二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第23節 京都vs福岡

2014-07-27 | 蹴球

京都サンガF.C.○3-1●アビスパ福岡
           20'OwnGoal
             (バヤリッツァ
79'酒井隆介
(assistバヤリッツァ)
81'ドウグラス
(assist石櫃洋祐)
80'+1大黒将志
(assist伊藤優汰)


■眠たいサッカー
 この日、日中38℃を越えた酷暑だったこともあり、お互いに体力の消耗を避けたのか、動きが極端に少なく、見ていて大変に退屈だった前半。特に書くべきこともないのだが、1つ注目して観察したのが「トップ下」あるいは「下がり目のセカンドトップ」の役割だった中山博貴。川勝監督はどうやらここに人を置く布陣をお好みのようだが、まだちょっと理解できない部分があったので。ここに置く限りたぶん攻撃の駒だ。だが、中山にボールが入ったところで別段攻撃が加速する訳でもなく、収めたボールはサイドに捌く程度(逃げのパスが多かった)。エース大黒将志の影になって衛星のごとく動くのかと思えば、そうでもなく…。目立つのは奪われたボールに対するファーストプレスくらいで、結局この中央前目のポジションの意義がよくわからなかった。
 ボランチ以下はオーソドックスな守備で手堅くまとめて、あとは攻め手…というところなのだが、スターティングメンバーで作れた攻撃の形は「右サイド/伊藤優汰+石櫃洋祐の仕掛け」と「左サイド/三平和司へのロングボール」程度。右はある程度の手応えはあったが、左の三平はボールを受けてから先、周囲を使うプレーの精度が低すぎて攻撃は停滞するのみ。そもそも三平は使われる側の選手で、使う側の選手じゃない…。全体としてフリーランニングの動きも(お互いに)乏しいし、特に語ることもないような、眠たいサッカーだった。後半、交代選手2枚を投入するまでは。

■切り札
 京都にはFWおよび攻撃的MFが数多くいるのだけど、テクニシャン系、機動力系が多く、パワー系や高さ系の選手がいなかった。去年までの大木監督がその手のタイプよりも足元の確かなタイプを好んだゆえの編成なのだろうが、そこで“足りないタイプ”として補強したのがドウグラス。川勝監督はこのドウグラスをあえて大黒の1列下として投入。トップ下を組み立て役としてではなく、前向きに競り勝つ基点と考えたのだろう。そこにもう一枚・山瀬功治を投入してこの退屈なゲームの流れは激変した。山瀬は三平ができていなかった「ボールを受けてから相手をはがすプレー、周囲を使うプレー」をいきなりフルスロットルで繰り出す。「何をされると相手は嫌なのか」という戦術眼を以てキレのある動きで相手を翻弄すると、CKを奪い、そこから同点に追いついた。さらに動きの落ちない駒井善成とのコンビで左サイドを制圧するとボールを前へ右へと走らせる。山瀬という局面を読める主力部隊が援軍として控えていたからこそ、意味があった。相手が脳も身体も疲れた状態の時にベテランの読みは、大きな打開力になる。
 実は大木監督もバドゥ監督も、最もいい11人をスターティングメンバーとしてエントリーするというのが基本で、切り札やスーパーサブをさほど重視していなかった(原一樹などの例外はあったが)。だがトランプで強いカードをあえて後にとっておくのと同様、いい選手を後から出すという考え方だって戦略的だ。川勝監督のやりたい攻撃については、まだイマイチピンとこないところもあるけれど、ドウグラスというパワー系の手札が増えたこと、ベテランのジョーカーが使えることを見せたことで、得点への可能性は広がった、ような気がする。


〈京右衛門的採点〉
オ  5.5 …序盤からキャッチもキックも不安定なところを見せたが、その後守備機会はあまりなし。
石櫃 6.0 …攻撃面ではクロスをよく上げて逆転弾をアシスト。裏はよく取られるも最後は粘った。
酒井 6.5 …球際への早い寄せで福岡にチャンス作らせず。攻撃では同点ゴール奪ったが、フィードは不正確。
バヤリッツァ 6.0 …美しすぎるオウンを同点弾アシストで帳消し。相手のFWへの配球をよく跳ね返した。
駒井 6.5 …前半は低調だったが、後半積極性が増し、落ちない運動量で攻守に広い範囲をカバー。
田森 6.5 …あまり攻撃には絡めなかったが、CBと連携しながら自陣中央に蓋をする黒子の役目を貫徹。
工藤 6.5 …一発で裏を狙い続けるパスで相手を揺さぶる。後半からはプレスも冴え渡っていた。
伊藤 6.0 …積極的だが突っかけてては奪われる場面多。だが愚直に挑み続けて3点目をアシスト。
三平 5.0 …裏抜けでボールを収めてから先がお粗末で、ミスパスや雑なプレーでチャンスを潰す。
中山 5.0 …バランスは取っていたが、組み立て役にも大黒のサポート役にもなれず。攻撃面の存在感希薄。
大黒 6.0 …前半は動きも悪かったが、後半駆け引きしてボールを引き出す動きが増えた。ドグとの相性も良さげ。
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ドウグラス 6.5 …エアバトルでも足元でもボールを収め、ダイビングヘッドで逆転弾。守備もサボらず。
山瀬 7.0 …相手を翻弄してボールを動かし、ゲームの流れを変える。キレのある動きを最大出力で発揮できた。
田村 ――
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川勝監督 6.5 …攻め手のパターン構築中も、ドウグラス・山瀬投入で勝利を呼び寄せる会心の采配。