二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011天皇杯2回戦 京都vs佐川印刷

2011-10-10 | 蹴球

京都サンガF.C.○3-0●佐川印刷SC

■前門の福村
 格下相手でもやり方は変えない。それが総大将タケシの答えだった。どんな相手だろうと変わらず短いパスをポンポンとつなぐ“接近戦チャンバラスタイル”。決め手に欠けるのも相変わらずだったが、最終ラインが非常に高くて、森下がいいクロスを入れたり、安藤が高確率でボール奪取したり、なかなかコレクティブ…つまり接近乱戦に持ち込めていた。
 特に目に付いたのは左サイドで先発した福村貴幸。中寄りにいた中村充孝や久保裕也に預けては、自分が受けるというレシーバーの動きが出色で、そこからクロスやシュートが生まれていく。運動量豊かで、守備でもしっかりボールと相手を追った。左サイドから「優位」は作られていた。

■アクシデント…その時大木は?
 ところが19分。事態は急変。相手右からのクロスに激しく競った安藤が倒れ、そのまま担架に乗せられ退場。内野貴志が左に入って、森下が中央に移るが、ここから明らかに佐川印刷がイーブンボールを拾うようになり、印刷はサイドをワイドに使うようになった。これぞ大木サンガ攻略の常套手段、接近戦に対して距離を置く戦法だ。日本刀vs長槍のような展開に持ち込まれてしまうと、どうしても後手後手に回る。特に相手右サイドのFW平井晋太郎がアグレッシブで、これに酒井隆介が手を焼いた。その背後2列目から飛び込んでくる元サンガ・カンヒョンスも厄介だった。
 やや劣勢に立っていたサンガだったが、先制点を奪う。左サイド内野のビルドアップから久保→中村充孝→伊藤優汰と逆サイドまでボールを回し、伊藤の折り返しを中村充孝のシュートは当たりそこね。それでも相手に当たってコロコロとゴールイン。
 先制したものの、なんとなく締まりない前半だった。その原因を総大将は右サイドと見たのだろう。後半開始から酒井と内野の位置を入れ替えてきた。

■後門の内野
 安藤を失ってからなんとなくバタバタっとしていた守備が、後半から目に見えて安定した。あれだけやられていた右が持ち直したのだ。すると不思議なもので久保、宮吉がボールに絡む回数が多くなった。宮吉はチェイシングと裏狙いは素晴らしかったが、今日も簡単なシュートを外していた。しかし福村が左サイドからシュートを放ち、それが弾かれたところを拾って、キッチリ押し込み2-0にしてみせた。圧巻だったのは3点目。最終ラインの内野が駆け上がってググイッとカーブする美しい放物線は、ファーに走り込んだ久保の頭ドンピシャ。内野はCKでも無双の強さを発揮し、2度ほどドンピシャヘッドをGKに阻まれている。
 終わってみれば格下を圧倒したというゲーム。久々に「大木采配」が功を奏したように思えた。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …危なげなし。
酒井 5.5 …ちょっと読みが悪かった。左は不慣れでぎこちなかった。
安藤 6.5 …安定感抜群だったが負傷退場。怪我が心配。
森下 6.0 …やっぱり左サイドにいる方が持ち味は発揮できるね。
チョンウヨン 5.5 …パスミス多し。ミドルはパンチ力あるんだけど…。
内藤 5.0 …ミス多くて攻撃にもうまく絡めず。
中村充 6.0 …ボールのつなぎ役としては優秀。仕掛けは大体ポジティブな失敗。
伊藤 5.5 …チャンスメイクもあったが、自慢のドリブルは効かず。
福村 7.0 …豊富な運動量で左サイドの攻守を支えた。積極性もあった。
宮吉 6.0 …献身的な動きで常に“狙い”続けた。
久保 6.5 …キープ力も突破力も別格。あとはシュートが枠に飛べば。
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内野 6.5 …右サイドを封殺。ビルドアップとクロスの質もピカイチ。
工藤 6.0 …ボールにしっかり顔を出し、内藤が不足してた分をしっかりカバー。
ドゥトラ ―― …シュートまで行けてるのは、いいと思うよ… うーん…。
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大木監督 6.5 …酒井と内野を入れ替えて局面を安定。走り負けもしなかった。


