二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 天皇杯3回戦 鹿島vs京都

2013-10-14 | 蹴球

鹿島アントラーズ○2-1●京都サンガF.C.
54'遠藤康
67'ダヴィ
            75'横谷繁


■京都サンガの現在地
 J1上位にいる鹿軍団を相手に大木監督がどういう策に出るかと思いきや、いつも通りのサッカーだった。鹿島はちょっとJ2にはいないレベルの強烈攻撃陣を擁している訳で、ダヴィにはバヤリッツァ、大迫勇也には酒井隆介、ジュニーニョには安藤淳がマッチアップ。全体的にみればそれぞれ粘り強く渡り合ったものの、安藤はジュニーニョの急加速に付いて行けず先制点になるアーリークロスを許し、酒井は大迫の巧みな突破を止められずに追加点の起点にさせてしまった。局面・局面で個の強さを見せつけられた恰好で、J1レベルとの差を痛感。ただし、いわゆる弱者のサッカーに逃げることなく正々堂々の勝負を挑んだ上で、「ダヴィ迫ジュニ」を抑える時間帯もあったのも確かで、さらに言えばルーズボールをよく回収していたのも京都だった。相手への寄せの速さは通用したし(ただし鹿島は慌てなかった)、いつになく球離れが速くパス回しもそれなりに通用した(やっぱり鹿島は慌てなかった)。序盤に工藤浩平が絶好機を外したシーンなど、数少ないながら相手を追い詰めるシーンもあった。きっちり獲物を仕留められるか仕留められないかもJ1とJ2の個の力差かもしれない。そうした「差」は痛感しつつも、組織として互角以上に戦えたことはポジティブに捉えていい。

■あと一歩、もう一歩
 この試合でひとつだけ奇策的なことがあったとすれば、横谷繁のボジションだろうか。いつものように0トップの頂点として前線に張り付くことなく、割と低い位置で受けては柔軟に駒井善成の攻め上がりを促したり、前線に漂う山瀬功治との関係性でシャドーストライカーのように敵陣への侵入を図ったり。鹿島にすれば横谷はもっとも煩わしいプレイヤーだったに違いない。本音を言えば駒井がもうワンランク上のプレーを見せてくれれば良いのだが、それでも駒井が斬り込む→後ろから現れる横谷…という二段撃ちは新しい可能性を感じさせた。そのずっと狙っていた形~下がり目から横谷が前向きに入ってくる形~からのゴールで、鹿軍団をあと一歩まで追い詰めた。まるで大坂夏の陣で徳川家康の本陣まで単騎突破で斬り込んだ真田幸村のように…と、ここまで書いて、自分の比喩が間違っていることに気づく。真田幸村はむしろ大迫勇也だ。ボールをわざと酒井に取らせておいてスッと奪い返して鬼のようなクロスを上げたり、ボールを晒して酒井を食い付かせてからいなしたり。鹿角の前立兜を被った赤備えの武将のように縦横無尽に突破しやがる日本屈指のFWの憎たらしいまでの技術を見せつけられた後に、GK曽ヶ端準を躱すとこまでいってからシュートを外す三平和司に頭を抱える。あちゃー。この「あと一歩届かなかったもどかしさ」を反省点として、残るリーグ戦に全力をぶつけるべし。この鹿軍団に比べりゃあ首位神戸も2位ガンバも怖くないぞ!(でも何故か水戸が怖い)


〈京右衛門的採点〉
 オ 5.5 …2失点ともノーチャンス。2度のバー・ポスト強襲には反応できず。
安藤 5.5 …ジュニ相手によく競り勝ててたが、1度の遅れが失点に。老獪にファウルも取られた。
酒井 6.0 …日本屈指のFWをよく止められたと見るべき。カバーリングも迅速だった。
バヤリッツァ 6.0 …前半から鬼のように跳ね返しまくり。個の強さでは引けを取らず。
福村 5.5 …遠藤にいいようにあしらわれ、クロスも多く許す。工藤へのラストパスなど攻撃は良かった。
秋本 6.0 …ルーズボールをよく拾い、中盤の競り合いでは相手を自由にさせない厳しさを見せた。
倉貫 5.5 …よく気が利くプレーでボール回しとプレスを率先。J2ならば文句ない動き。
工藤 5.5 …絶好機を外したのは痛恨。良い出足からのパスカットなどもあったが後半は消える時間も。
横谷 6.5 …フリーマンのように自在に動きながら、攻撃の中心に。相手の嫌がるプレーが多かった。
山瀬 5.5 …鹿島DFと駆け引きしながらチャンスに多く顔を出したが、肝心のシュートが今一つ。
駒井 5.5 …ガンガン仕掛けたものの決定的な突破はできず。守備ではよく西を抑えた。
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中村 5.5 …レシーバーとしてボールを左に前に上手く引き出し、見せ場は作ったが。
三平 5.0 …絶好の動き出しからGKを躱し、またも残念なシュートミス。勝負強さを取り戻したい。
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大木監督 5.5 …今のサッカーがJ1上位に通用することを証明。敗戦をモチベに変えたい。