二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第37節(延期分) 徳島vs京都

2012-10-25 | 蹴球

徳島ヴォルティス●2-4○京都サンガF.C.
           11'チョンウヨン
           29'中村充孝(P)
           63'中村充孝
68'ドウグラス
           73'バヤリッツァ
84'橋内優也

■魔のペース
 競馬に“魔のペース”というのがある。気がつけばスローペースになっていて、逃げ馬が脚をためて前で残ってしまうような展開。すなわち自分の土俵に引きずり込んで、まんまとしてやったりという戦い方だ。台風順延で唯一のゲームとなったこの試合の場合は、スローペースではなくハイペースだった。序盤こそ徳島がロングボールを前線に入れて押し込んでいるように見えたが、全体を通して見ると随分ガチャガチャとして速いゲーム。これは京都のペース。速いプレスと速い球離れ、ちょこまかと動きながら攻守を速く切り替える。徳島の方から見れば、京都が最も得意とするリズムに合わせてしまい、慣れないスピードで無理なサッカーをやらされた格好。それにしてもJ2では年に何度も見られないようなスピード感と疾走感のあるゲームの中で、20本近くパスを繋げてみたり、相手を翻弄して突破したりする京都の攻撃は去年の天皇杯の頃を彷彿とした。ただ、2失点目は自ら作り出した魔のハイペースに自ら溺れた格好。徳島のハイペースなパワープレーのラッシュを浴びるだけ浴びて、撃沈。そこは大きな課題だが、反面、このチームの魅力かもしれない。“殴られたら、殴り返せばいい”。

■守りに入らない手綱さばき
 63分と73分で2度の3点のリード。セオリーなら守りに入ってもよかったかもしれない。だけども、最後まで守りに入らずに自らの信じるサッカーを貫徹しようとした姿勢は、評価したい。なぜか?それはこの日、今まで表現しようとしてもなかなか表現できなかった絵が見事に描けていたから。思えば今までのリーグ戦、悔しい試合は守備が頑張ってもあと1点が取れない試合だった。得点力がようやく爆発したのなら、可能な限り継続していい感触を叩き込んでしまえば、おのずと勢いは付く。木曽義仲の蝸牛の計のように、一気呵成に攻めて止まることなくそのまま勝ちを重ねるという意思表明に見えたのだ。
 終盤で逃げる姿勢を見せなかったことで、間違いなく士気は騰がっているだろう。疲労の蓄積以上に欲しかった「勢い」を得る方に賭けた大木監督。2005年甲府時代に、最終節で京都との死闘を制した後、勢いそのままに柏レイソルを連続撃破した手綱捌きを思い出した。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …前半のスーパーセーブ連発がなければ違った流れになったかも。
安藤 6.5 …安定した守備対応。左が疲れた後半には右から攻撃をビルドアップ。
染谷 6.5 …速いカバーで活躍。終盤ゴール前スクランブルでのブロックなど、気合い充実。
バヤリッツァ 5.5 …ロングボールをよくカットしていたがポッカリミスも目立つ。得点は見事。
 黄 6.0 …高いポジションから攻撃の起点に。後半は疲れたか、プレスも弱くなってしまった。
福村 6.0 …ロングボールには有効に対応できなかったが、ウヨンを生かすカバーの動きは○。
チョンウヨン 7.0 …得点、アシスト、プレスキック、潰し、キープなど高次元。エクセレント。
中山 6.5 …圧巻の運動量で前後左右に顔を出し、攻守を牽引。
工藤 6.5 …勘のいい速いプレスが徳島を悩ませた。パス回しの潤滑油のように走った。
中村 7.0 …仕掛けるドリブルも人を使うプレーも素晴らしく、見るだけで楽しいプレーを連発。
駒井 6.5 …その動きの速さは相手を幻惑。こまめに守れて気が利くコマメッシ襲名間近。
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内藤 ――
宮吉 ――
長沢 ――
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大木監督 6.5 …攻撃サッカーを貫徹。選手は「このサッカーは正しい」と奮い立ったはず。