二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第22節 愛媛vs京都

2014-07-20 | 蹴球

愛媛FC△0-0△京都サンガF.C.

■真っ当な再建
 守備という土台作りを怠ったまま摩訶不思議な上屋を建てようとして、脆くも崩れ去って前半戦をフイにした京都。川勝親分、どこから手を付けるかっていうとそりゃ当然文字通りの「基礎固め」。その再建ぶりは明快で、前半、京都の守りは田森大己と工藤浩平を中心にとにかくボールへの寄せが速い。バヤリッツァらが持ち場を離れて当たりに行った後にできる穴の埋め方も適切で、いわゆるカッチリした守備組織を構築。ラインも深くなりすぎず、前線から終盤の距離をコンパクトに保ちながら、時折オフサイドも取れた。川勝親分、大変手堅い基礎工事ぶりで、真っ当な再建方法を見せている。だがゲームを通じてみれば、後半、田森あたりの運動量が落ちてくるにつれてプレスの勢いはなくなり、愛媛に簡単にボールを回されてしまった。どうにもジリ貧。中盤の底あたりはベテラン主体のチーム構成なので、暑い夏場にはちと厳しくなるかもしれない。特効薬は点を奪うことなんだけど…。

■理にかなわないことはやらない
 攻撃面では一応「組み立ててる感」はあった。三平和司がいる時間帯は、1トップ三平に当てて身体を張らせて基点にして、ボールを前やらサイドやらに動かそう…と。大黒将志のいる時間帯も基本的には同じだけど、大黒ならばもっと前後に深さのある動きをしてくれるので相手のズレも起こりやすい。それはとても理論的かつオーソドックスなのだけど、愛媛は90分間集中して大きなミスをしなかった。今日見たところ、川勝親分はどうやら理にかなわないことはやらない監督だ。攻撃の基本は「相手のミス待ち」のようなところがあり、組織全体として自分たちから攻め掛かりにいくような蛮行に手を染めない。いや、土台基礎が整ってから、そこらあたりの上屋を建てていくのかもしれない。それもまた真っ当な考え方だと思う。だけれども、「陣形を崩しながらも湧き出すように前に掛かった」大木サッカーを体験してしまった身としては、物足りない。
 点を奪いたい終盤の采配は、内野貴志IN→左サイドバック+駒井善成を一列前へ、という消極的セーフティなもののみで、だけどもなぜか守備の不安定さが増しただけだった。だったら投入が遅すぎた田村亮介をもっと早く使えばよかったのに。バ将みたいに型無しで破れかぶれな監督も困るけど、理にかなわないことはやらん監督も面白味に欠けるものよのぅ、と思った次第。以上。


〈京右衛門的採点〉
オ  6.0 …暇を弄ばせていたが終盤急に守備機会が増え、果敢な飛び出しでシャットアウト。
石櫃 5.0 …裏を開けたりキックミスしたり、守備の不安定さが目につく。いいクロスも上げられず。
酒井 5.5 …敵クロスを空振り大チョンボもあったが、基本的にはよく走って、危険な所はよくカバー。
バヤリッツァ 6.5 …物足りないほどに落ち着きがあり、安定して凌ぎきった。スクランブル発進なし。
駒井 5.0 …序盤はよく前にも出ていたが、次第に守備に追われ、最後は空回り気味にミス連発。
田森 6.0 …前半はマスチェラーノばりに球際に厳しく、よく奪った。後半運動量が落ちるも踏ん張る。
工藤 6.0 …鋭いプレス&カバーで守備を牽引。攻撃は裏狙い配球から組み立てようとしたがイマイチ。
伊藤 6.0 …古巣相手に仕掛ける姿勢は崩さず、最後まで“伊”駄天アタックを狙う。守備でもよく球際で奮闘。
山瀬 5.5 …ボールへの執念やゴール前に入り込む意識は高く、チャンス作るも最後の精度足りず。
中山 5.0 …前に向いてボールを動かすプレー少なすぎ。収めるところでのミスも多かった。
三平 5.5 …競って収めて身体を張って潰れる仕事に終始。ゴール前で点で合わせる持ち味出せず。
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大黒 5.5 …よく動いて基点になり、動き直しからラストショットを狙ったが、打ち抜けず。
内野 4.5 …左SBに入ったが、対人負けしたり、フィードミスしたり。起用した狙いも不明。
田村 ――
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川勝監督 5.0 …守備面の構築は評価すべき手腕だが、時間が経つごとに組織は硬直。