二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第41節 水戸vs京都

2013-11-17 | 蹴球

水戸ホーリーホック○2-1●京都サンガF.C.
25'橋本晃司(p)
             63'横谷繁
78'石神幸征

■走るホーリーホック
 前半はとにかく水戸のボールへの寄せが速く、2人以上で京都の攻撃陣を挟み込む守備のしつこさには目をみはった。駒井善成は何度もドリブルでの突破を試みるが、人海戦術の前に阻まれる。この「走れ走れホーリーホック・モード」に入った水戸は、J2が世界に誇る走力サッカーの最たるもの。セカンドボールも水戸が回収しまくり、京都は黄門様に印籠を見せられたかのようにカウンターをくらう。そんな中、京都のクリアボールのこぼれを拾ったのが、鈴木“師匠”隆行。匠の技でバヤリッツァを誘い込んでからのPK奪取は、熟練の名人芸。ぜひこの技を受け継ぐFWを育ててもらいたいものである。
 水戸の運動量は、いつか落ちるだろうと思っていた。案の定後半からは徐々に足が止まってきて、京都が支配する時間が長くなった。ところが70分過ぎに横谷繁のフィードがひっかかってこぼれたところからチャンスを掴み、71分にはクリアボールを橋本晃司が豪快なダイレクトシュート。このシュート1本で“喝”が入り、落ちかけていた水戸の士気を再び高めてしまうのだからサッカーはわからない。京都はひょんなことからペースを相手に渡して、その流れのままに2つめの失点を決められた格好。70分まではいい流れだっただけに惜しまれるところだが、単純にホーム最終戦の水戸の闘志が上回っていたことは認めなければならないし、水戸を賞賛しなければならない。


■可能性を積み上げる
 さえない主人公に実はものすごい能力が眠っていて、突然覚醒!という漫画にありがちな超展開は残念ながら現実に起こりえることではない。人は経験したことしか出せないのだ。いろんなことを積み重ねて、貯めていくことで「Ability=可能性のある能力」は高まっていく。チームも同じことで、固定したメンバーだけで戦っていては、可能性は広がっていかない。
 大木監督はこの試合で、山瀬功治を先発から外し、三平和司と内野貴志を引き続き先発に入れ、前節とは違う相方と組ませてみた。このことだけを見ても、できる限りチームとしての経験の蓄積を増やしたいという「意図」が感じられる。さらに途中から中山博貴を投入。今シーズン怪我もあってなかなかチームに入りきれなかった中山は、投入されるやいなや工藤浩平との相性のいいパス交換から前線を走る三平へ。三平は右を駆け上がる下畠翔吾に出し、下畠のクロスから横谷のゴールが生まれた。その後も中山はプレスに攻撃に縦横無尽に走り、一番良かった頃を彷彿とさせる復調ぶりを見せた。下畠も試合を重ねるごとに攻撃面での積極性は増しており、内野はバヤリッツァと組んでも問題なく守れることを証明した。
 この1試合だけ見れば残念な試合かもしれないが、プレーオフまでにチームにプラスできる経験はプラスしておこうという貪欲さの方を強く感じた。横谷の怪我の具合と三平がイマイチフィットしきれていないのだけは気がかりだが、「本番」で出来ることの幅、選択肢は確実に広がっている。「覚醒」は積み重ねたものの中からしか、呼び起こせない。


〈京右衛門的採点〉
 オ 6.0 …PKも2点目もさすがにノーチャンス。クロスやシュートへの対応は安定していた。
下畠 6.0 …詰めてシュート、仕掛けてアシスト、攻撃面は◎。2失点目の守備は甘かった。
内野 6.0 …ゾーンの侵入を監視し、ピンチがあれば身体を投げ出し粘り強いブロック。
バヤリッツァ 5.5 …鈴木師匠を自由にさせなかったが、誘い込まれてPK献上には白旗。
福村 5.5 …前半は好守に積極的だったが、後半はセットプレー以外での存在感薄め。
秋本 5.0 …寄せても躱される場面目立つ。なぜそこで?という攻め上がりも気になった。
工藤 5.5 …バランスを取りに動いたことでプレスの連動を欠く。後半はスルー狙い一辺倒。
倉貫 5.5 …前半はボールに絡めず、後半修正して好守でよくボールを触り、ペースを掴む。
三平 5.0 …序盤の決定機逸は悔やまれるが、中に入る動きは良くなっている。受けた次が大事。
横谷 6.5 …キツいマークの中でボールをよく収める。得点も見事だったが腕の怪我で交代。
駒井 5.0 …仕掛けて止めらた。横谷とのコンビネーションは◎。後ろから蹴られ負傷交代。
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山瀬 5.5 …相手を背負いながらエリア内によく侵入するも、水戸の守りを崩せず。
中山 6.5 …ボールの繋ぎ役、ボールの奪い役として躍動。ボールサイドによく顔を出した。
 原 5.0 …1トップとして収められず。相手にとってまったく怖い存在ではなかった。

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大木監督 5.5 …この試合を落としも、得たものは大きかったはず。