2011 J2第30節 京都vs水戸

2011-10-02 | 蹴球

京都サンガF.C.●0-2○水戸ホーリーホック

■脳がバラバラじゃないか
 見誤る。―人間の判断力・予測力なんてたかが知れたもので、「思っていたよりも、相手が速かった」とか「こんなに手数多くパンチ繰り出してくるとは…」など、よくある「見誤る」話。この日、京都は明らかに水戸を見誤っていた。とにかく水戸はボールへと寄せが速く、想定していた通りにボールを回させてくれない。そんな見誤った状況下でフィールドプレイヤー11人の脳がピピッと一括更新できるのなら何の苦労もないのである。けれど人間は一人一人違うことを考えるから、集団行動は難しい。相手を見誤ったときに、一人一人がいかに脳内を軌道修正できるかが大切なのだ。
 たぶん、何人かは気付いていたはずだ。ところが、それをチーム全体で共有させる術を持っていなかった。ある者は突っかけてては奪われ、ある者は寄せられてるのにショートパスをつなごうとし、ある者は前で守備しようとし、ある者は後ろ向きのカバーに走る…。最終ラインはギャップできてたし、ボールは前線で落ち着くことはなかった…。

■脳を統一しようとしたら、こうなった
 結果的に、この日の京都は相手を見誤ったままゲームを進め、「なんかおかしいな?」が「ああやられちゃった…」に移行していくという“拙いゲーム運び”の典型のようなゲームとなってしまった。
 それでも、ハーフタイムという絶好の脳内修正機会があるのだ。そこで大木監督が何を指示したのかと言うと…
 ●大木武監督(京都):
 ・イージーなミスが多すぎる。集中しよう。
 ・球際をもっと厳しくいくこと。
 ・残り45分。ここからだ! 自分たちで決めるんだ!

 …。
 その後、相手の出足が速いことに対して、球際を厳しく行こうとして当たりに行くものの、スルッとかわされてからクロス→ゴールを奪われるという形で2失点。前回書いた「アグレッシブな守備」が悪い方に転がるとこうなるって見本のように…。これは監督の指示が裏に出たとしか思えない。

 問題は攻撃でまったく自分たちの良さを出せず、(水戸の2人以上素早く寄せてくる守備に見事に消されて)、ろくなシュートチャンスすらなかったことかと思うのだが…。ショートパス主体のサッカーが封じられたら、「じゃあこっちの作戦で」と違うルートを運用できるように、柔軟な脳を持つようになってほしいものだ。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …何度も危機を救うが、どうしようもなかった。
内野 5.0 …2失点目にブチ抜かれたのが致命的だが、それ以外はまあまあ。
森下 5.5 …序盤はラインにギャップを作りすぎ。徐々に小慣れてきたが。
酒井 4.5 …1vs1でほぼ完敗。1失点目は、どこでジャンプしてんの?
チョンウヨン 5.0 …雑。ミドルは武器だったが雑。いろいろ雑。
駒井 5.5 …後手後手に回って常に後ろ向きで守備。良さ出せず。
内藤 4.5 …流れが奪えないゲーム展開ではまったく役にたたず。
中山 5.5 …中盤でこぼれ球を追って右往左往。がんばってはいたけれど。
伊藤 4.5 …攻撃の流れを止め、判断も遅く、守備でも足かせに…。
宮吉 5.5 …悪くはないが、プレーに主体性がなく周囲次第で「不良」に。
久保 4.5 …水戸の献身守備に手も足も出ず。連戦でコンディション悪いでしょ?
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福村 5.5 …本来の左サイドで奮闘。チャンスは積極的に狙ってほしかった。
中村充 5.0 …キープは出来るが周囲と噛み合わず。コネて奪われるの連発。
ハウバートダン ――
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大木監督 4.5 …若手に固執して起用法とか戦術の幅が狭くなってない?