倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

真の活性化施設を

2019-09-11 | 日記

9/10 Tue.

 

8日に告示された長野市議会議員選挙も3日目を迎え、市域のそこここで舌戦が繰り広げられています。

私も遊説カーと付かず離れず、ルートに応じてジョイントしては「辻立ち」を重ねています。

 

 

 

そんな中、突如という形で「論点」に急浮上したのが「権堂イトーヨーカドーが撤退!」のニュースでした。

 

 

 

奇しくも市議選告示日に主要地方紙の一面トップに躍ったこのニュースは、長野市にとって「激震」といっていいほどの厳しい記事であり、空洞化の著しい中心市街地に さらなる追い打ちをかけるような「がっかりニュース」でした。

 

してそれは即ち「これからの中心市街地を どう立て直すか」との重い宿題を私たちに投げかけることとなったのでした。

 

 

 

「中心市街地活性化」は、都市構成 とりわけ住宅地や店舗(大型店舗)の郊外化が進む昨今、「市街地空洞化」として いずれの自治体も抱えることになった大きな課題の一つです。

長野市においても例外ではなく、多くの市民が郊外に住居を求める中、それにつられるように商業施設も大型駐車場を備えて郊外へ出店、人は外へ外へと流れてゆきました。

「中央通りの商店主が、閉店後は郊外の自宅に帰る」などどいう 笑えない笑い話しもあるほどです。

 

 

そんな中、その状況に危機感を抱いたのが、当時の鷲沢市長でありました。

もとよりリーダーシップの強かった鷲沢市長は、自らの意向で中心市街地活性化に熱意をもって取り組み、その姿勢は公共事業に反映されていったのでした。

2003年には、旧ダイエーをリフォームした「もんぜんぷら座」を整備、

 

 

その後 2006年には 旧そごう跡地に「トイーゴ」を建設し、

 

 

その後 2015年には、権堂アーケード西側に「B-1地区整備」を実施しました。

 

 

これらは、鷲沢市政の象徴ともいえる「中心市街地活性化策」で、当時の市議会においても、これらを拠点に 中心市街地に再び人を呼び起こすべく努力してゆくことを期して議決したところです(その後の諸課題については後述します)。

 

 

さて、ご紹介したうちの3つめの「権堂B-1地区整備事業(以下B-1事業)」については、ある「条件」があったことを、私自身 記憶しています。

それは他でもない「イトーヨーカドーの存続」でありました。

 

長野市中心市街地活性化の「3本目の矢」としてB-1事業計画が提示された頃「イトーヨーカドーが撤退検討」の情報が取りざたされたことがあったのです。

当時の議会でも そのことが話題となり「万一イトーヨーカドーが撤退することにでもなれば、市民の生活圏が大きく様変わりすることになり、そんな場所に資本(公金)投下しても効果が薄くなるのではないか。」との疑問が示されましたが、当時の市は「経営主体のセブン・アイ・ホールディングスに確認したところ、長野店については撤退しない方針とのことです。」と回答、「で あれば・・・」と、この事業を容認する論拠のひとつとなったものでした。

 

その論拠が、今や崩れようとしています。

市民のみなさんは、日常生活に関する食料品などの購入はイトーヨーカドーでまかない、そのうえで、市民生活に有益な諸活動を 新たな「市民活動支援センター」などで行なう。この、お互いの施設が有効利用されたうえで成り立つ「相関関係」こそが、中心市街地活性化の原資となると信じられてきました。

さらには、その後の推移の中で、イトーヨーカドーを起点とした「権堂地区再生計画」なる新たなプランも検討されたことがあり、まさにイトーヨーカドーは、中心市街地再生・活性化のシンボル的存在だったのでした。

 

時代は大きく変わろうとしており、実際に ときに容赦のない変遷を続けておることを実感させられました。

 

企業経営による商業施設は、当時は良くても、やがて採算が取れないとなれば撤退することも これはやむを得ないところでしょう。

問題は「これからどうする?」です。

 

その後の報道等によると、ヨーカドー撤退後も、所有の長野電鉄㈱は、建物を存続したうえで 後継の店舗テナントの確保を含め、活性化策を模索してゆくとのことですが、私は 万一行政サイド(市)が関与する場合「気をつけなければならないこと」として、かつての鷲沢市政の施策の「轍(てつ)」を踏まないよう、自らの体験をもって警鐘といたすところです。

 

前述のとおり、鷲沢市政においては、行政(市長)のリーダーシップにより施設を整備し、できあがったものを市民に開放しました。

しかし、そんな、半ばトップダウンで造られた「出来合いのモノ」は、市民からもそれほど重宝されず、利用率もさほど上がらないままに推移しています。

 

私は、これから設置される施設は「市民の声が反映され、市民の愛着を得たもの」でなければならないと思います。

 

例えれば、犀川のほとりに住民パワーで造成されたマレットゴルフ場は、造成作業そのものに市民が深く関わったこともあり、愛好家の愛着も深く、自主管理がゆき届くと同時に、施設の利用率も高くなっています。

一方、行政の力だけで造った とあるマレットゴルフ場は、利用率が低く ややもすると草ぼうぼうになってしまうところだそうです。

 

自分たちにとって愛着のない施設は、しょせん他人(ひと)のモノ。

 

イトーヨーカドーの跡利用については、どこが管理主体になるにせよ「市民の関わりによる愛着心の醸成」を第一義に考えるべきと強く思うところです。

例えば食料品を売るなら、地元の農業者による産地直売コーナーを充実させるなど、その運営には 地元の方(市民)が深く関わるべきで、その関わりはきっと「自分たちの施設だ」という愛着につながることでしょう。

中心市内外の多くの市民が施設に頻繁に足を運び、さらに積極的に利用することで、人の交流・物の交流が図られ、施設への愛着が深まることで結果「真の活性化」につながる。

そのためにも今後、必要に応じて「市民ワークショップ」を開くなどして、みんなで今後のまちのイメージづくりなどを行なうのも一考の余地があるかと。

 

中心市街地には、既に「もんぜんぷら座」があることから、類似施設を設けることは、隣地の市民活動支援センターとの兼ね合いもあり「屋上屋」になるリスクが大きいところですので、第一義は 長野電鉄㈱を中心にした「後継テナントの誘致」ということになるでしょうが、いずれにしても「市民に愛され、愛着のもてる施設」が 再び権堂村に灯を点(とも)してくれることを期待して止まないところです。

 

 

 

 

この日の夕方、ムラの公民館で 日舞のお稽古に勤しむ女性グループに遭遇しました。

 

 

みなさん、一様にムラに愛着を抱かれ、行事の毎(ごと)に〝友情出演〟を果たされています。

 

ムラも施設も「人の心」によって維持されているのです。