僕が幼くて純真無垢で愛らしくて、大人の甘美で妖艶かつ
醜悪な世界を知らなかった頃。
まだニキビもでてなくて、あそこのアレがまだアレだった頃。
そんなむかし。
歯の治療は痛かった。
すんごく痛かった。すんごーくだ!
あれは幼稚園児か小1の頃の出来事だったと思う。
オモチャを買ってあげると誘われて歯医者に行った。
治療をするとき、僕は頑として口を開けなかった。
泣き叫んで抵抗したようにも思う。
それで付き添いの祖母と歯科の先生がケンカした。
「育て方が悪い!」「もっと優しく治療しろ!」
とかなんとかだったと、よく親から聞かされた。
結局オモチャは買ってもらえなかった、と思う、
けど、買ってもらったようにも思う。
さて、最近の歯医者さんはどうだろう。
痛い治療は前もって局部麻酔をするから痛くない。
そろそろ痛くなるんじゃないか、なるんじゃないかと
びくびくしているうちに治療が終わる。
先生や歯科助手さん達が優しく
「大丈夫でしたかぁ?はい、お疲れさまでした。」と言ってくれる。
優しい先生が多くなったと思うのだ。
昔でも痛くないように治療できたのではないか?とも思う。
確か前にも書いたけど、僕が治療を拒否したその歯科医院は、
そこの娘さんが歯医者さんとして跡を継いでやっている。
僕の子供たちもずっとそこで診てもらっていた。
でも、僕は治療拒否してから一度も足を踏み入れたことがない。
幼い頃の恐怖からなかなか抜けきれないでいるのだ。
それは映画『ゴケミドロ』を観た時の恐怖のように。
と、前置きはこのぐらいにして、
今日、行きつけの歯科医院で奥歯を入れてもらった。
今回はまだ仮の奥歯だ。
この仮の奥歯で十分だ。
治療が痛くなくなったとはいえ、やっぱり歯医者には行きたくない。
歯垢を取るとき痛いし。
あれ、なんとかならんもんかね~。