この日(27日)、市民の有志の方々と、長野市の体育館 もっと言えば市内の公共施設の在り方について意見を交わす機会があり、その席で これから市(行政)と胸襟を開いて「共に考えてゆきたい」旨で一致しました。
今回の動きは、そもそも「施設の廃止に反対」を訴える方々の要望を聞き取る中 イイ意味で派生していったものです。
長野市は、市内に3ヶ所ある「勤労者福祉施設(勤労青少年ホーム)」を再編すること、その一環として 施設内に設置(併設)されている体育館を廃止する旨を「勤労者福祉施設の再編について」として打ち出しました。
その(再編の)理由として 長野市は、さきに「勤労青少年福祉法・勤労婦人福祉法」が改正されたことや、それぞれの施設の老朽化や 少子高齢・人口減少社会が伸張していることなどを踏まえ、かかる勤労者福祉施設について「新たなコンセプトの下で 具体的な施設の集約化・長寿命化の検討が必要」として、これまで別々だった勤労青少年ホームや働く女性の家を「勤労者活躍支援センター」としたうえで整理・統合するとしています。
その再編計画の中では、それぞれの青少年ホームに併設される体育館を廃止するとしているのです。
そしてその念頭には、向こう10年のうちに自治体が所有する公共施設(の床面積)を20%削減せよという「公共施設マネジメント」があることは言うまでもありません。
この、体育館の廃止を含んだ再編計画に対し かかる体育館を利用する方々から強い反対の声が上げられ、利用者を代表した何人かの方々が 議会(有志議員)に対し、施設の存続を求めて足を運んでこられたのです。
その場で、当初は かかる代表の方々は、いわば固い表情のままで「私たちが永年に亘り利用してきた体育館の廃止は、私たちの活動の場を奪うことになることから容認できない。」と主張されていましたが、その後 みんなで意見を交わすうち、話の流れは 単なる〝反対のための反対〟ではなく、長野市の在るべき将来像をも語る機会に〝発展(派生)〟していったのでした。
意見交換の中で、参加者の一人(Aさん)は「長野市には 他市に比べて体育館の数が多いと聞いており、そのこと(施設数の多さ)により (体育館が)公共施設削減のターゲットになっていると思います。」と述べられました。
そのうえでAさん「でもね…」と再び話し始めます。
「自治体に体育館が多いというのは、スポーツを愛好する 特に現役世代の人たちにとっては、とっても魅力的に映るんじゃないかと思う。これから人口減少社会を迎えるとき、各自治体が魅力をアップして定住人口を呼び込まなければならないとき「長野市には体育館が多い。」というのは大きなセールスポイントになるんじゃないか。だから長野市としても ただただ施設の削減に走るのではなく、既存の施設を有意義に活用し それを〝武器〟にして、定住人口の増進=市の魅力度アップ に貢献させるべきではないか。」とのことでありました。
この いわば〝逆転の発想〟には 私も目からウロコの新味を感じ入ったところです。
このような 新たな視点での斬新な発想(の提示)を含め、此度(こたび)集まっての〝反対運動〟は「これからの長野市の将来を共に考える場」とするよう イイ意味で様態を変えたのでありました。
今後は より幅広い立場の方々にも声をかけ、多様な意見を集めて それを一方的に市にぶつけるのでは無く、市民と市(職員が)胸襟を開いて意見を交わし より良い方向に進めてゆくべきということで一致したところです。
そのうえで、当初は〝反対運動〟的な旗じるしで動き始めたもの(運動)のタイトルは「長野市の体育館利用を考えてみませんか?プロジェクト」との〝ポジティブシンキング〟に〝進化〟し、これから共々に歩んでゆくこととなりました。
この日の意見交換を通じ、私自身 市民の方(かた)の賢者ぶりを再認識し、その見識に感心しきりでありました。
もしかしたら、単に職責の下で計画遂行にひた走る市(職員)より よほど〝大人〟なのかもしれません。
私の立場においても この機運を大切なものと捉え、かかる市民の高い見識を市(職員)に正しく伝えたうえで、今後の意見交換を有意義なものにしてゆきたいと思いをいたしたところでありました。
長野市役所前の「桜スクウエア(広場)」を囲む八重桜が、ライトアップに浮かんで夜風に揺れていました。
花を愛(め)でる気持ちは みな一緒。
ことほど左様(さよう)に、将来の地域社会に思いを寄せ、共通認識で臨みたいところであります。