倉野立人のブログです。

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公民館(分館)の存続を求める会合 ~今を生きる私たちから将来世代にまで、非常に難しい課題が~ 

2020-10-19 | 日記

さきの週末。私の住む地域で 公民館(分館)の存続を求める主旨の会合が開かれました。

 

 

 

 

私の住む地域には、公民館について、本館の他に3つの「分館」があります。

そんな中 長野市は「公共施設マネジメント計画」に基づき、市が公民館を含む市有施設の統廃合を計画的に進まなければならない中で この「3分館」について、将来的な廃止を打ち出しており、これに異を唱える方々が 同計画の公表を受け、市の所管課職員を招いて〝出前講座〟の形で会合を開き、 説明~質疑・要望を行なったものです。

 

 

 

 

招聘された長野市公共施設マネジメント推進課の職員からは、さきに公開されている「公共施設マネジメント計画」に基づき、市有施設の現在の状況と 今後の長野市の人口推計や財政見通しなどを踏まえ、将来的に市有施設に取り組まなければならないことについて説明がされました。

 

 

 

 

それによると、現在 長野市には、施設数で1,376、床面積で167,3万㎡に亘る公共施設があり、それらを維持するために、向こう40年間で 約4,000億円もの維持費がかかると推計されています。

 

 

 

 

そのうえで、これは長野市だけの課題ではないのですが、他の多くの自治体 もっと言えば日本全体が 今や少子高齢化に伴う人口減少状態に陥りつつあり、長野市においても 現在の約37万人の人口が、このまま推移すれば 20年後には約32万人に、40年後には約26万人にまで落ち込むという推計が出されています。

 

 

 

 

また 市民の「構成比」も、従来の 生産年齢人口の多い三角形から、高齢者の多い逆三角形に変化してきており、そのような中で、今までどおり公共施設を維持してゆくのは非常に厳しい状況と言わざるを得ないとのことです。

 

 

 

 

 

これらの状況に鑑み 長野市としては、向こう20年をかけて 市有施設を2割削減することを目標に掲げ もって将来に向けた市民負担の軽減を図ることとし「公共施設マネジメント計画」を公表したうえで市民理解を得たいとしており、説明にあたった職員も「このままゆけば 市の将来世代の方々に負担を求めることになってしまうことから、今のうちに 市有施設の段階的な削減を考えてゆかなければならないと考えています。」と述べ、理解を求めておりました。

 

 

 

 

その一方で 長野市は、市政の将来的な課題として「市財政の「扶助費」の抑制のためにも、高齢者の社会参加を促進し、フレイル予防など介護予防の充実による「健康寿命の延伸」が重要」と位置づけています。

 

その視点で見ると、今回 存続の要望が出されている「公民館(分館)」は、まさに元気な高齢者の方々が活動する貴重な「場」であり、これを無くすということは、一方で市が打ち出している「健康寿命の推進」を否定すると捉えられかねないことにもなり、この言葉尻をもってすれば (市は)大きな矛盾をもって行政計画を進めようとしていると思わざるを得ないところです。

 

会議に出席した公民館(分館)の利用者の方からも「私たちの活動の場を奪わないでください。」とか「今日の市の説明は、財政面に基づくもので もっと市民の生涯学習推進の視点が必要ではないか。」などと多様な意見が出され、この課題が一朝一夕にはゆかないことを如実に示していました。

 

これらの意見などを受け、出席した職員は「私たち職員も 今までは「造る」という行政事務は行なってきましたが〝減らす〟という仕事は初めての経験で、ことの難しさを実感しています。今後も このような場を通じてみなさんの声をいただきながら、どのような形が望ましいか 真摯に考えてまいりたいと存じております。」と述べ、この日は いわば序の口として意見を交わしたところでありました。

 

 

私の立場においても、将来の市政を運営する中で 少子高齢化の中での舵取りの難しさを痛感する者の一人です。

高齢化が進み 社会的な支援が必要な層が増える中、一方で 私たちの子や孫への将来負担はできるだけ抑制しなければならない。

人口が増加傾向にある中においては、例えば年金などの社会保障についても、今までは3人の現役世代が1人の高齢者を支えていれば良かったものが、将来的には逆…1人の若者が2人以上の高齢者を支えなければならなくなる時代が来るとすれば、その将来負担を増やさないようにすることは、今を生きるわれわれの責務とも申せます。

 

一方で (前述のとおり)健康寿命延伸のためには、高齢者の〝活躍の場〟の確保もまた 行政の責務とも申せます。

いわんや、あらゆる立場の者が 旧態依然とした考えから脱却し、新たな視点で将来社会に臨むべきときを迎えていると言えるのではないかと痛感するところです。

 

いずれにしても、公民館などの市民活動の場は「廃止ありき」で進めることは許されるハズもなく、そのことは市の所管課も重々承知のうえで臨んでいることが伝えられていました。

 

今後も あらゆる機会を通じて意見を交わし、皆が納得でき、将来世代の者にも安心してもらえるような社会環境を構築するべく 官民協働で前へと進む、そんな活動の一助を為してゆきたいと思うところです。