログ記事の続編です。

障がい者 とりわけ知的・精神障がい者支援に取り組む「Gota」チームのMキャプテンが、新たな問題を提起してくれました。

障がい者の「人権」に関する問題提起です。

 

Mキャプテンは 2つの事例を挙げ、障がい者さんの人権が 本来は障がい者さんを支援(庇護)する立場の者(法人など)の都合で、いわば蔑(ないがし)ろにされている実態を問題視しています。

1つめの事例は 高松市から。

同市内にある障がい者支援施設(自閉症と診断された 重度や最重度の知的障害者を中心に現在47人が利用)が、職員不足を理由に 利用者11人の契約を解除すると保護者に通知してきたのです。

 

 

 

 

この施設には、自閉症のうち 自分や他人を傷つけるといった行動が頻繁に現れる「強度行動障害」がある人もいて、家庭や地域での生活が難しいことから 施設は欠かせない存在として利用されています。

今回の利用者との契約解除の背景には 施設職員の大量退職(30名のうち12名が退職)があり、そのまた背景には あろうことか施設内部における問題(幹部職員から部下へのパワハラ)があったとのことなのです。

高松市によると、この施設については 2020年以降内部告発などが相次いでおり、同市は運営法人に対して無期限の特別監査に入ったうえで 関係者のヒアリング・口頭や文書での指摘を行なってきたとのことでしたが、どうやら改善には至らなかったようです。

この状況について 高松市のO市長は「利用者や保護者の同意なしに利用者を強制退所させるということは人権上問題があり、あってはならないものだと考えている。もし利用者の強制退所ということになれば、法人に対して社会福祉法に基づく業務改善勧告を出すことも視野に入れている」と説明しています。

しかし現状は いわばにっちもさっちもゆかない状況に陥っているようです。

施設側は「新規職員の採用も難しく、利用者の安全と残った職員を守るためには苦渋の決断だった。理事会では 家族の方から他の施設に移ってくれる人を募る案も出たが、最終的には定員を減らすしかないという結論に至った」と説明したうえで、契約を解除する11人の人選については「障害の特性や 家族構成などを総合的に勘案して選定した」としています。

これに対し 保護者の多くは以前から施設側に説明会の開催を求めているものの、それ(説明会)が行なわれていないことから 今回の解除通知に対して「職員減少は契約解除の理由に当たらない。そのうえで 説明会が実施されない限り契約解除には応じない」としており、議論は平行線を辿ったままであることが報じられていました。

 

 

2つめの事例は、ここ長野市から。

精神障がいをもつ人(Aさん)が、本人の希望や 通所施設の関係者からの勧めにより就職しようとした施設について、結果的に就職に至らなかったものの いわゆる研修として就労した日数分に発生するハズの賃金が、関係者(ケアマネ・主任)の手で書類が作られていなかったことをいいことに〝(就労が)無かったこと〟にされていたのです。

そのうえ この就職の斡旋について関係者は、本人の意向や適応などを度外視したように「歯をくいしばってでも(一定期間)頑張れば正社員になれるのに」などと、本来はAさんに寄り添って支援すべき立場の者が まるで厳しい監督官のような口ぶりで事(こと)に当たっており、これは不適切対応の誹(そし)りを免れないと言わざるを得ない状況です。

障がい者さんの就労移行は いわば薄氷を踏むような非常にデリケートな作業であること、そのことは百も承知のハズの関係者が 何ともデリカシーの無いままに話しを進めたあげく 成立しなかったら「しょうがないね」と結末をつけ、そのあげくに せっかく就労(研修)して得られるハズの日給を無かったことで済ませるというのは、いったい誰のための存在なのかと聞きたくなるような〝職務怠慢〟ぶりでありましょう。

 

この2つの事例の共通点は「施設都合」に他なりません。

高松市の事例は、職員間のパワハラを要因とする職員の大量退職について そのツケを利用者(障がい者)さんに回したあげく、施設の存続を最優先させようとしている。

長野市の事例は 一見すると利用者(障がい者)さんのために動いているようだが、その実(じつ)は 思慮(配慮)も浅いままに話しを進め、成立しないとなったときには 利用者(障がい者)さんの立場(日給を受ける権利)を度外視したままに完結している。

 

「これは完全に人権問題だ」とMキャプテンは断じ、私もそう思うところです。

事ほど左様に、障がい者さんの人権が置き去りにされたまま 施設や団体だけが温存され維持されているとすれば。

一体、誰のため・何のための障がい者支援施設(団体)でありましょうか。

 

そのうえでMキャプテンは「この際、市民に問いたい」と吐露します。

「この 内向きな事業。どう考えても 目的(障がい者支援)に副(そ)っていないのに、それが何の疑問も抱かれずに運営されている実態がある。これはどう考えてもおかしい。」

「だから この際は、広く市民に(実態を)知ってもらい、それでイイと思うか問いたい」と。

 

「Gota」は、さまざまな媒体を通じて 地域における障がい者支援の実態を伝え、それを市民に問うたうえで(問題を)正してゆきたいと考えています。

そのために為(な)すべきことを模索し、実行に移してゆくことになります。