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京都読書空間 (act books) 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:2005-10 |
二条通りを越えて、寺町通りを北上すると、左手(西側)に、三月書房という、有名な書店がある。
(→古書店と間違える人が多いが、あくまでも新刊書店)
なんで、そんなに有名か、というと品揃えが凄いのだ。
サイズ的には、全国どこの街にもある、普通の書店、といった程度の広さなのだが、文学、思想、哲学などの、選りすぐった本が、ところ狭し、と棚につまっていて、見飽きることがない。
どうやれば、ああいう品揃えになるのか、分からないが、相当の知識人の書斎でも、ああはいかないだろう、と想うような内容なのだ。
しかも、個人の愛書家なら、どんな高尚なコレクションをしようが勝手だが、書店となると、売れないと意味がない。
この店のような高尚な品揃えをして、果たして、売れるのだろうか、と誰しも危惧するところだが、
この店では、それらが良く売れているのだ(→店内にいると、レジをする人の多さで分かる)。
ここまでくれば、書店経営はアートだと思う。
(→愛書家が一流のコレクションを作るのは、一定以上の知のレヴェルがあればできるが、そのうち、売れるものを選んで並べて置く、というのは特殊な才能を要する)
かつて、大手の書店の、新人研修のプログラムに、この店の見学、というのが組み込まれていたというのも、頷ける。
そして、新刊書店という、最も創意工夫の余地のなさそうな分野で、あれだけ強い自己表現をされている店主、それを支持している読書人層(買っている人)について考えると、京都という街は、底深い、とつくづく思う。
(追記)
この店の品揃えの良さは、先代の頃かららしく、脇村義太郎さんの、「東西書肆街考」にも、三月書房の名前が見え、「ここはよい学術書を揃えている」旨の記述がある。